フランス伝統の秋の一戦パリ〜トゥール(UCI1.HC)が開催され、互いに見合うライバル二人を置き去りにしたソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)が独走勝利。昨年大会で2位に甘んじたリベンジを達成した。
曇り空のシャルトルをスタートしていく (c)A.S.O./G. Demouveaux
パリ〜トゥール2018コースプロフィール (c)A.S.O.今年で112回目を迎えた伝統のパリ〜トゥール(UCI1.HC)がフランス中部の平野部で開催された。これまでヨーロッパカレンダーの最終戦として親しまれてきたが、今年はロンバルディアの1週間前開催へと変更に。長くワールドツアーカレンダーに組み込まれてきた大会だけに、9のUCIワールドチームを筆頭にベルギーやフランスのプロコン/コンチネンタルチーム合わせて23チームが顔を揃えた。
プロフィールだけを見ればスプリンター向きのフラットコースだが、終盤には「コート」と呼ばれる登坂区間が7箇所も凝縮されている。例年最終盤のアップダウンで抜け出したアタッカーと集団の追走劇が繰り広げられる展開が常だが、今年はコース変更が行われ、「ボーソレイユ」や「レパン」といった名物登坂が置き換えられた代わりに、ワイン畑の中を縫うように刻まれた合計12.5kmの未舗装路がアクセントとして加えられた。
逃げグループを牽引するシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) (c)A.S.O./G. Demouveaux
季節外れのひまわりを横目に逃げる先頭9名 (c)A.S.O./G. Demouveaux
アージェードゥーゼルやロット・スーダルがメイン集団を牽引する (c)A.S.O./G. Demouveaux
この日逃げを打ったのは、引退が秒読み段階となったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)やベルンハルト・アイゼル(オーストリア、ディメンションデータ)ら大ベテラン、アレックス・ダウセット(イギリス、カチューシャ・アルペシン)といった9名。しかしシャルトルからツールを目指して南下するコースに吹いた追い風がハイペースな展開を作り出し、残り49km地点の未舗装路区間セクター9「シャトー・ドゥ・ファルメール(距離500m)」に突入する頃には、背後のメイン集団は逃げの15秒後ろに迫っていた。
ワイン畑の細く細かいアップダウンと連続するコーナー、そして未舗装路を繰り返すうちに集団の人数は減少の一途を辿り、未舗装路レースで知られるトロ・ブロ・レオンの優勝者クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)も落車による分断で脱落。最後まで粘った逃げメンバーも残り45km地点で、20名にまで数を減らした集団に捉えられた。
コート・ド・ゴグンヌで生まれた、ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)らの先頭集団 (c)A.S.O./G. Demouveaux
独走するソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)にニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)がブリッジ (c)CorVos
アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)も終盤まで粘ったが、勝負には絡めず (c)A.S.O./G. Demouveaux
続く第2登坂「コート・ド・ゴグンヌ」では、優勝候補の一人でクイックステップフロアーズでの最終レースとなるニキ・テルプストラ(オランダ)がペースアップ。するとフィリップ・ジルべール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)、セップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、イエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)、ヴァレンティン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)という強力なメンバーが同調して抜け出した。
しかし直後の最長距離を誇る未舗装路セクター7「ラ・グロッス・ピエール(2500m)」ではジルベールがパンクで脱落。後続集団のチームメイトからホイールを受け取って復帰を試みたが、この追走で力を使ってしまうこととなる。
この危険な逃げはオリヴァー・ナーセン(ベルギー)擁するアージェードゥーゼルが潰したものの、その直前に吸収を嫌ったアンデルセンが独走に持ち込んだ。すると再びテルプストラが集団から抜け出してアンデンルセンに合流。さらに前U23世界王者のブノワ・コズネフロワ(フランス、アージェードゥーゼル)が長い追走劇の末に追いつき、テルプストラ、アンデルセン、コズネフロワという独走力に長ける3名が後続を引き離しに掛かった。
勝ち逃げグループを率いるニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ) (c)CorVos
セップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やオリヴァー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル)は先頭3名に追いつけなかった (c)CorVos
最後の未舗装路区間を独走するソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) (c)CorVos
先頭グループでは、後続でチームエースのナーセンが追いかけてきているという建前から、コズヌフロワがローテーションを拒否。しかしテルプストラとアンデルセンが追走を試みるナーセン、マドゥアス、そしてヴァンマルクとの距離を一定に保ちつつゴールまでの距離を減らしていった。
先頭グループ内に変化が起きたのは残り11kmだった。牽かないコズネフロワと苛立つテルプストラが牽制するタイミングを利用してアンデルセンがアタック。互いに見合い続ける二人を尻目にアンデルセンはリードを築くことに成功し、トゥールの街中を駆け抜けていく。
不穏な空気を漂わせて走るコズネフロワとテルプストラが、全力で逃げるアンデルセンに追いつくことは不可能だった。ハイペースを維持したアンデルセンは最終的にリードを25秒まで広げてトゥールのフィニッシュラインに到達。昨年大会でマッテーオ・トレンティン(イタリア、現ミッチェルトン・スコット)に破れて2位に甘んじた24歳が1年越しのリベンジを達成した。
トゥールのフィニッシュラインにたどり着いたソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) (c)CorVos
2位争いのスプリントはニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)が先着 (c)CorVos
4位グループのスプリントを制したのはオリヴァー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル) (c)CorVos
終盤に逃げグループを作った3名が表彰台を埋めた (c)CorVos
「すごく勝ちたかったけれど実現可能だとは思っていなかった。今日に向けて集中してきたから本当に嬉しいよ。コースは最高で大好き。こういうクラシックらしいレースでの勝利は初めてだから最高だ。残り10kmから勝利を確信する残り100mまでは本当に厳しかったけど報われたね。クラシックの王者たちが集う中今日勝てたなんてすごいことだし、自分自身驚いているよ。クレイジーだ」とアンデルセンは喜ぶ。
後続ではテルプストラがコズネフロワをスプリントで下して2着に入った。「8年間所属したチームでのラストレースで恩返ししたかった。アンデルセンとは強調体制を築けたけれど、コズネフロワがローテーションを拒否したことで状況を難しくしてくれたんだ。アンデルセンがアタックした時に数秒躊躇したことが決定的だった。でも今日のような厳しい展開で表彰台に上がることができて嬉しく思う」とコメントを残している。


プロフィールだけを見ればスプリンター向きのフラットコースだが、終盤には「コート」と呼ばれる登坂区間が7箇所も凝縮されている。例年最終盤のアップダウンで抜け出したアタッカーと集団の追走劇が繰り広げられる展開が常だが、今年はコース変更が行われ、「ボーソレイユ」や「レパン」といった名物登坂が置き換えられた代わりに、ワイン畑の中を縫うように刻まれた合計12.5kmの未舗装路がアクセントとして加えられた。



この日逃げを打ったのは、引退が秒読み段階となったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)やベルンハルト・アイゼル(オーストリア、ディメンションデータ)ら大ベテラン、アレックス・ダウセット(イギリス、カチューシャ・アルペシン)といった9名。しかしシャルトルからツールを目指して南下するコースに吹いた追い風がハイペースな展開を作り出し、残り49km地点の未舗装路区間セクター9「シャトー・ドゥ・ファルメール(距離500m)」に突入する頃には、背後のメイン集団は逃げの15秒後ろに迫っていた。
ワイン畑の細く細かいアップダウンと連続するコーナー、そして未舗装路を繰り返すうちに集団の人数は減少の一途を辿り、未舗装路レースで知られるトロ・ブロ・レオンの優勝者クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)も落車による分断で脱落。最後まで粘った逃げメンバーも残り45km地点で、20名にまで数を減らした集団に捉えられた。



続く第2登坂「コート・ド・ゴグンヌ」では、優勝候補の一人でクイックステップフロアーズでの最終レースとなるニキ・テルプストラ(オランダ)がペースアップ。するとフィリップ・ジルべール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)、セップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、イエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)、ヴァレンティン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)という強力なメンバーが同調して抜け出した。
しかし直後の最長距離を誇る未舗装路セクター7「ラ・グロッス・ピエール(2500m)」ではジルベールがパンクで脱落。後続集団のチームメイトからホイールを受け取って復帰を試みたが、この追走で力を使ってしまうこととなる。
この危険な逃げはオリヴァー・ナーセン(ベルギー)擁するアージェードゥーゼルが潰したものの、その直前に吸収を嫌ったアンデルセンが独走に持ち込んだ。すると再びテルプストラが集団から抜け出してアンデンルセンに合流。さらに前U23世界王者のブノワ・コズネフロワ(フランス、アージェードゥーゼル)が長い追走劇の末に追いつき、テルプストラ、アンデルセン、コズネフロワという独走力に長ける3名が後続を引き離しに掛かった。



先頭グループでは、後続でチームエースのナーセンが追いかけてきているという建前から、コズヌフロワがローテーションを拒否。しかしテルプストラとアンデルセンが追走を試みるナーセン、マドゥアス、そしてヴァンマルクとの距離を一定に保ちつつゴールまでの距離を減らしていった。
先頭グループ内に変化が起きたのは残り11kmだった。牽かないコズネフロワと苛立つテルプストラが牽制するタイミングを利用してアンデルセンがアタック。互いに見合い続ける二人を尻目にアンデルセンはリードを築くことに成功し、トゥールの街中を駆け抜けていく。
不穏な空気を漂わせて走るコズネフロワとテルプストラが、全力で逃げるアンデルセンに追いつくことは不可能だった。ハイペースを維持したアンデルセンは最終的にリードを25秒まで広げてトゥールのフィニッシュラインに到達。昨年大会でマッテーオ・トレンティン(イタリア、現ミッチェルトン・スコット)に破れて2位に甘んじた24歳が1年越しのリベンジを達成した。




「すごく勝ちたかったけれど実現可能だとは思っていなかった。今日に向けて集中してきたから本当に嬉しいよ。コースは最高で大好き。こういうクラシックらしいレースでの勝利は初めてだから最高だ。残り10kmから勝利を確信する残り100mまでは本当に厳しかったけど報われたね。クラシックの王者たちが集う中今日勝てたなんてすごいことだし、自分自身驚いているよ。クレイジーだ」とアンデルセンは喜ぶ。
後続ではテルプストラがコズネフロワをスプリントで下して2着に入った。「8年間所属したチームでのラストレースで恩返ししたかった。アンデルセンとは強調体制を築けたけれど、コズネフロワがローテーションを拒否したことで状況を難しくしてくれたんだ。アンデルセンがアタックした時に数秒躊躇したことが決定的だった。でも今日のような厳しい展開で表彰台に上がることができて嬉しく思う」とコメントを残している。
パリ〜トゥール2018結果
1位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) | 4h37'55" |
2位 | ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ) | +25" |
3位 | ブノワ・コズネフロワ(フランス、アージェードゥーゼル) | |
4位 | オリヴァー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル) | +1'14" |
5位 | ヴァレンティン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) | |
6位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | |
7位 | セップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
8位 | フィリップ・ジルべール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | |
9位 | タコ・ファンデルホールン(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) | +1'24" |
10位 | ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) |
text:So.Isobe
photo:A.S.O./G. Demouveaux,CorVos
photo:A.S.O./G. Demouveaux,CorVos
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