ビアンキのレーシングラインOltreシリーズ初のディスクブレーキモデルとして誕生したミドルグレード「Oltre XR3 Disc」をインプレッション。カウンターヴェイルによる快適性と確かな制動力を両立した、長距離ライドにも最適な1台を紹介しよう。



ビアンキ Oltre XR3 Discビアンキ Oltre XR3 Disc (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
130年以上の歴史を持つ世界最古の自転車ブランド、ビアンキ。レーシングモデルからシティバイク、アパレル、アクセサリー類まで幅広く手がけ、特徴的なチェレステカラーとともに多くのサイクリストから愛されている一大ブランドだ。今季はビアンキがサポートするワールドチーム、ロットNLユンボの活躍も目覚ましく、プリモシュ・ログリッチェやディラン・フルーネウェーヘン、ダニー・ファンポッペルらによって多くの勝利を飾ってきた。

レースシーンでの成績が目立つ中、選手たちの走りを支えているのがビアンキのレーシングラインでトップモデルに位置する「Oltre XR4」だ。セミエアロなフォルムを纏うオールラウンドバイクとして、超級山岳から平坦のゴールスプリントまで1台で卒なくこなす優れた走行性能を有したモデルに仕上がる。そんなOltre XR4を踏襲しながらも、より幅広いサイクリスト向けの性能そして価格に配慮して開発されたのが「Oltre XR3」である。

後輪に沿って切り欠きされたエアロ形状のシートチューブ後輪に沿って切り欠きされたエアロ形状のシートチューブ エアロとねじれ剛性に配慮したダウンチューブの角断面デザインエアロとねじれ剛性に配慮したダウンチューブの角断面デザイン 中央にくびれを持たせ前方投影面積を減らすヘッドチューブ中央にくびれを持たせ前方投影面積を減らすヘッドチューブ

Oltre XR4の弟分として2018年モデルで新たに追加されたOltre XR3だったが、わずか1年という期間を経て2019年モデルではそのディスクブレーキモデル「Oltre XR3 Disc」を発表。Oltreシリーズ初のディスクロードとして世に送り出された。天候に関係なく安定した制動力をより軽い力で発揮できるディスクブレーキのメリットは大きく、各社こぞってディスクロードをリリースする流れはイタリアの老舗ブランドにも波及している。

Oltre XR3 Discはリムブレーキモデルをベースとしながらも、各所をディスクブレーキに最適化させておりフレームは一から再設計されている。形状変化で目につくのはやはりブレーキキャリパーが取り付くエンド部分。リムブレーキモデルでは振動吸収性を高めるため、フォークやシートステーなどは先細りしたデザインを採用していたが、より太い径をもつ12mmスルーアクスルへの変更とディスクブレーキのストッピングパワーを受け止めるため、ややマッシブな形状へアップデートされている。

新型シマノ105の油圧ディスクブレーキコンポーネントで組んだ完成車にて販売新型シマノ105の油圧ディスクブレーキコンポーネントで組んだ完成車にて販売 トップチューブにあしらわれたモデル名ロゴ。ケーブル類はダウンチューブサイドからフレーム内にアクセスするトップチューブにあしらわれたモデル名ロゴ。ケーブル類はダウンチューブサイドからフレーム内にアクセスする
BBはプレスフィット86.5を採用BBはプレスフィット86.5を採用 ディスクブレーキは前後フラットマウントを採用ディスクブレーキは前後フラットマウントを採用

またストレート形状だったフォークも、今作ではやや外側にカーブしたデザインを採用しており、タイヤクリアランスも最大28mm幅まで対応するよう改良された。ブレーキキャリパーが排されたシートステーには、さらに補強されたブリッジが施されており、細部まで作り込まれている点が見て取れるというもの。

その上でOltreシリーズに代々続くセミエアロなフレーム形状は健在。後輪に沿って切り欠きされたシートチューブや、フォーククラウンをオフセットさせたインテグレーテッドデザインによって、ホイールとフレームとの隙間を狭め整流効果を高めている。トップチューブもくびれを持たせたり、専用のエアロシートポストを採用したりと前方投影面積を減らす工夫も施される。

トップチューブからシートステーにかけて繋がったような造形を見せる。シートクランプは内蔵式だトップチューブからシートステーにかけて繋がったような造形を見せる。シートクランプは内蔵式だ ビアンキオリジナルのステムがアセンブルされるビアンキオリジナルのステムがアセンブルされる

昨今トレンドのエアロディスクロードというと専用のコックピットパーツを採用するモデルも多いが、Oltre XR3 Discは汎用性の高いノーマルなハンドル、ステムをアセンブルする仕様だ。ケーブルフル内装のギミックはないものの、パーツ交換やメンテナンスもしやすくなっている。シフトケーブルやブレーキホースはダウンチューブサイドからフレーム内にアクセスするルーティングで、機械式/電動式のコンポーネントに両対応だ。

Oltre XR3といえば、ビアンキが誇る振動除去テクノロジー「カウンターヴェイル」を採用した唯一のミドルグレードバイクとしても知られる。独自のカーボン繊維構造と粘弾性を持つ素材をフレームに織り込むことで、路面から伝わる低周波の微振動をカットし、最大で80%もの振動を除去してくれる。振動吸収用のゴム素材やエラストマー等を使用しないため、フレームの剛性や強度をより高いレベルで確保でき、走行性能を犠牲とすることなく快適性を高めることが可能となっている。

ディスクブレーキモデル用の新設計されたフロントフォークディスクブレーキモデル用の新設計されたフロントフォーク シートステーには補強されたブリッジを設け、リムブレーキモデルと同様のフィーリングを生み出すよう調整シートステーには補強されたブリッジを設け、リムブレーキモデルと同様のフィーリングを生み出すよう調整 シートポストは専用のエアロ形状。ヤグラパーツの反転によって0/25mmのセットバックに調整できるシートポストは専用のエアロ形状。ヤグラパーツの反転によって0/25mmのセットバックに調整できる

ジオメトリーはOltre XR3とほぼ同じだが、チェーンステー長が僅かに伸びており安定性の強化を図る。フレーム重量は1,150g(55サイズ)で、リムブレーキモデルからの重量増はたったの50gと気にならない程度に収まっているだろう。シートポストはヤグラパーツの向きによって0mmと25mmのオフセットに切り替えも可能だ。

販売はシマノ105完成車のみのラインアップ。コンポーネントは新型の油圧ディスクブレーキモデルを搭載し、ホイールはシマノWH-R170を装備する。ボトルケージ用のボルトはチェレステカラーのものを合わせており、ビアンキらしさを引き立てているのもポイントだ。それでは、インプレッションへ移ろう。



― インプレッション

「長距離ライドに最適な乗り心地の良さが特徴的」藤岡徹也(シルベストサイクル)

まず乗って感じられるのが快適性の高さ。特にリア部分は路面からの振動がほとんど伝わってこないような印象で、いつまでも乗っていたくなるような心地良さがあります。長い距離を乗った時に後半疲れないだろうな、というのが容易に想像できますね。ミドルグレードながらビアンキのカウンターヴェイルの性能を十分に体感できる1台に仕上がっています。

その乗り心地の良さも相まって、気持ちよくスッと転がってくれる走りが特徴ですね。セミエアロな形状もあってか、加速性能というよりは巡航性能に優れているバイクになると思います。グイグイ踏んでいくよりは軽いギアをクルクル回していくようなペダリングがマッチするように感じました。クリテリウムなど上げ下げが多い場面よりは、エンデューロなど集団で一定ペースで走るシーンに向いているでしょうね。

「長距離ライドに最適な乗り心地の良さが特徴的」藤岡徹也(シルベストサイクル)「長距離ライドに最適な乗り心地の良さが特徴的」藤岡徹也(シルベストサイクル)
Oltreシリーズ特有のエアロ形状も走りを良くしている部分で、平坦では速度維持を助けてくれるようなフィーリングがありました。スピードに乗ってしまえば速度が落ちないので、緩斜面であればそのまま登り切れてしまうようなイメージですね。ロットNLユンボの選手も軽量モデルのSpecialissimaではなくOltre XR4を使うのも頷けます。

ハンドリングも扱いづらさはなく、乗り心地の良さと合わせてすごくニュートラルに曲がってくれます。完成車のパッケージで見ても、ややホイールが重いかなという程度で乗りやすさは十分です。より良い走りを目指すならカーボンの軽いディープリムホイールなどはバイクにも似合うでしょうね。ハンドルをエアロ形状のものにするなどカスタムも楽しんでいけると思います。

アセンブルされる105グレードでも油圧ディスクブレーキは操作性が良いですね。軽い力でレバーを引けるなどストレスが少ないので、バイクの性能と合わせてロングライドを楽しむにはピッタリだと思います。

ただ単純にシマノ105完成車で35万円と見てしまうと割高感がありますが、フレームの性能やグレードを考えると決して高い金額ではありません。電動コンポーネントに組み替えるなどして、後々まで長く楽しめるバイクとなってくれるはずです。

バイクの性格は純粋なレーサーというよりは、ややエンデュランス寄り。そのためロングライドメインでたまにレースにも出るようなライダーにオススメですね。長距離を楽しめるフレーム性能やサドルを前出しにできるヤグラ構造などを考えると、トライアスロンに挑戦してみたいという人も使っていけると思います。エアロな見た目もカッコいいので、チェレステカラー好きなビアンキファンも満足できる1台になるでしょう。

「振動吸収性と推進力のバランスが良く、心地よい巡航が楽しめる1台」遠藤誠(GROVE港北)

「振動吸収性と推進力のバランスが良く、心地よい巡航が楽しめる1台」遠藤誠(GROVE港北)「振動吸収性と推進力のバランスが良く、心地よい巡航が楽しめる1台」遠藤誠(GROVE港北) 全体的にクセのないフィーリングと、標準でアセンブルされる28Cのワイドタイヤ、安定性の高いジオメトリーが合わさって非常に安心して乗れる車体に仕上がっています。さらにフレーム自体が持つ高い快適性のおかげで路面からの突き上げも少なく、体にも優しい乗り味で初心者でも長距離ライドに行きやすい性能なのではないかなと感じました。

ダンシングなどでパワーをかけたときの足当たりは良く、始めの加速はややマイルドなイメージです。しかしそこから速度が出てくると、グワーッとスピードが伸びるような走りを見せてくれますね。フレームのビジュアルからはエアロロードのような硬さが想像されますが、いざ乗ってみるとそんなことはなく良い意味で裏切られる乗り味になっています。

しかしフレームが力でたわむような弱さは一切なく、パワーをしっかり受け止めて前に進む力に変えてくれますね。優しさすら感じる高い振動吸収性と推進力が上手くバランスされており、走って気持ちの良い仕上がりになっている点は非常に関心させられました。カウンターヴェイルのテクノロジーが活きている証拠だと思います。

やや上げめのペースで巡航するエンデューロのようなシーンを得意とする反面、完成車のパッケージだと立ち上がりの加速や純粋な登坂の場面でややキレのなさを感じてしまいます。車重を軽くするようなカーボンパーツやかかりの良い硬めのホイールなどを合わせていくと、もっと走りは化けるでしょうね。フレームポテンシャルは十分に高いと感じたので、高速域を伸ばしてくれるセミディープからディープホイールなどに替えてあげると、さらにバイクの良さを引き出してくれそうです。

ですがクイックさもなく緊張しないで乗れる完成車仕様の扱いやすさは初級~中級ライダーには非常にオススメで、初めてのロードバイクに、または2台目のカーボンバイクへのステップアップに最適だと思いました。

シマノ105のディスクブレーキも不安感なく使っていけるので、まずは完成車そのままでイベントやレースなどどんどん出てもらいたいですね。そして徐々にパーツをアップグレードしていき、走りの変化を感じていくのも楽しいと思います。

ビアンキ Oltre XR3 Discビアンキ Oltre XR3 Disc (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
ビアンキ Oltre XR3 Disc
フレーム:Carbon w/Countervail Disc BB PressFit 86,5x41
フォーク:Carbon w/Countervail 1.1/8-1.5"
ホイール:シマノ WH-RS170
コンポーネント:シマノ105
カラー:Matt Black/CK16
サイズ:47、50、53、55、57
価 格:358,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

藤岡徹也(シルベストサイクル)藤岡徹也(シルベストサイクル) 藤岡徹也(シルベストサイクル)

大阪府箕面市にあるシルベストサイクルみのおキューズモール店で店長を務める。マトリックスやNIPPOに所属した経歴を持つ元プロロードレーサーで、ツール・ド・フクオカ優勝、ツール・ド・熊野の個人TT2位などの実績を持つ。現在は実業団レースやロングライド、トライアスロンなど幅広く自転車を嗜みスタッフとして「自転車の楽しさを伝える」ことをモットーに活動している。

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遠藤誠(GROVE港北)遠藤誠(GROVE港北) 遠藤誠(GROVE港北)

神奈川県横浜市のプロショップ、GROVE港北の店長。元々はMTB乗りとして自転車を嗜む内に現在の系列店舗スタッフとして働くように。自転車歴は10年以上でロードバイク、MTB両方に精通する豊富な知識と経験から、メカ・ポジション・乗り方まで幅広いアドバイスを提供する。”初心者にもわかりやすく”を常に心がけ、お客さんと一緒に自転車を楽しむことを重視している。

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ウェア協力:Funkier(ファンキアー)

text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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