7月2日、UCI(国際自転車競技連盟)がプレスリリースを出し、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)のサルブタモール異常値についてのアンチドーピング手続きを終了したと発表した。長期化していたサルブタモール問題は、ドーピング陽性が否定された形で決着した。

ジロ・デ・イタリアを制したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ジロ・デ・イタリアを制したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
ブエルタ・ア・エスパーニャ期間中の2017年9月7日に採取された尿サンプルから高いサルブタモールの数値が検出されたことを発端に、大きな批判を生みながら長期化していたフルームのサルブタモール問題。検出されたのはWADAが定める上限1,000ng/ml(ナノグラム・パー・ミリリットル)を大きく上回る2,000ng/mlという高い数値で、その後のBサンプル再検査でも結果は陽性だった。WADA(世界アンチドーピング機構)の規約によると、サルブタモールは禁止薬物には指定されておらず、24時間に1,600マイクログラムもしくは12時間に800マイクログラム以下の摂取であればTUE(治療目的使用に係る除外措置)の申請の必要はない。禁止薬物ではないため、フルームは問題なくレース出場を続けていた。

規則に沿って説明を求めたUCIに対し、フルームとチームスカイ側はサルブタモールの使用はパフォーマンス向上目的ではなく治療目的であると主張。疑惑が晴れない中、倫理的な批判を受けながらフルームは2018年のジロ・デ・イタリアに出場して総合優勝を飾った。

ジロ終了後、フルームは2018年6月4日にUCI側にサルブタモール異常値についての科学的な説明書類を提出。UCIはWADAの助言と多数の専門家からの科学的なレポートを精査し、最終的にパフォーマンス向上目的のドーピングの事実はなかったとの結論に至った。プレスリリースの中でUCIは、今回の結論が専門家による意見とWADAの助言、科学的に証明された事実によるものであることを強調し、今後はレースの本質に目が向けられるように求めている。これによりフルームの2017年ブエルタと2018年ジロのタイトルは確定した。

今回のUCIの発表を受けてチームスカイは即日プレスリリースを発表。その中でフルームは「UCIが私の疑惑を晴らしたことを嬉しく思う。もちろん今回の決定は私にとってもチームにとっても、そして自転車界にとって重要なものだ。ロードレース界を代表する自分の立場を深く理解し、いつも正しい行動を心がけている」とコメントしている。「自分が全くもって間違ったことを行っていないという事実から、今回の結論が出ることに疑いの気持ちはなかった。幼少期から喘息持ちで、自分の治療についてのルールをしっかりと認識した上での喘息治療を続けていた。(サルブタモール)吸引の使用限度を超えたことは一度もなかった。UCIがブエルタで検出された数値について審議を行ったことは理解出来る。機密扱いであるべき今回の一件が漏洩したことは残念で、長期化や不明確さにフラストレーションもたまった。だからこそ結論に達したことを嬉しく思う。私たちは引き続き前を向いて進み、ツール・ド・フランスに集中したい」。

フルームに対してはツール主催者ASOが出場を拒否する声明を出したばかり。UCIがドーピング無実の結論に達した今、7月3日に聴聞会を行うフランス国立オリンピックスポーツ委員会がフルームのツール出場を認める判断を下す可能性が高くなった。

text:Kei Tsuji