ツアー・オブ・ジャパンの第4ステージとなる美濃ステージが行われ、ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー)が優勝した。個人総合首位はグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が維持。山岳賞は草場啓吾(日本ナショナルチーム)が奪回した。



ツアー・オブ・ジャパン4日目は、岐阜県美濃市でのステージ。恒例となった「うだつの上がる街並」をスタートし、長良川沿いに走る1周21.3kmの周回コースを6周する。山岳賞が1ヶ所だけあるが、総じてアップダウンが控えめなコース設定のため、スプリンターズステージとなることが多い。

美濃ステージスタート前、記者会見を開いてスタートしない事を発表した新城幸也(バーレーン・メリダ)美濃ステージスタート前、記者会見を開いてスタートしない事を発表した新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Satoru Kato
スタート前、新城幸也(バーレーン・メリダ)がスタートしないことを発表した。前夜に検査をした結果、肩甲骨にヒビが入っていることが判明。苦渋の決断をした(新城コメントはこの記事の最後に)。

「うだつの上がる街並」に揃った選手達「うだつの上がる街並」に揃った選手達 photo:Satoru Kato
忍者と共にスタートラインに揃った4賞ジャージ忍者と共にスタートラインに揃った4賞ジャージ photo:Satoru Kato雨に煙る山々と長良川雨に煙る山々と長良川 photo:Satoru Kato

前日までの天気から一転して朝から雲りの岐阜県美濃市。パレードスタートに合わせるように雨が落ちはじめ、レースの進行に合わせて本降りに。気温は17℃までしか上がらず、寒さを感じる中でのレースとなった。

1周目の登りを行く5人の逃げ集団1周目の登りを行く5人の逃げ集団 photo:Satoru Kato2周目の山岳賞を争う草場啓吾(日本ナショナルチーム・左)と小石祐馬(チーム右京)2周目の山岳賞を争う草場啓吾(日本ナショナルチーム・左)と小石祐馬(チーム右京) photo:Satoru Kato

この日のレースは山岳賞争いを中心にレースが進行した。1周目、山岳賞争いをする小石祐馬(チーム右京)、草場啓吾(日本ナショナルチーム)、木村圭佑(シマノレーシングチーム)の3人と、阿曽圭佑(愛三工業レーシングチーム)、新城雄大(キナンサイクリングチーム)が逃げ集団を形成する。メイン集団との差は5分以上まで開く。

2周目に設定された1回目の山岳賞は草場が先頭通過。山岳賞ジャージを着る小石が2番手通過となり、この時点で草場が山岳賞トップになる。

4周目、山岳賞争いをする小石、草場、木村が2回目の山岳賞を前に牽制。「メイン集団とのタイム差が5分から4分に縮まり始めていたので、ここで牽制に付き合って吸収されたらチームが集団を牽引しなければいけなくなるので、先に行くことにした」と言う阿曽と新城の2人が先行する。山頂では先行する2人に続いて3位通過した草場が1点獲得し、山岳賞奪回を決める。

5周目 逃げ続ける阿曽圭佑(愛三工業レーシングチーム)と新城雄大(キナンサイクリングチーム)5周目 逃げ続ける阿曽圭佑(愛三工業レーシングチーム)と新城雄大(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru Kato5周目 逃げを追うメイン集団は各チームが協力5周目 逃げを追うメイン集団は各チームが協力 photo:Satoru Kato

一方、先行した阿曽と新城は2分の差をつけて逃げ続ける。「3人を切り離して先行するのはチャレンジだとは思ったけれど、チャンスもあると思って2人で最後まで全開で行った。美濃は愛三工業レーシングチームのホームレースでもあるので、少しでも長く逃げて見せたかった」と阿曽が言う通り、最終周回の6周目に入っても逃げる。

しかし、スプリント勝負にしたいチームが協力して追走するメイン集団が差を詰めていく。チェン・キンロ(香港、HKSIプロサイクリング)がジャンプして合流したが、残り5kmを前に逃げは全て吸収される。

フィニッシュライン上でのハンドルの投げ合いフィニッシュライン上でのハンドルの投げ合い photo:Satoru Kato
ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー)が美濃ステージ優勝ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー)が美濃ステージ優勝 photo:Satoru Kato
残り1kmから続く長良川沿いの長い長いストレートで混戦のスプリント勝負を制したのは、ミッヘル・ライム(イスラエルサイクリングアカデミー)。レイモンド・クレダー(チーム右京)が差しきれず2位。大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)が4位と続いた。

TOJキッズとグー・タッチをするミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー)TOJキッズとグー・タッチをするミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー) photo:Satoru Kato総合首位はグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ)総合首位はグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) photo:Satoru Kato

優勝したライムは個人総合3位に浮上し、新人賞ジャージも獲得。「寒いのは苦手ではないが、今日は昨日よりも10℃も気温が低かったので寒暖差にやられた。スプリントに入る際はチームイルミネイトを警戒していた。友人がイルミネイトにいるのでスプリントに強いことは知っていた。でもチームメイトがうまくリードアウトしてくれたおかげで優勝出来た」と、今日のレースを振り返った。

総合首位のグリーンジャージはこの日もグレガ・ボーレが維持。「今日は寒くて足が動かなかった。それでもチームで作戦を立てた通りリーダーを守れたので嬉しい」と話すボーレ。レースを離脱することになった新城については「ユキヤは好調でずっとサポートしてくれていたから、いなくなるのは残念だ。今朝一緒に朝食をとった時には今日のレースについては何も話さなかった。母国レースをやめるのは簡単ではないけれど、今後を考えればそれで良かったと思う」と、新城を気遣った。

山岳賞は草場啓吾(日本大学)が奪回山岳賞は草場啓吾(日本大学)が奪回 photo:Satoru Kato一方、山岳賞を奪回した草場は「山岳賞争いしている3人がお互いをマークしあってなかなか逃げが決まらなかった。やっと決まったと思ったらみんなついて来ていたので、ガチ勝負だと思った。

1回目の山岳賞から3人で牽制し合っていたが、自分のスプリント力で先行して1位通過出来た。2回目は2人が先行していたので、小石選手に1点取られないように(3位通過されないように)マークしていた。5点取れるところで取れなかったのはもったいないとは思うが、今日確実に山岳賞ジャージを取れる方法を選んだ。明日以降は厳しくなるので、可能な限り維持したい」と語った。

明日は長野県飯田市での南信州ステージ。富士山ステージを前にしての「ふるい」のステージとなり、総合優勝争いの行方がおぼろけながら見えてくる。また、拮抗している日本人選手の山岳賞争いにも注目したい。



新城「ツアー・オブ・ジャパンでなければ悩まなかった」

新城幸也(バーレーン・メリダ)を気遣ってかつてのチームメイト中島康晴(キナンサイクリングチーム)が声をかける新城幸也(バーレーン・メリダ)を気遣ってかつてのチームメイト中島康晴(キナンサイクリングチーム)が声をかける photo:Satoru Katoスタート前に緊急記者会見をした新城は「監督は僕の意向を尊重すると言っていたが、チームドクターはNOだった。僕が走ることで皆がハッピーになれるなら迷わず走ったけれど、嫌な気分になる人がいるのであればプロとして走るべきではない。色々考えてスタートしないことにした」と語った。

「ツアー・オブ・ジャパンでなかったら、昨日終わった時点で走らないと決めていたし、こんなに悩むことは無かった。これから僕の大好きなステージがあったし、このレースに合わせてきたのもあるし、簡単に諦められなかった。日本のみなさんには、またどこかで良い走りも見てもらえるようにしたい」と、複雑な心情を話した。
ツアー・オブ・ジャパン2018 美濃ステージ(139.4km) 結果
1位 ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー) 3時間23分59秒
2位 レイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京) +0秒
3位 マルティン・ラース(エストニア、チームイルミネイト)
4位 大久保 陣(チームブリヂストンサイクリング)
5位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)
6位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
7位 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ)
8位 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)
9位 パク・サンホン(韓国、LXサイクリング)
10位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
個人総合時間順位(美濃ステージ終了時)
1位 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 9時間28分23秒
2位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパヴィーニ) +5秒
3位 ミッヘル・ライム(エストニア、イスラエルサイクリングアカデミー) +8秒
4位 イアン・ビビー(イギリス、JLTコンドール) +9秒
5位 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +17秒
6位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
ポイント賞(美濃ステージ終了時)
1位 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 58p
2位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパヴィーニ) 55p
3位 イアン・ビビー(イギリス、JLTコンドール) 27p
山岳賞(美濃ステージ終了時)
1位 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 15p
2位 小石祐馬(チーム右京) 13p
3位 木村圭佑(シマノレーシングチーム) 9p
チーム総合時間賞(美濃ステージ終了時)
1位 チーム右京 28時間26分22秒
2位 NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ +1秒
3位 キナンサイクリングチーム +5秒
text&photo:Satoru Kato

最新ニュース(全ジャンル)