いよいよ7月1日(土)に開幕が迫った第104回ツール・ド・フランス。今年のツールはドイツよりスタートし、ベルギー、ルクセンブルクといった国々を通過した後フランスへ入るルートとなる。まずは最初の休息日までの前半10日間のコースレイアウトをそれぞれ紹介しよう。コース紹介後編はこちら



7月1日(土)第1ステージ デュッセルドルフ〜デュッセルドルフ(ドイツ)14km(個人TT)→ コースマップ

ツール・ド・フランス2017第1ステージツール・ド・フランス2017第1ステージ ©A.S.O. 第104回大会のグランデパールはドイツのデュッセルドルフ。ツール・ド・フランスが30年ぶりにドイツで開幕する。初日は見本市場の「メッセ・デュッセルドルフ」をスタート&フィニッシュする14kmの個人タイムトライアル。22チーム、198名の選手たちが1分間隔で「時間との戦い」に挑む。

「メッセ」をスタート後、ライン川に沿ってデュッセルドルフ中心部に向かう。オーバーカッセラー橋でライン川をまたぎ、ラインクニー橋で対岸に戻ってから観光名所ケーニヒ通りやハインリッヒハイネ通りを含む市街地を抜け、再びライン川沿いを走って「メッセ」に戻る。2つの橋を越える際のアップダウンを除いてフルフラットで、複雑なコーナーを含む中盤はテクニカル。主催者は優勝タイムを16分前後と予想しており、ここでトップタイムをマークすれば栄えあるマイヨジョーヌ着用の権利を得る。地元ドイツのTTスペシャリスト、つまり世界TTチャンピオンのトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)が優勝候補の筆頭だ。



7月2日(日)第2ステージ デュッセルドルフ(ドイツ)〜リエージュ(ベルギー)203.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第2ステージツール・ド・フランス2017第2ステージ ©A.S.O. デュッセルドルフ中心部のブルグ広場(6月29日のチームプレゼンテーションの開催場所)で第2ステージは動き出す。ライン川に面した広場から市内を9kmパレード走行(ニュートラル走行)した後にアクチュアルスタート(正式なレース開始)。スタート直後の4級山岳グラフェンベルク峠に向かって、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)狙いのアタッカーがすぐに飛び出すはずだ。

一旦デュッセルドルフの市内を通過後、ドイツ最大の人口を有するノルトライン=ヴェストファーレン州をぐるりと巡り、オランダとベルギーの三ヶ国の国境が交わるエリアを通過。オランダには立ち寄らずに144km地点でベルギーに入国する。残り20.5km地点に登場する4級山岳オルヌ峠(全長1.3km/平均4.7%)が最後の難所だが、フレッシュなスプリンターたちの勢いを止めることはできないだろう。リエージュのフィニッシュと聞けば起伏に富んだレイアウトを想像してしまうが、4級山岳オルヌ峠通過後はほぼ真っ平ら。ムーズ川に面したフィニッシュ地点でスプリンターたちが今大会最初のバトルを繰り広げる。



7月3日(月)第3ステージ ヴェルヴィエ(ベルギー)〜ロンウィ 212.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第3ステージツール・ド・フランス2017第3ステージ ©A.S.O. ベルギーからルクセンブルクを経由してフランスに向かう第3ステージはまるでアルデンヌクラシック。3カ国をまたぐ212.5kmの大半は丘陵地帯であり、アップダウンが連続するためピュアスプリンター向きではない。ずばり、スタート地点ヴェルヴィエ出身(35歳の誕生日が2日後)のフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)向きだ。

合計5つのカテゴリー山岳が設定されており、最後はロンウィの3級山岳コート・デ・ルリジューズ(全長1.6km/高低差93m/平均5.8%)を駆け上がってフィニッシュ。最大勾配11%で、登り途中に鋭角コーナーもあるこの3級山岳はジルベールに代表されるパンチャーだけでなく、いわゆる登れるスプリンターやパンチ力のあるクライマーにステージ優勝のチャンスを与える。もちろん、すべてを兼ね備えたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も優勝候補。まだ大きな総合タイム差が付いていないためステージ優勝に加えてマイヨジョーヌも付いてくるかもしれない。



7月4日(火)第4ステージ モンドルフ・レ・バン(ルクセンブルク)〜ヴィッテル 207.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第4ステージツール・ド・フランス2017第4ステージ ©A.S.O. 神奈川県より少し大きい程度(面積2,586km2)の小国ルクセンブルクから、1985年にシェンゲン協定(ヨーロッパの加入国間の自由な国境往来を許可する協定)が調印された場所であるシェンゲンの町を通過してフランスに入国。そこからパリまでの3週間弱、ツールはフランスから一歩も外に出ることはない。

残り37km地点の4級山岳トロワ・フォンテーヌ峠(全長1.9km/平均7.4%)を除いてコースは全体的にフラットだ。フィニッシュラインが引かれているのは、2008年から大会スポンサーにつくミネラルウォーターの産地として世界的に知られている人口5,000人強の小さな町、ヴィッテル。残り1kmから勾配2%ほどの緩斜面が続くが、ピュアスプリンターにとって全く問題にならないレベル。大集団スプリントに持ち込まれる可能性が極めて高いが、マイヨジョーヌ候補たちはムルト=エ=モゼル県やヴォージュ県に吹く風に警戒しながら安全に走りきりたいところ。



7月5日(水)第5ステージ ヴィッテル〜ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユ 160.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第5ステージツール・ド・フランス2017第5ステージ ©A.S.O. スプリンターたちの天下はそう長くは続かない。第5ステージのフィニッシュ地点はヴォージュ山脈にある標高1,035mの1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユ(全長5.9km/平均8.5%)。冬場はスキー場として人気の山に向かう急勾配の登りで、今大会最初のマイヨジョーヌ候補による山岳バトルが繰り広げられる。

残り6kmを切ってからコンスタントに勾配10%オーバーの急斜面が続き、残り1kmを切ると最大勾配20%の激坂区間も現れる。麓から頂上までの登坂タイムは18分前後を想定。ツールには3回目の登場で、2012年はクリストファー・フルームがステージ優勝してブラドレー・ウィギンズがマイヨジョーヌ獲得、2014年はヴィンチェンツォ・ニーバリがステージ優勝してマイヨジョーヌ獲得。つまりこの1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユでマイヨジョーヌを手にした2選手が最終的な総合優勝に輝いている。この誤魔化しがきかない登りで2017年もマイヨジョーヌは本命の手に渡るだろう。



7月6日(木)第6ステージ ヴズール〜トロワ 216km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第6ステージツール・ド・フランス2017第6ステージ ©A.S.O. 今大会最初の山岳を終え、ツールは早々にヴォージュ山脈を後にする。次なるジュラ山脈まで移動する2日間はスプリンターのためのもの。第6ステージに設定された4級山岳は2つ。第5ステージの1級山岳フィニッシュを制して20ポイントを荒稼ぎした選手から山岳賞ジャージを取り返すべく、コツコツ貯金型クライマーが合計2ポイント獲得を狙って逃げに乗ってくるだろう。

ツール9回目の登場となるオーブ県のトロワではスプリンターチームによるリードアウトバトルが見られるはず。フィニッシュ手前は真っ平ら。残り2kmのタイトコーナーを抜け、フラムルージュ(残り1kmアーチ)を通過すると2つのロータリーが登場するが、列車の隊列が崩れてしまうような障害物はないと言っていいだろう。トロワはパリから車で2時間の位置だが、選手たちがパリに向かうのはまだ2週間以上先の話。マイヨジョーヌ争いもマイヨヴェール争いもまだ序盤戦だ。



7月7日(金)第7ステージ トロワ〜ニュイ=サン=ジョルジュ 213.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第7ステージツール・ド・フランス2017第7ステージ ©A.S.O. 前日の第6ステージと同様にスプリンターのための平坦ステージ。213.5kmコースの約4分の3はコート=ドール県(直訳すると黄金の丘)に属し、中盤にかけて4級山岳を含む小刻みな起伏があるものの、ラスト50kmはほぼ完全なるフラットな平野部。終盤にかけて南、東、南、西、北と進行方向をコロコロと変えるため、風が吹けば集団内はナーバスな状態になるだろう。もちろんルーラー揃いのチームは風を利用した集団分断作戦を仕掛けてくる。

終盤にかけてコースの沿道に広がるのは、2015年にユネスコ世界遺産に登録されたブルゴーニュのワイン畑だ。パリ〜ニースに度々登場しながらツール初登場のフィニッシュ地点ニュイ=サン=ジョルジュは、ロマネ・コンティやシャンベルタンなどの世界的な赤ワインの産地であるコート・ド・ニュイの中心地。ブルゴーニュのワインを片手にスプリントバトルを観戦したい。



7月8日(土)第8ステージ ドル〜レ・ルッス・スキー場 187.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第8ステージツール・ド・フランス2017第8ステージ ©A.S.O. スイスに近いジュラ山脈を走る。標高1,000mクラスの峠を断続的に越えていくレイアウトは総合成績を動かすには十分な難易度だ。レースが進むにつれてカテゴリー山岳の難易度は3級、2級、1級とレベルアップ。フィニッシュの12km手前に登場する標高1,202mの1級山岳コンブ・ド・レジア=レ・モリュヌ(全長11.7km/平均6.4%)が最大の難所だ。

1級山岳コンブ・ド・レジア=レ・モリュヌは3〜8%程度の勾配を刻む登りであり、頂上通過後に短い平地と下り、登り、そして平地を経てフィニッシュを迎える。レ・ルッスのスキー場がツールのフィニッシュを迎え入れるのは2010年以来2回目。8年前はシルヴァン・シャヴァネルが逃げ切り勝利を飾り、4日前に手放していたマイヨジョーヌを取り戻している(当時はアプローチが異なる)。2017年の第8ステージも再び逃げグループがチャンスをつかむ可能性も高く、序盤のアタック合戦は熾烈を極めるだろう。



7月9日(日)第9ステージ ナンテュア〜シャンベリー 181.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第9ステージツール・ド・フランス2017第9ステージ ©A.S.O. アルプスやピレネーの陰に隠れがちだが、このジュラ山脈の真骨頂とも言える第9ステージは獲得標高差が4,600mオーバーで、今大会最難関のクイーンステージとも言われる。スタート直後から登りが始まり、中盤には超級山岳ビシュ峠(全長10.5km/平均9%)と超級山岳グランコロンビエール(全長8.5km/平均9.9%)が連続。いずれも実質的な勾配が10%を超える急勾配の登りであり、グランコロンビエールに至っては最大勾配22%の激坂区間もある。この2連続超級山岳で早くも集団はエース級選手に絞られる。

そして最後に待つのが超級山岳モン=デュ=シャ(全長8.7km/平均10.3%)だ。勾配12〜15%の区間が延々と続く激坂ぶりで、しかも標高1,504mの頂上通過後はテクニカルかつハイスピードなダウンヒルが待っている。残り13.5km地点から始まる平坦路で挽回は可能だが、すでに5時間以上にわたって高強度走行している選手たちの脚に力が残っているかは不明。ちなみに超級山岳モン=デュ=シャの登りと下りはクリテリウム・デュ・ドーフィネ第6ステージで登場済み。その「リハーサル」時、集団は急勾配の登りで完全に破壊され、下りでクリストファー・フルームが華麗なダウンヒルを披露している。



7月10日(月)休息日



text:Kei Tsuji
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