いよいよ7月1日(土)に開幕迫る第104回ツール・ド・フランス。最初の休息日を明けた後は南フランスを舞台にした平坦ステージをこなし、ピレネー、アルプスに突入。マルセイユでの個人TTを経て千秋楽・パリへと向かう。後半10日間のコースレイアウトをそれぞれ紹介しよう。コース紹介前編はこちら



7月11日(火)第10ステージ ペリグー〜ベルジュラック 178km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第10ステージツール・ド・フランス2017第10ステージ ©A.S.O. 第9ステージのジュラ山岳決戦を終えた選手たちはシャンベリーから空路でフランス南西部のドルドーニュ県まで移動。ひと時の休息をとったプロトンはペリグーで第2週をスタートさせる。4級山岳が2つ設定されただけの178kmコースで再びスポットライトはスプリンターに当てられる。道幅のある平坦路でリードアウトトレインが主導権争いを繰り広げ、フラムルージュ通過後に登場する2つの左直角コーナーを抜けてエーススプリンターを解き放つ。

他のグランツールと比べると、ツールのコースは道幅があり、どちらかと言うと単調で、細かい仕掛けがない場合が多い。完全にクライマー向きの山岳ステージと完全にスプリンター向きの平坦ステージに二分されがちで、2017年はその傾向が例年より強い。とにかく平坦ステージで逃げ切りを決めるのは相当難しい。



7月12日(水)第11ステージ エイメ〜ポー 203.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第11ステージツール・ド・フランス2017第11ステージ ©A.S.O. エイメからロット=エ=ガロンヌ県とジェール県、ランド県をまたいでピレネーザトランティック県まで南下する203.5kmは前日に引き続いてフラット。ちょうどレース中盤104.5km地点で通過するラバスティド=ダルマニャックの町にはノートルダム・デ・シクリストという自転車乗りのための教会がある。イタリアのマドンナ・デル・ギザッロ教会から着想を得て自転車の聖地となった同教会の前をツールが通過するのは2000年以来5回目。

ポーがツールを迎えるのは69回目で、これはパリ(103回)とボルドー(75回)に次いで3番目に多い数字。街中にあるいくつものラウンドアバウトを越えて、スプリンターたちを先頭にマキ・デュ・ベアン通りに引かれたフィニッシュラインに飛び込むことになるだろう。ピレネーの玄関口であるポーにツールが到着。つまり翌日から選手たちはピレネー山脈に足を踏み入れる。



7月13日(木)第12ステージ ポー〜ペイラギュード 214.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第12ステージツール・ド・フランス2017第12ステージ ©A.S.O. ポーから約50kmの平坦路を走ってからコースはピレネー山脈へと入っていく。手始めに2級山岳アレス峠(全長7.4km/平均4.6%)と1級山岳マンテ峠(全長6.9km/平均8.1%)に挑み、一旦下ってから標高1,755mの超級山岳バレ峠(全長11.7km/平均7.7%)に向かって高度を上げていく。勾配が10%を超える区間もあるバレ峠をクリアすると、そこからフィニッシュまでまだ30.5kmある。

2012年に初登場した2級山岳ペイラギュード(全長2.4km/平均8.4%)がこのピレネー最難関ステージのフィニッシュ地点だ。カテゴリー2級と侮るなかれ、フィニッシュラインが引かれたペイルスルド・バレスタス空港の小型機専用滑走路は最大16%の激坂で、しかも直前に登場する1級山岳ペイルスルド峠(全長9.7km/平均7.8%)との組み合わせはカテゴリー超級に匹敵する難易度だと言っていい。007トゥモロー・ネバー・ダイの撮影にも使用された急勾配の登り滑走路での珍しいバトルは見ものだ。



7月14日(金)第13ステージ サン・ジロン〜フォワ 101km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第13ステージツール・ド・フランス2017第13ステージ ©A.S.O. ステージ全長は前日の半分以下の101km。しかしコースの短さはイージーなレースを意味しているわけではない。逆に密度が濃く、スピードが速く、高強度の戦いが待っている。しかも舞台は引き続きピレネー山脈で、3つの1級山岳がサン・ジロンとフォワの間に鎮座している。

1級山岳ラトラップ峠(全長5.6km/平均7.3%)と1級山岳アニェス峠(全長10km/平均8.2%)をハイスピードで駆け上がった集団は、続いて「壁」という名前がついた1級山岳ミュール・ド・ペゲール(全長9.3km/平均7.9%)にアタック。最大勾配が18%に達し、頂上手前3.3kmの平均勾配が12.9%に達する「壁」が初めてツールに登場したのは1973年のこと。鋲が巻かれて30人がパンクした苦い思い出の2012年以来の登場となる。マイヨジョーヌ争いも動くと見られるが、フランス革命記念日だけにフランス人選手たちによる大逃げに期待したい。



7月15日(土)第14ステージ ブラニャック〜ロデーズ 181.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第14ステージツール・ド・フランス2017第14ステージ ©A.S.O. エアバス社が本社を置くトゥールーズ郊外のブラニャックから、ひまわり畑が広がる平野と丘陵を東へ。ピレネーとアルプスを繋ぐステージはスプリンター向きの平坦コースになりがちだが、2017年は中央山塊(マシフ・サントラル)を通過する。第14ステージの後半には2つの3級山岳を含む細かいアップダウンが組み込まれており、決してスプリンター向きのステージとは言えない。

ロデーズのフィニッシュ地点はパンチのある登り基調。残り570mから登りに転じ、平均勾配9.6%という斜面を駆け上がってフィニッシュに至る。グレッグ・ヴァンアーヴェルマートがペテル・サガンとの接戦を制した2015大会の第13ステージと同じフィニッシュレイアウトであり、ピュアスプではなくパンチャー向き。再びリオ五輪チャンピオンや世界チャンピオンによるバトルに持ち込まれる可能性が高い。



7月16日(日)第15ステージ レザック・セベラック・レグーズ〜ル・ピュイ・アン=ヴレ 189.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第15ステージツール・ド・フランス2017第15ステージ ©A.S.O. 中央山塊(マシフ・サントラル)を走る第15ステージはずばり逃げ向き。ピュアスプリンターが太刀打ちできない難易度のため、序盤の1級山岳ラ・モンテー・ナーヴ・ドブラック(全長8.9km/平均6.4%)で形成された先頭グループに総合上位の選手が入らない限り、メイン集団が血眼になって逃げを追う理由がなくなる。

とは言え休息日を翌日に控えているため、残り31.5km地点の1級山岳ペイラタイヤード峠(全長8.3km/平均7.4%)で総攻撃を仕掛けてくる総合系チームも出てくるかもしれない。ツール初登場のこの峠には中盤にかけて最大14%の急勾配区間も登場。ここでサプライズアタックが生まれることも十分に考えられる。崖の上の聖母像に見下ろされたル・ピュイ・アン=ヴレのフィニッシュ地点は過去に何度も逃げ切りが決まっている場所。オート=ロワール県の人口2万人の町が今大会2回目の休息の地となる。



7月17日(月)休息日



7月18日(火)第16ステージ ル・ピュイ=アン=ヴレ〜ロマン=シュル=イゼール 165km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第16ステージツール・ド・フランス2017第16ステージ ©A.S.O. サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路の起点であるル・ピュイ=アン=ヴレをスタート。勝負の最終週が始まった。休息日明けはリズムを崩す危険度が高いだけに、マイヨジョーヌ候補たちは第16ステージがスプリンター向きであることに胸をなで下ろしていることだろう。165kmコースの前半は3級山岳と4級山岳を含む山岳地帯だが、ローヌ川が作り出した広大な渓谷を走る後半には大きな登りが登場しない。

ワイン造りが盛んなローヌ渓谷特有の強い風が吹けば荒れた展開になり得るが、この日は集団スプリントの公算が大。イゼール川にかかる橋を渡ってフラムルージュをくぐり、3つのラウンドアバウトを含む連続コーナーを抜けてジャンジョレス広場でフィニッシュを迎える。これが今大会6〜7回目の集団スプリントのチャンス。この頃にはパリでの最終的なマイヨヴェールの持ち主が見えてきているはずだ。



7月19日(水)第17ステージ ラ・ミュール〜セール・シュヴァリエ 183km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第17ステージツール・ド・フランス2017第17ステージ ©A.S.O. アルプスの標高ある峠が牙をむく。ラ・ミュールからアルプス奥深くのセール・シュヴァリエを目指す183kmコースに登場するカテゴリー山岳は4つ。30km地点の2級山岳オルノン峠は前菜に過ぎず、ラルプデュエズの横をかすめてプロトンは超級山岳クロワ・ド・フェール峠(全長24km/平均5.2%)に向かう。その名の通り頂上に「鉄の十字架」が立つ標高2,067mの峠がツールに登場するのは19回目だ。

一旦標高625mまで下がった先に待つのが、1級山岳テレグラフ峠(全長11.9km/平均7.1%)と超級山岳ガリビエ峠(全長17.7km/平均6.9%)の定番のコンビネーション。標高2,642mのガリビエ峠が今大会の最高地点であり、先頭通過の選手にはアンリ・デグランジュ賞が与えられる。これまで33回ツールに登場し、6年ぶりに姿を見せるガリビエ峠。登りを進むにつれて勾配が増すのが特徴で、頂上通過後は28kmかけて高低差1,239mを下ってフィニッシュを迎える。アルプスを代表する峠をつないだこの難関山岳ステージのレース時間は6時間近くになる。



7月20日(木)第18ステージ ブリアンソン〜イゾアール 179.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第18ステージツール・ド・フランス2017第18ステージ ©A.S.O. 2017年のマイヨジョーヌをかけた最後の山岳決戦の舞台となるのが、イタリア国境に近い超級山岳イゾアール峠(全長14.1km/平均7.3%)の山頂フィニッシュだ。標高2,360mの峠はこれまで34回にわたってツールの通過を見届けているが、フィニッシュ地点として登場するのはこれが初めて。森に覆われた登りは残り2.5km地点のプラトリエール峠通過とともに突如視界が開ける。短い下り区間を経て、岩肌が露出した独特の景観が広がる「カスデゼルト」を残り2km地点で通過。そこからさらに10%近い勾配を進んでようやくイゾアール峠の頂上に到達する。

イゾアール峠に向かうルートは決して容易ではなく、残り50km地点でピークを迎える1級山岳ヴァール峠(全長9.3km/平均7.5%)が最初のセレクションの場となる。総合大逆転を狙うチームはヴァール峠まで待たずに序盤の3級山岳から仕掛けてくるかもしれない。



7月21日(金)第19ステージ アンブラン〜サロン=ド=プロヴァンス 222.5km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第19ステージツール・ド・フランス2017第19ステージ ©A.S.O. 例年であれば最終山岳ステージから立て続けに最終個人TTもしくはパリ凱旋に向かうが、2017年はその間にワンクッション置く。アルプス山脈のアンブランから2つの3級山岳を越えて、徐々に高度を下げながらプロヴァンスに向かう。コース全長は今大会最長の222.5kmであり、マイヨジョーヌ候補たちは翌日の最終個人TTに向けて山岳のダメージからリカバリーしたいところ。

ツール初登場のサロン=ド=プロヴァンスに向かうルートは集団スプリント向きだが、同時に逃げ切り勝利を狙うアタッカーにとってのラストチャンスでもある。残り3kmを切ってからラウンドアバウトが2つ連続し、その後も立て続けに直角コーナーが登場。集団スプリントに持ち込まれた場合は、リードアウトトレインが組みにくいレイアウトだけに、混沌とした状態で勝負が始まることになりそうだ。



7月22日(土)第20ステージ マルセイユ〜マルセイユ 22.5km(個人TT)→ コースマップ

ツール・ド・フランス2017第20ステージツール・ド・フランス2017第20ステージ ©A.S.O. 第104代マイヨジョーヌを決める22.5kmの個人タイムトライアル。プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏の首府で、地中海に面したフランス最大の港湾都市マルセイユ(人口85万人)を走るコースは「一部」を除いてフルフラットだ。

その「一部」とは、標高116mの丘の上に位置するノートルダム・ド・ラ・ガルド教会に向かう急勾配の登りと下り。別名モンテ・ド・ロラトワールと呼ばれる登りは全長800mで平均勾配が12.5%に達する。TTバイクを振り回してこの急勾配の教会巡礼路をクリアし、同じだけ下ってマルセイユのオランジュ・ヴェロドロームにフィニッシュする。その名の通りかつては自転車競技トラック(ヴェロドローム)が存在したが、1980年代の改装によってトラックは廃止されており、現在はサッカーやラグビーのスタジアムとして機能している。3週間、距離にして3,437km(最終日を合わせると3,540km)におよぶマイヨジョーヌ争いがこの「時間との戦い」で決着する。



7月23日(日)第21ステージ モンジュロン〜パリ・シャンゼリゼ 103km → コースマップ

ツール・ド・フランス2017第21ステージツール・ド・フランス2017第21ステージ ©A.S.O. ツールの一行はマルセイユからパリまで780kmの大移動。選手たちはチャーター機でパリに降り立つ。関係車両はもちろん陸路で移動するため、最終ステージのスタート時間は16時40分と遅めだ。そのぶんフィニッシュ時間も遅くなる(19時18分前後)が、当日パリの日の入りは21時40分なのでレース後も、表彰式の最中も、シャンゼリゼ通りはまだ明るい。

パリ郊外のモンジュロンからパレード走行がスタートし、マイヨジョーヌがチームメイトとシャンパンで乾杯しながらパリを目指す。セーヌ川沿いを走ってパリ万博の際に建設された展示会場グラン・パレの横からシャンゼリゼ通りに入る(ルーヴル美術館は通過しない)。最後は凱旋門の周回道路を含む7km周回コースを8周。石畳で跳ねるバイクを押さえ込んで、スプリンターたちが最後のバトルを繰り広げる。




text:Kei Tsuji
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