工業大国ドイツに拠点を構える総合バイクブランド、コラテック。堅実なバイクづくりに定評があるコラテックのミドルグレード、R.T.CARBONがフルモデルチェンジ。旗艦モデルである「CCT EVO」の設計を受け継ぐ、セミエアロロードとして新たに生まれ変わった一台をインプレッション。



コラテック R.T.CARBONコラテック R.T.CARBON (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
ドイツ南部に位置するバイエルン州。その州都であり最大の都市であるミュンヘンの近くローブリングに本拠地を置くバイクメーカーが今回紹介するコラテックだ。ワールドチームへと供給を行っていないこともあり、日本のロードレースファンにとっては馴染みの薄い存在かもしれないが、その実欧州では高い人気と知名度を誇る実力派のブランドである。

プロレーサーの使用に耐えるハイエンドロードレーサーやMTBから、シティコミューターやキッズバイクに至るまで、およそ余すところのなりラインアップを揃える総合バイクブランドであるコラテック。日本で例えるならば、ブリヂストンサイクルのような存在だといえるだろうか。

ライオンのエンブレムが輝くトップチューブライオンのエンブレムが輝くトップチューブ テーパードヘッドを採用するテーパードヘッドを採用する 特徴的なプロコントロールフォーク特徴的なプロコントロールフォーク


そんなコラテックの始まりは1990年。100年以上の歴史を誇るチクリが数多く存在するヨーロッパの自転車ブランドとしては、比較的若いブランドである。ヨットの技術を取り入れ、ケーブルテンションによってサイズを可変させるアジャスタブルフレームを発表するなど、その技術力や独創的な設計によって、ブランド立ち上げ当初から多くの注目を集めていた。

とはいえ、そのように変わり種の自転車ばかりを作っていたわけではない。レーサーの要望に応えることができるレースバイクの製作にも熱心であった。特に有名なのはMTBにおいてだろう。トップチューブとシートステーをあらかじめ曲げ加工を施した一本のパイプとすることで、衝撃吸収性を向上したMTBフレーム「X-BOW」はブランドの代名詞ともいえる傑作として、世界中のサイクリストにインパクトを与えた。ベテランMTBレーサーの中には、1995年のワールドカップでヤン・オステルガードと共にデビューしたバイクを今でも覚えている人はいるのではないだろうか。

シートステーとトップチューブが接続されるようなデザインシートステーとトップチューブが接続されるようなデザイン ボックス形状のトップチューブボックス形状のトップチューブ

特徴的なロープロファイルチェーンステー特徴的なロープロファイルチェーンステー ジャーマンブランドであることを主張するエンブレムジャーマンブランドであることを主張するエンブレム


もちろん、ロードレースにおいてもしっかりと成績を残している。近年ではプロコンチネンタルチームであるチーム・ロスに供給し、ヨーロッパツアーを中心に活躍している。少し歴史を遡れば、2005年のジロ・デ・イタリアでは3つの山岳ステージで勝利するという実績も残している。

ユニークな設計コンセプトと高い技術力を持つコラテックは、昨年フラッグシップモデルをモデルチェンジ。丸パイプを使用したオーソドックスなフレームであった「CCT PRO」から、カムテール形状パイプを使用したエアロロード「CCT EVO」をデビューさせた。

ボトムブラケットもねじ切りタイプという信頼性重視の設計だボトムブラケットもねじ切りタイプという信頼性重視の設計だ シートステー集合部はトラディショナルな2本出しのデザインシートステー集合部はトラディショナルな2本出しのデザイン


大きなモデルチェンジを果たしたハイエンドモデルに続き、その設計を受け継ぐ形でフルモデルチェンジを果たしたミドルグレードバイクが今回紹介する「R.T.CARBON」である。全体的なフォルムはCCT EVOとほぼ共通とされつつ、カーボンのグレードを調整することでコストを抑えた戦略モデルだ。

リアエンド近辺でチェーンステーをオフセットさせることで、チェーンとのクリアランスを確保する「ロープロファイルチェーンステー」や、フォーククラウン付近でいったん手前にオフセットするようなデザインの「プロコントロールフォーク」といった、コラテックバイクのエッセンスとも言える設計は、前作より受け継ぎつつも、より洗練されたデザインへと昇華され、さらなる完成度を手に入れている。

トップモデルであるCCT EVOと外見上の大きく異なる点は、ブレーキのマウント方式となる。前後共にダイレクトマウントブレーキを採用していたCCT EVOに対して、R.T.CARBONは通常のキャリパーブレーキを使用している。より汎用性とメンテナンス性に優れ、初・中級者にも扱いやすい仕様となっている。

細身のシートステーが振動吸収性を向上させる細身のシートステーが振動吸収性を向上させる リアホイールに沿うような形でカットオフされたシートチューブリアホイールに沿うような形でカットオフされたシートチューブ カムテール形状のダウンチューブカムテール形状のダウンチューブ


トラディショナルな規格を採用するのは、ボトムブラケットも同じだ。前モデルに引き続き、ボトムブラケットはスレッド式とされている。圧入式のBBが流行している中、バイクの扱いに慣れていない初級者もターゲットとしたミドルグレードにおいてコストが嵩むにも関わらず、堅牢で信頼性の高いねじ切りBBを採用するところに、質実剛健なジャーマンブランドの見識が現れている。

そして、もうひとつ。完成車での高い組み立て精度もこのバイクの大きな魅力の一つである。フレームとして輸入されたR.T.CARBONは、自転車産業のお膝元である大阪府堺市の㈱ワコーで信頼の技術と徹底した品質管理のもとで組立られている。また、ユーザーのニーズに合わせて、TIAGRAからDURA ACE Di2まで、コンポーネントを選ぶことができることも嬉しい特徴だ。

今回のインプレッションバイクのコンポ―ネントはULTEGRAで組み上げられ、ホイールはフルクラムのRacing Zeroがアセンブルされている。(販売されるULTEGRA完成車はRacing 7を採用する。)実直な設計の元に生まれたミドルグレードバイクの実力を2人のインプレッションライダーはどう評価するのか。それではインプレッションに移ろう。



ーインプレッション

「反応性・安定性に優れ、ミドルグレードながら価格以上の性能」藤岡徹也(シルベストサイクル)

コラテックには、普段あまり乗ることがないためのですが、ドイツブランドということもあり重量があってしっかりとしたバイクなのだろうというイメージがありました。しかし、このバイクはそのイメージを良い意味で裏切ってくれました。軽快感があり反応性も良く、非常に気持ち良く進む1台ですね。

軽やかな走行感が印象的ですが、軽量バイクのようなヒラヒラとした乗りにくさはありません。むしろ高い安定感があり、下りも安心してこなせる完成度の高さを感じました。重心を低くする独自のチェーンステイ構造が、その安定感を生み出しているのではないでしょうか。

「反応性・安定性に優れ、ミドルグレードながら価格以上の性能」藤岡徹也(シルベストサイクル)「反応性・安定性に優れ、ミドルグレードながら価格以上の性能」藤岡徹也(シルベストサイクル) BB周りのボリュームや大口径のチューブにより剛性も確保しつつ、全体的にコンパクトにまとめられたフレーム形状によって、無駄なたわみやしなりを抑えています。その辺りが高い反応性に寄与していると感じます。登りで加速したい際に踏みこんだ力に素早く反応し、ついてきてくれるような走りの軽さですね。

加速性が良く、アップダウンのあるコースやコーナーの多いコースはこのバイクの得意分野でしょう。ハンドリングも安定しているので、細かいコーナーでも軽快に合わせることができますし、コーナーでイン側にバイクを傾けても安心して曲がっていけるバランスの良さがありました。

その反応性の高さ故に思わず踏みたくなるフレームで、テストライドではついつい重いギアを踏んでしまいがちでした。ここは自分をコントロールしないと長時間のライドでは脚にくるかもしれません。気持ち良さに負けず、ペース配分を考えて走らなければならないと感じました。普段は踏みたい気持ちを抑え、1枚軽いギアで力をセーブしつつケイデンスを上げて走りつつ、要所要所では重いギアを掛けていくことが出来るバイクです。乗り味がレース向けになっているため、ポタリングやロングライドでゆったり走るというよりは、人と競うシチュエーション向きですね。

フレームの作りを見ると、最近は圧入式のBBが多い中でこちらはJIS規格のねじ切りBBになっているため、自分で分解・組み立てもしやすく、セルフメンテナンス性に優れています。工具さえあればすぐにBBを外せるため定期的な掃除やグリスアップも行いやすいのは良いですね。

また、リアディレーラーへのワイヤリングも秀逸ですね。シフトワイヤーへの負担も少ないためシフトも軽いですし、組み立てもしやすいですね。見た目は薄いフォークですが、横剛性もしっかりしていて、下りで曲がりながらのブレーキングでも何の不安も感じません。

今回は硬めのホイールを合わせてテストしたため、反応も良く登りでの加速も申し分なかったですが、これをディープリムのホイールに変えても平坦で速度が伸びる気持ちのよい走りになると思います。硬いホイールを合わせても脚にくる感じはなく、どんなホイールでも相性は良いと感じました。

フレームセットで21万円台とミドルグレードらしいお手頃な価格帯ですが、性能と比較すると大変お買い得感があると思います。自分の好きなパーツで組めば愛着が湧きますし、レーシーなフレームなので実業団等のレースで使用しても全く問題ない性能を持っている1台だと感じました。

「剛性の高さを感じられるオールラウンドなバイク」渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)

ミドルグレードながら剛性が高く、踏んだら踏んだ分だけ反応してくれるフレームですね。短めのヒルクライムで活躍してくれそうなバイクだと感じました。チェーンステイとシートチューブの剛性が高いことで、ここぞという時の踏み込みにしっかり反応してくれるため、パンチャーの脚質と相性が良さそうです。

重いギアを掛けたダンシングでも反応の良さを見せてくれますし、軽いギアで回してもパワーが逃げる感覚もありません。ダンシングでヒラヒラするような不安定感も無く、バイクの振りやすさも感じました。不得意なシチュエーションは思いつかないですね。オールラウンドに活躍するレーサーとして高い完成度を持っています。

「剛性の高さを感じられるオールラウンドなバイク」渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)「剛性の高さを感じられるオールラウンドなバイク」渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)
硬さがあるフレームでパワーを逃がさないため、踏んだ分だけ脚を使うかもしれません。長いレースやロングライドではペース配分を考えて走りたいですね。それでも、ハイエンドのさらに硬いモデルよりは脚残りは良いと思います。

振動吸収性に関しては、多少地面からの突き上げ感はありますが、嫌な突き上げではなくむしろ心地良いレベルと言えます。今回はタイヤの空気圧を8気圧でテストしましたが、これを7気圧に落としせば、よりマイルドな乗り心地となり面白いと思います。

フレーム特性を考えると、柔らかめのホイールを合わせるとフレームがたわまない分、ホイールがよれる感覚になるかもしれません。今回アッセンブルされたフルクラム レーシングゼロのような、軽量で硬いホイールとは特に相性が良いと感じました。もしくはマヴィックのR-SYSのようなカーボンスポークのホイールを合わせれば、反応性はそのままにフレームの硬さをいなしてくれると思います。直進安定性の高いフレームですので、リムハイトが高いホイールを合わせて巡航性を上げるのも良いですね。

ハンドリングに関しては、マイルドとシャープの中間という印象を受けました。ハンドルを切ったら切った分だけ切り込んでくれますが、高速域でのコーナリングはそこまで得意ではないと感じました。ですが、コーナーの立ち上がりなど脚を止めてからの再スタートは失速感もなくスムーズですね。

近年はエアロフレームの流行もあって、ボリュームのあるフレームが多いですが、このフレームは見た目もスマートでBB周りの造形も良く万人受けするデザインに仕上がっていると思います。硬めのフレーム剛性ですから、ある程度脚力に自信のある方にオススメしたいですね。1台目がアルミフレームだった方のステップアップには、このフレームのテイストはぴったりではないでしょうか。

コラテック R.T.CARBONコラテック R.T.CARBON (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
コラテック R.T.CARBON アルテグラ完成車
フレーム:CORRATEC RT SL EPS カーボン
フォーク:CORRATEC RT フルカーボン PRO CONTROL FORK
サイズ:46、48、51cm
カラー:WHITE/BLUE、CARBON/BLUE
メインコンポーネント:アルテグラ
ホイール:フルクラム レーシング7
価 格:314,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

藤岡徹也(シルベストサイクル)藤岡徹也(シルベストサイクル) 藤岡徹也(シルベストサイクル)

シルベストサイクルみのおキューズモール店で店長を務める28歳。プロロードレーサーとしてマトリックスやNIPPOに所属し国内外のレースを転戦。ツール・ド・フクオカでは優勝、ツール・ド・熊野の個人TTで2位などの実績を持つ。今もシルベストの一員として実業団レースに参戦中。スタッフとして乗り方や最適なアイテムの提案、走行会を通じて「自転車の楽しさを伝える」ことをモットーに活動している。

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渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)渡辺匡(スポーツサイクルサカモト) 渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)

新潟県三条市のスポーツサイクル サカモトで、メカニック作業から接客まで幅広く担当する。自転車にのめり込んだきっかけはオートバイレースのトレーニング。ロードバイクやMTB、小径車などジャンルを問わず探求し、特にブロンプトンに関しては造詣が深い。接客では製品のメリットとデメリットを丁寧に説明した上で、ユーザーに適したサービスや製品を提案することを大切にしている。

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ウェア協力:ピアソン

text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO

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