独自の設計で人気を誇るスイスのバイクブランド、BMC。エンデュランスバイクという位置付けに留まらず、あらゆるシーンでのライドを可能にした新たなモデル「Roadmachine 01」を紹介しよう。



BMC Roadmachine 01(ホワイト/ ブルー)BMC Roadmachine 01(ホワイト/ ブルー) (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
UCIプロツアーサーキットで活躍するレーシングチームを所有するなど、密接に、かつ積極的にプロレースとの関わりを持つスイスブランド、BMC。高級時計や光学機器など精密機械産業を得意とするスイスを拠点とし、他メーカーとは一線を画する設計思想で人気を博しているブランドだ。

そんなBMCのロードラインアップに新たに追加されたのが、エンデュランスバイクの「roadmachine(ロードマシン)」シリーズだ。国際自転車競技連合(UCI)がプロレースでの使用解禁をアナウンスしたことを発端に開発が加熱しているディスクブレーキ装備のロードバイクであり、同社のグランフォンド/石畳クラシックレース用ライン「granfondo」シリーズからのフィードバックを大きく注ぎ込んだモデルだ。位置付けとしてはピュアレーサーのteammachine(チームマシン)シリーズとgranfondoシリーズの中間であり、俊敏な走りと振動吸収性の両立をターゲットに据えて開発されている。

振動吸収性を高めるD型コンプライアンスシートポスト振動吸収性を高めるD型コンプライアンスシートポスト 空力を考えられたなめらかなくびれを見せるヘッドチューブ空力を考えられたなめらかなくびれを見せるヘッドチューブ ブレーキへのオイルラインはフォーク内を通り、ギリギリまで内装化されているブレーキへのオイルラインはフォーク内を通り、ギリギリまで内装化されている


設計にあたってはデザインやカーボン積層を緻密にコントロールして振動吸収性とねじれ剛性のバランスを高める「TCC(tuned compliance concept)」を一からやり直し、新しいジオメトリーとの組み合わせによって、高バランスかつ快適なフレームが生み出された。なおgranfondoシリーズやCX用のcrossmachine(クロスマシン)とは異なり、フォーク先端やチェーンステー後端を屈曲させ快適性を高める「TCC/Angle」テクノロジーは採用されていない。その分SLR寄りのシャープな味付けとなっているが、新型の「D」型断面コンプライアンスシートポストを組み合わせることで快適性を維持している。

ディスクブレーキは現在の主流規格であるフラットマウント。ローター径は前160mm、後140mmという組み合わせをデフォルトとしている。granfondoシリーズのディスクブレーキモデルはクイックリリースが用いられていたが、roadmachineでは前後12mmスルーアクスルに進化した。併せてリアエンドの142mm幅化も行われており、強い制動力を逃さず、さらにエンド剛性を確保することでスムーズなハンドリングを実現している。グラベル(未舗装)ライドや、それらを含むハードなエンデュランスライドへの対応力も増したと言えるだろう。

クランプが内装されスッキリとしたチューブ集合部。トップチューブには本国開発を意味するスイスのマークが光るクランプが内装されスッキリとしたチューブ集合部。トップチューブには本国開発を意味するスイスのマークが光る 上側は引っ掛け、下側をボルト留めでハンドルを固定する専用ステム上側は引っ掛け、下側をボルト留めでハンドルを固定する専用ステム

BMCらしい大口径のダウンチューブBMCらしい大口径のダウンチューブ フラットマウント採用のディスクブレーキ。リアローターは160mmが付属するフラットマウント採用のディスクブレーキ。リアローターは160mmが付属する


BMCらしさを漂わせる、直線的なフォルムを纏うroadmachineシリーズ。しかし流線型断面のフロントフォーク上部〜ヘッドチューブ周辺のデザインなどは同社のエアロロードtimemachine(タイムマシン)シリーズを意識したものだ。エアロロードとまではいかないものの、それに近いチューブ形状は高速域での巡行性にも期待させてくれる部分。専用ステムの採用によってDi2ケーブル/油圧オイルラインがステム〜ヘッドチューブ内部にフル内装(機械式の場合、ステム部分は外装)されるため、ルックスのクリーンさはtimemachineシリーズをも凌ぐほどだ。

ステム内部を通ったDi2ケーブルとオイルラインは、スペースを確保するべく長方形断面にしたオリジナルコラムの隙間を介してヘッドチューブ内部下側で分岐する仕組みだ。ステムとトップキャップとの間にコラムスペーサーを積むことができないため、ハンドルを下げる際は都度コラムカットが必要だが、高さが異なる2種類のトップカバーを付属させる「デュアルスタックシステム」を用意し、更にスペーサーを用いることでアップライトからレーシーなポジションまで幅広く調節することが可能だ。専用ステムの長さも90〜130mmまでの10mm刻みで用意され、調整の幅はかなり広いと言えるだろう。

フレームに直付けで装備されるチェーン落ちガードフレームに直付けで装備されるチェーン落ちガード 機械式シフトの場合、写真の位置で前後まとめてダウンチューブ内に内装化される機械式シフトの場合、写真の位置で前後まとめてダウンチューブ内に内装化される


ディスクブレーキのマウントを装着した際にフォークデザインが一体化するよう用意された切り欠き、一体式チェーン落ちガードなど、BMCラインアップ中において最もインテグレートデザインが推し進められたこともトピックの一つ。

フレーム重量も930g(54サイズ)と軽量で、完成車でも7.7kg(アルテグラDi2完成車)ほどに収まるため、一般的なロードバイクに比べ重量増となるディスクブレーキロードの弱点を見事に克服している。ボトムブラケット規格はBB86、ヘッド規格は上1-1/8、下1-1/2インチと一般的な規格であり、整備面、カスタム面でも不安は無い。

上端で急激に太さの変わる独特のエアロ形状フォーク上端で急激に太さの変わる独特のエアロ形状フォーク トップカバーは高さの違う2種類が用意されるトップカバーは高さの違う2種類が用意される コンパクトなリア三角とタイヤに沿って湾曲を見せるシートチューブコンパクトなリア三角とタイヤに沿って湾曲を見せるシートチューブ


今回テストしたのはシリーズ最高峰モデルの「01」で、機械式アルテグラで組んだ64万円の完成車。ホイールはDTスイスのR32Spline dbだ。ディスクブレーキロードバイク戦国時代にBMCが投じた、ホビーユーザーの伴侶の実力に迫りたい。



ー インプレッション

「踏み出しの軽さが光る。あらゆるシーンでのライドに対応可能」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)

UCI規定で2016年いっぱいはディスクブレーキ搭載バイクがレースで使用できませんが、それが惜しいほどの仕上がりです。アッセンブルされたホイールが決して軽くないにも関わらず、その走りは非常に軽快でした。ディスクブレーキの採用により、多くのシチュエーションに対応できるようになり、厳しいグランフォンドや長距離のロングライドでも楽しく走れる要素を備えているバイクだと感じました。

ピュアレーシングモデルのSLR01は硬さ故にパワーがないと踏み負けてしまうフレームと感じていましたが、このroadmachine01はしっかりとした剛性がありながら、踏み出しが軽いため低出力でもしっかりと加速してくれます。軽いギアでの進み出しがびっくりするくらい軽快で、低速発進に優れるため斜度のきついヒルクライムでも活きるバイクではないでしょうか。

「踏み出しの軽さが光る。あらゆるシーンでのライドに対応可能」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)「踏み出しの軽さが光る。あらゆるシーンでのライドに対応可能」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
ですからパワーを掛けていくというよりは、平均的な出力を出しながら淡々と登るのに向いていると感じますね。時に踏み込んだ際にボトムブラケット周辺の「戻り」が早く、それが踏み出しの軽さに繋がっているのかなと感じました。SLR01は大トルクで伸びのある加速していくイメージですが、RM01は徐々にトルクを上げていき段階的に加速していくと気持ちが良い。アタックをガンガンかけるような性格ではなく、長時間を脚を残しながら走れるフレームという印象を受けました。

特徴であるディスクブレーキは今更語る必要もないかもしれませんが、軽いタッチでしっかりブレーキコントロールができるため、長い下りでもストレスフリーでしょう。フレームが若干エアロ形状ですから速度の乗りにも優れていますが、ハイスピードからのブレーキングでも不安はありません。ブレーキが軽いことで手の疲労軽減にも繋がり、長時間走るブルベ等でも活躍してくれると思います。

ディスクブレーキ対応のホイールバリエーションがまだ少ない点がネックですが、軽量ホイールを合わせてヒルクライムレースでぜひ使いたいですね。レース後の長いダウンヒルもディスクブレーキのおかげで安全に、かつイージーに下れるでしょう。

roadmachineのコラムは四角い独自形状をしていますが、その構造上コラム長変更に手を焼いてしまうポイント。ですからある程度ポジションの決まっている方向きです。

GF譲りの乗り心地の良さが光るため、ちょっとした未舗装路でも問題なく走ることができてしまいました。フラッグシップモデルのような扱いにくさが無く、登りに限らず幅広く使えるバイクだと感じました。

「バランスが良く、ディスクブレーキロードの可能性を感じさせる1台」渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)

BMCらしい振動吸収性の良さ、乗り味の良さを受け継ぎつつも、ディスクブレーキの採用によって、より下りの安定性が高まったと感じました。

BMCの他のバイクと比べると、エンデュランス用granfondo GF01とピュアレーシングバイク用teammachine SLR01のちょうど中間のような位置付けになるでしょうか。SLR01よりしなりの大きさを感じますが、ストレートフォークなのでGF01よりは突き上げ感がある。BMC特有のコンパクトなリア三角のため振動吸収性は高いく、突き上げ感も気になるほどではありません。そこまでフレームの剛性も高くないので、長距離のライドが楽しく感じるバイクです。

「バランスが良く、ディスクブレーキロードの可能性を感じさせる1台」渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)「バランスが良く、ディスクブレーキロードの可能性を感じさせる1台」渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)
左右非対称の太いダウンチューブにより踏んだときの力の掛かりも良いので、レースにも通用する反応の良さを見せてくれます。エンデュランスバイクながら、タイヤの太さやホイールを変えることでロードレーサーのような乗り味にも変化させることができるでしょう。

ハンドリングに関しても、スルーアクスルを採用したおかげでディスクブレーキの性能を十分に発揮でき、コーナー前の減速もコントロールしやすく、思い通りのラインを描くことができます。クイックリリース仕様のGF01と比べると12mmスルーアクスル化でエンドの剛性が上がったためか、ダンシングで踏んだ際の反応も良くなりました。

アッセンブルされる25cのタイヤも相性が良くシャープなハンドリングが可能ですね。160mm径ローターだとブレーキが効きすぎる嫌いもありますが、そこを理解していればかなりコントローラブルだと思います。リアに32T、クランクもコンパクトが装備されているため激坂にも対応し、ディスクブレーキにより天候も関係なくどこにでも連れて行けるバイクですね。タイヤの太さを変えることで、より使えるシチュエーションが増えると思います。もちろんロングライドには最適ですし、幅広く使える1台に仕上がっていると思います。

気になるところを言えば、専用コラムのせいでハンドルを下げるのにコラムカットが必要な点。加えてブレーキラインが内装なのでメンテナンスが面倒という点でしょうか。その辺りは信頼できるショップに整備を依頼するのが良いでしょう。

フレームセットで54万円と高価ですが、プラス10万円でアルテグラ完成車が買えるため、そちらがオススメ。足掛かりが良く踏む気にさせるフレームなので、踏みすぎないよう抑えて走ると気持ちよさが長時間持続すると思います。ホイールもカーボンチューブラーやチューブレスを合わせ、タイヤの空気圧を調整することで乗り味を変えてみるのも面白いかもしれません。

BMC Roadmachine 01(ホワイト/ ブルー)BMC Roadmachine 01(ホワイト/ ブルー) (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
BMC roadmachine 01 アルテグラ完成車
フレーム:iSCフルカーボン、TCC/angle、カーボンドロップアウト、BB86
フレーム重量:930g(54サイズ)
サイズ:47、51、54、56
フォーク:専用フルカーボンフォーク、ディスク専用、1-1/8、1-1/2
フォーク重量:390g
シートポスト:専用フルカーボンD型コンプライアンスポスト、15mmオフセット、160g
コンポーネント:シマノ アルテグラ
ホイール:DTスイス R32 Spline db
価格:64万円



インプレッションライダーのプロフィール

杉山友則(Bicicletta IL CUORE)杉山友則(Bicicletta IL CUORE) 杉山友則(Bicicletta IL CUORE)

東京都台東区のBicicletta IL CUORE 下谷本店店長。ダミアーノ・クネゴがジュニアチャンピオンだったころからクネゴのファンだという、自他ともに認めるミーハー系自転車乗り。グエルチョッティやコルナゴ、ルックなどヨーロピアンブランドへの造詣が深い。ショップ店長としては、ユーザーがサイクルライフを楽しめる遊び方の提案を心がけている。

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渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)渡辺匡(スポーツサイクルサカモト) 渡辺匡(スポーツサイクルサカモト)

新潟県三条市のスポーツサイクル サカモトで、メカニック作業から接客まで幅広く担当する。自転車にのめり込んだきっかけはオートバイレースのトレーニング。ロードバイクやMTB、小径車などジャンルを問わず探求し、特にブロンプトンに関しては造詣が深い。接客では製品のメリットとデメリットを丁寧に説明した上で、ユーザーに適したサービスや製品を提案することを大切にしている。

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ウェア協力:ピアソン

text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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