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Bicicletta IL CUORE 下谷本店

ヨーロッパの自転車熱を感じる店内 コアなユーザーにも応える奥深さ
白と青に「CUORE」の文字と、三日月のロゴマーク。関東でホビーロードレースやシクロクロスに参加している人ならば、ほとんどの人がこちらのクラブチームのジャージを目にしたことがあると思う。筆者も取材前はてっきりバリバリの走り屋系ショップかなと思っていたのだが、ただそれだけではなかった。もっと門戸を広く、「自転車の面白さ」をとことんまで突き詰めた、奥深いプロショップだったのだ。

古いXTRのクランクを取手に使ったドアを開ければ、その向こうはこれぞプロショップ!という雰囲気が漂う濃密な空間だ。規模こそ大型店と比べてはいけないが、ルックやタイム、グエルチョッティ、コルナゴ、サルトと言った通(ツウ)好みのブランドが並び、プロ選手が実際に着用したジャージやゼッケンが飾られ、プロの目利きでチョイスされたパーツやアクセサリー、用品類が所狭しと並べられている。その様はまるで宝石箱のようだ。

取材にお邪魔した「Bicicletta IL CUORE」=イルクオーレ、がショップとして歩み出したのは2009年4月1日と、そう遠くない過去の話。もともとオーナーである高木政佳さんはプロショップのスタッフとして経験を積んでいたが、スポーツ自転車人口の増加に合わせて事故やマナーが取りざたされていた状況を見て、「自ら店舗を開き、ショップとして安全な走り方・楽しみ方を広めていきたい」という思いから独立。南千住と上野のちょうど真ん中、台東区下谷に店舗を構えた。

その1年後には現在店長を務める杉山友則さんをスタッフに迎え、さらに隅田川と荒川のほとり、北区岩淵町に支店となる赤羽岩淵店(住所:北区岩淵町2-2)をオープンさせ、現在の形態に。同じ屋号ではあるものの、下谷本店はヨーロッパブランドを、赤羽岩淵店はキャノンデールやスコット、ピナレロをメインに扱うという違いがある。
ヨーロッパブランドを中心としたラインナップが揃う店内
熱烈な海外ロードレースマニアでもある店長の杉山友則さん。手にしているのはダミアーノ・クネゴのサイン入りワンピース
イタリアやフランスのブランドを得意としている。右がショップ代表の高木政佳さんだ
下谷本店がコアなヨーロッパブランドを中心に揃えているのは、「自分が好きというのが第一ですが、他のお店であまり見かけない製品を見たいし、乗りたいじゃないですか」という高木さんの思いがあるから。高木さんは「アメリカのブランドでは見ないような奇抜なアイディアも面白いですし、組み上げに手間暇がかかったり難しいモノを仕上げる楽しさ、歓びは大きいですから」とも。

また、ロードバイクだけではなく、MTBやシクロクロス、ツーリング車などに対する造詣も非常に深いことも付け加えておくべきだろう。特にシクロクロスは近年のブームに合わせて取り組み、一気にのめり込んでしまったクラブ員も多いんだとか。そのため特殊な知識を求められるチューブラータイヤの貼り付けや、メンテナンスに関しても安心して任せられる。数多くのショップがひしめく東京においても貴重な存在として挙げられるだろう。

店舗面積の都合もあって、あまりバイクの在庫は多くない。フレームで展示されているものを除けば、店内のほとんどがユーザーからの預かり品や、納車待ちのバイクだ。しかしこの部分も、イルクオーレのこだわりの裏返しなのである。

「スポーツサイクルは本来オーダーメイドで作られているものでした。それは今、大手ブランドの製品であっても変わっていないと思います」と高木さんは言う。相談があってから好みに合うバイクを探し、そこから様々なパーツを足し引きし、ユーザーにピッタリと合う一台を作り上げる。

「実は初心者さんであっても、来店される時には自転車をどう楽しみたいか決まっていることが多いんです。だからこそ対話は大切ですね」。手近な完成車在庫を受け渡すのではなく、じっくり時間と対話を重ねていくさまは、テーラードという言葉が一番に当てはまる。2台目以降の自転車を求めに来店するユーザーが多いという話も納得だ。
選手が実際に使用したジャージたち。アレッサンドロ・ペタッキのマリアローザも
リッチー・ポートがジロで使ったゼッケン付きワンピース
イタリアのグエルチョッティは得意としているブランドの一つ
リドレーやデローザ、ルックなどが並ぶ店内。在庫はあまり置かず、対話を重ねて注文することに重きをおく
通じて、イルクオーレが得意とすることの一つとして挙げられるのがフィッティングだ。使うのは伝統的なフィッティングマシンと身長計、そして長年の経験だ。聞けばかのマウリツィオ・フォンドリエスト氏の兄であるフランチェスコ氏が来日した際にレクチャーを受けた方式で、イタリアではホビーライダーにも広く使われている方式だそうだ。

自転車選びの際には身体を採寸し、納車の際にも再び時間をかけてフィッティングを行う。完成車の場合、ステムやハンドルは可能な限り無料でサイズの合うものに変更する。「最新のシステムとは違って古いやり方なんですけどね」と高木さんは笑うが、ことフィッティングにおいて経験が作用する部分は小さくない。レベルアップに伴うフィッティングの相談にも快く対応してくれる。

フィッティングに加え、オーストラリアのシューズブランドBONT(ボント)のカスタムを得意としていることも特徴の一つだ。今でこそボントは一般ライダーからも支持を得ているブランドだが、ここイルクオーレは日本で初めてボントの熱成形を行った実績を持っている。すると関東の強豪レーサーを中心に口コミが広まり、「ボントといえばイルクオーレ」という評判に繋がったのだとか。

加えてシダスのインソールカスタムにも力を入れており、この2つを組み合わせることで長距離ライドでも不満が出ない快適なフィッティングを実現しているのだ。ボントに関しては他店で購入したシューズの持ち込みカスタマイズも受け付けているので、手持ちのボントシューズにトラブルを抱えている方は、一度相談してみるべきだろう。
目利きで選ばれたパーツ・アクセサリーたち。信頼できるもの、使い勝手の良いものがセレクトされている
最近はメリダにも力を入れているそう。「コストパフォーマンスは随一ですね」
ヘルメットやウェア類も一通り揃えることができる
オークリーのアイウェアも取り扱い中
もちろん整備に関しても一切の妥協は無く、たくさんの人に気持ち良く乗ってもらいたいという思いから、他店で購入した自転車の持ち込み修理もウェルカムだ。目指すのは、乗りやすく、そしてスムースに感じることのできる組み上げ。特にホイールやBB、ディレイラーなど回転系パーツやワイヤー類のフリクション低減はこだわりのポイントで、企業秘密のケミカルを使って仕上げるのだそう。こうした心配りは見た目にも影響するポイントだ。

イルクオーレで購入した自転車ならば簡単なメンテナンスは永久無料で、フルオーバーホール、ホイールオーバーホール、レース前点検といったメニューはショップのホームページに料金が記載されているため安心して依頼できる。特にオーバーホールは徹底的に分解し、新品以上の仕上がりになるように心がけているという。

もちろんクラブチームの活動も活発で、レースやイベント(ロード/オフロード問わず)への参加はもちろん、ビギナーフレンドリーなツーリングも不定期で行っているそう。例えば臨海副都心を抜けて築地市場で海鮮丼を食べたり、三浦半島まで足を伸ばしたり。最近は女性も増えてきているとのことなので、走る環境を探している方にとっては大きな魅力となるはず。

「店舗を立ち上げた理由とも繋がるのですが、クラブ活動やお客様とのツーリングを通じて、マナーのできた”良い自転車乗り”を育てていくことができれば」と高木さんは言う。「自転車をスポーツとして楽しむ方がものすごく増えた今だからこそ、とても大切なこと。イルクオーレとして今の姿勢のまま、よりこの部分をアピールしていきたいですね」。
メンテナンスにも妥協無し。「スムースに感じる自転車」が目標
持ち込み修理もウェルカムだ。ワイヤーと回転系は特に気を遣うポイント
BONTのカスタムは得意としていることの一つ。持ち込みもOKだ
フィッティングもこだわりのポイント。昔ながらのイタリア方式を取り入れている
店舗情報
郵便番号 
110-0004
住所 
東京都台東区下谷3-17-1
営業時間 
12:00~19:00
定休日 
水曜日、第1・3・5火曜日
TEL 
03-5849-4970
FAX 
03-5849-4971
ブログ更新情報
アクセス 
東京メトロ日比谷線 三ノ輪橋駅から徒歩5分
スタッフからのメッセージ
店長の杉山友則さん(左)と、代表の高木政佳さん(右)
東京都内に二店舗を展開しているBicicletta IL CUORE(ビチクレッタ・イルクオーレ)です。ここ下谷本店はイタリア・フランスのロードフレームを中心に、ヨーロッパ系を得意とし、さらにマウンテンバイクのメンテナンス、イタリアンクロモリ・ロードフレームの下処理も得意としております。

快適なポジションを入念に出すフィッティングや、スムーズな仕上がりを目指す組み付けは当店のこだわりポイントです。持ち込みも歓迎ですので、どこか自転車の調子が良くない、もっと気持ち良く乗りたい、という方は是非一度足を運んで頂ければと思います。

Bicicletta IL CUORE 下谷本店