4つのカテゴリー山岳が登場するブエルタ・チワワ最難関の第3ステージは、メイン集団を7分以上引き離す4名の逃げ切りが決まる。ステージ優勝はルイ・コスタ(ポルトガル、ケースデパーニュ)。そして総合首位の座はオスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)に移った。

抜けるような晴天に恵まれた第3ステージ抜けるような晴天に恵まれた第3ステージ photo:www.vueltaachihuahua.com
1級山岳を含む4つのカテゴリー山岳が登場した第3ステージは、序盤からルイ・コスタ(ポルトガル、ケースデパーニュ)やグレン・チャドウィック(ニュージーランド、ロックレーシング)ら6名が逃げる展開。テコス・トレックの集団コントロールによって、タイム差はこの日も2分以内に抑え込まれた。

やがて、ゴールの90km手前に登場した最大の難所1級山岳ラハ峠でレースは動いた。メイン集団から総合4位のフランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)が飛び出し、それまで逃げていた先頭6名に合流。

逃げを決めるオスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)ら4名逃げを決めるオスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)ら4名 photo:www.vueltaachihuahua.com続いてメイン集団から総合2位のダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)がアタックを仕掛けたが、リーダージャージのミカエル・ラスムッセン(デンマーク、テコス・トレック)を振り切れない。ペースが上がり、有力選手に絞り込まれたメイン集団は、ゴールまで80kmを残してマンセーボやコスタら捉えた。

ここからカウンターアタックを仕掛けたのは、総合3位セビリャと総合5位グレゴリオ・ラディーノ(コロンビア、テコス・トレック)の2名。序盤から逃げていたコスタとダリオダヴィデ・チオーニ(イタリア、ISD)の2名がこの動きに乗った。

4人でのスプリント勝負を制したルイ・コスタ(ポルトガル、ケースデパーニュ)4人でのスプリント勝負を制したルイ・コスタ(ポルトガル、ケースデパーニュ) photo:www.vueltaachihuahua.comリーダージャージ擁するテコス・トレックやライバルのケースデパーニュ、ロックレーシングが逃げグループに選手を送り込んだため、メイン集団はスローダウン。最大9分50秒のアドバンテージを稼ぎ出した先頭4名は、結局メイン集団から7分半以上先行してゴール。4名のスプリント勝負を制したコスタが優勝に輝いた。

メイン集団からはモレーノが何度もカウンターアタックを仕掛けたが成功せず、総合10位のマシュー・ブッシェ(アメリカ、ケリーベネフィット)だけが単独で飛び出してゴール。7分38秒遅れでゴールしたラスムッセンは、逃げを成功させたセビリャにリーダージャージを明け渡す結果となった。

リーダージャージを獲得したオスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)リーダージャージを獲得したオスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング) photo:www.vueltaachihuahua.comステージ優勝を飾ったコスタは、若手の登竜門として知られるジロ・デッレ・レジオーニとツール・ド・ラヴニールで昨年総合2位に入った23歳のポルトガル人オールラウンダー。昨年はロード世界選手権U23でもロード5位、TT8位の好成績を残している。

ケースデパーニュに移籍した今年は、新城幸也が総合9位に入ったキャトル・ジュール・ド・ダンケルクで総合優勝。ここ数年でメキメキと力をつけているコスタは、チームのリリースの中で「こんな難易度の高いステージで勝てて本当に嬉しい。セビリャは総合狙いだったから、比較的簡単にステージ優勝出来た。実はメキシコに飛ぶ数日前に風邪をひいてしまったんだけど、無理してでも来た甲斐があったよ」とコメント。コスタは同時に総合3位に浮上している。

リーダジャージに袖を通したセビリャは「今日の結果はチームワークの賜物だ。ステージ優勝は狙っていなかったけど、(総合上位の)ラディーノやコスタが逃げに入っていたから最後まで気が抜けなかった。これからはテコス・トレックの動きに注意しないといけない」と、ラスムッセンらの動きに警戒している様子。大会3連覇がかかっていたチームメイトのマンセーボは総合6位につけている。

EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン勢は、ギヨーム・ポン(フランス)だけがメイン集団内でゴール。ガズヴォダやダミアン、日本人選手3名はグルペットでゴールした。

【浅田監督のコメント】
とにかく前半の展開が激しいレースだった。常に前で展開する数名は力が桁違いに思えた。最難関の峠ではトップ15名くらいに残ったギヨームは善戦したが、総合成績を上げるまでには至らなかったのが残念。グルペットで走りきった他の選手もコースがきついだけに休めたとはいえないが、明日から始まる後半戦では走りを徐々に攻撃に切り替えてゆきたい。

【中島選手のコメント】
昨年走ったコースを逆送したが、厳しいコースと分かっていただけにとてもキツかった。体調は徐々に上がってきていると感じているので後半戦に良い走りが出来るようにがんばります!そのほか、このレースはとにかくパンクが多い。その中うちのチームは極端にパンクが少ない。いつもは当たり前に思えることが、こういう悪条件では本当にありがたく感じる。日本ではありえない変則的な下りコーナーなどもグリップが安定しているので助かっている(PANARACER VALIANT EVを使用)。

レース展開ならびに選手コメントはレース公式サイト、チーム公式サイトより。

ブエルタ・チワワ2009第3ステージ結果
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ケースデパーニュ)4h15'14"
2位 グレゴリオ・ラディーノ(コロンビア、テコス・トレック)
3位 オスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)
4位 ダリオダヴィデ・チオーニ(イタリア、ISD)+03"
5位 マシュー・ブッシェ(アメリカ、ケリーベネフィット)+4'22"
6位 フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)+7'34"
7位 ハビエル・ベニテス(スペイン、コンテントポリス・アンポ)
8位 ミシェル・クレダー(オランダ、ラボバンク・コンチネンタル)
9位 ダナイル・ペトロフ(ブルガリア、マデイノクス)
10位 ダビ・デラフエンテ(スペイン、フジ・セルヴェット)

31位 ギヨーム・ポン(フランス、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+7'38"
47位 グレゴール・ガズヴォダ(スロベニア、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+19'46"
56位 宮澤崇史(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+24'16"
57位 清水都貴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)
58位 中島康晴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)
94位 ミカエル・ダミアン(フランス、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+28'26"

個人総合成績
1位 オスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)10h32'28"
2位 グレゴリオ・ラディーノ(コロンビア、テコス・トレック)+03"
3位 ダリオダヴィデ・チオーニ(イタリア、ISD)+40"
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ケースデパーニュ)+58"
5位 マシュー・ブッシェ(アメリカ、ケリーベネフィット)+4'42"
6位 フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)+7'36"
7位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、テコス・トレック)+7'37"
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)
9位 ヘスス・デルネロ(スペイン、フジ・セルヴェット)+7'51"
10位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)+7'53"

30位 ギヨーム・ポン(フランス、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+8'49"
45位 グレゴール・ガズヴォダ(スロベニア、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+20'38"
63位 宮澤崇史(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+27'14"
65位 清水都貴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+28'01"
92位 ミカエル・ダミアン(フランス、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+38'30"
93位 中島康晴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+39'31"

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.vueltaachihuahua.com

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