イタリアブランドならではの洗練されたスタイルと高い機能性で、シューズメーカーとしての地位を確立したフィジークより、新型ロードシューズ「R4B」をインプレッション。フィット感を追求した新型アッパーに、ナイロンソールを組み合わせたミドルグレードの実力は如何に。



フィジーク R4B UOMO(手前:ブラックイエロー、奥:ブラックレッド)フィジーク R4B UOMO(手前:ブラックイエロー、奥:ブラックレッド)
フィジーク R4B DONNA(ホワイト/エメラルド)フィジーク R4B DONNA(ホワイト/エメラルド) インジェクテッド・カーボン強化ナイロンを採用。通気性のためのベンチレーションホールが設けられているインジェクテッド・カーボン強化ナイロンを採用。通気性のためのベンチレーションホールが設けられている


今回インプレッションを行う「R4B」は完全な新モデルとなるミドルグレードで、フルモデルチェンジを果たした「R1B」の特徴を引き継ぎながらコストを抑えることに成功したバリューモデル。ボリュームコントロールフィットや、エクステンデッドパワーストラップといった、上位グレードと共通のテクノロジーを詰め込んだ注目の一足だ。

クロージングシステムはBOA IP1-Aクロージャー(足首側)と2本のベルクロ(つま先側)という構成。BOAは甲の、2本のストラップはつま先の締め付けを担い、このシステムによってより細やかなフィット感を調整をできるようになった。

ソールは大きなカーブを持つソールは大きなカーブを持つ フィッティングシステムは、BOA IP-1Aに2本のストラップという組み合わせフィッティングシステムは、BOA IP-1Aに2本のストラップという組み合わせ

アッパーには無数のパンチング加工が施されているアッパーには無数のパンチング加工が施されている サドルにも用いられるマイクロテックスをアッパー素材に採用サドルにも用いられるマイクロテックスをアッパー素材に採用


アッパー素材はマイクロテックスでR1Bと共通ながら、構造は少し異なる。タンがアッパーと一体化されたR1Bに対して、R4Bは別体となる。しかし、アッパー内側のパネルを大きく取ることで、甲へ掛かる圧力の集中を防止。通気性を高めるためのパンチング加工は、R1Bに比べると広めの面積に施されている。

アウトソールにはしなやかな「インジェクテッド・カーボン強化ナイロン」を使用することで、初中級者が長距離ライドで使用したとしても、疲れづらい踏み心地に調整されている。大きなベンチレーションが設けられることで、靴内の換気を促進し、常に快適な状態でサイクリングを楽しむことができる。

メインカラーをブラックとしながらも、差し色を使うことでシンプル過ぎない仕上がりとしているメインカラーをブラックとしながらも、差し色を使うことでシンプル過ぎない仕上がりとしている フィジークらしいクリーンな仕上がりとなっているフィジークらしいクリーンな仕上がりとなっている

タンには薄手のクッションを配しているタンには薄手のクッションを配している 踵の「:k」ロゴはリフレクティブ仕様踵の「:k」ロゴはリフレクティブ仕様


ラインアップは男性用の「UOMO」と女性用の「DONNA」の2種類。UOMOはブラック/ダークグレー、ホワイト/ライトグレーの2カラーがラインナップされ、サイズは39~45までの展開となる。DONNAはホワイト/エメラルドの1色展開で、サイズは36~40までの展開となる。

インプレッションの前に、ショップからのおすすめコメントを紹介しよう。今回R4Bについてコメントを伺ったのは、都内にある「フォーチュンバイク」の店長を務める錦織大祐さんだ。

「価格以上の丁寧な作りとそこに至るノウハウを感じ取れる逸品です」フォーチュンバイク・錦織大祐店長「価格以上の丁寧な作りとそこに至るノウハウを感じ取れる逸品です」フォーチュンバイク・錦織大祐店長 「自転車用ビンディングシューズというのは一般のスニーカーなどとは異なり、形のしっかり決まったアウトソールを元に形作られています。そのために足型に合う合わないという問題がつきまといますが、足の形に合っていても、しっかりしたホールドが得られなければ、ペダリングは不安定なものになります。

フォジークR4Bシューズは伸縮性の高い素材とBOAダイアルシステムを的確に組み合わせることができており、使用者の足を包み込む感触を持っています。各社からBOAシステムを採用したモデルは登場していますが、R4Bのヒールカップから足の甲をホールドする感触は最上級レベルと言えます。細かい調整と同時にかなりしっかりとした固定力を感じられますね。見た目からは想像しにくいのですが、固定力だけでなく足の左右のロール(ネジレ/暴れ)を抑制してくれる芯の強さも感じることが出来ます。

靴を形作るパネル数が少ないシンプルな見た目に騙されるかもしれませんが、指の付け根に縫い合わせが来ることもなく、長く乗り込んだサイクリストの意見が商品に投影されていることを感じます。日本人は幅広甲高と言われますが、必ずしも全体を捉えた表現ではありませんし、現在のフィジークの設計は日本人の多くフォローできるでしょう。つま先側の2本のボリューム調整ベルクロが広い調整範囲を実現しつつ、つま先の足当たり感を優しくしている点も付け加えておきたいです。価格以上の丁寧な作りとそこに至るノウハウを感じ取れる逸品です。」



ー 編集部インプレッション

まずはクリートの取り付けから。R4Bはアウターソールの反りが大きいので、クリートとの間に隙間が空いてしまうため適宜スペーサーを使用する必要がある。これはDONNAのようなスモールサイズに限った話ではなく、43程度の大きなサイズににも言えること。今回のテストではスピードプレイのペダルを使用したが、ベースプレート裏のスペーサーを、標準より反りが大きなものに変更して、クリートを装着した。

クリートの取り付け穴は比較的前側に位置している。クリートを深めにセッティングするのが好みの方は、購入前にセッティングが出せそうかどうか検討する必要があるだろう。

フィジーク R4Bをインプレッションフィジーク R4Bをインプレッション
フィット感は秀逸で、上位モデルにもひけを取らないほど。アッパー内側のパネルを大きくとることで、甲が高くなった部分への圧力集中を低減しており、BOAクロージャーをキツ目に締め上げても、痛みが発生しにくいのだ。マイクロファイバー製のアッパーは適度にコシがありながらも足に満遍なく接してくれる。シンプルな造りのヒール部は、内蔵されたカップが心地良く踵をホールドしてくれる。

「上位モデルにもひけを取らないほどのフィット感を持つ」「上位モデルにもひけを取らないほどのフィット感を持つ」 「ナイロンソールは適度な剛性感を持つ」「ナイロンソールは適度な剛性感を持つ」 「フィット感を細かく調整できるBOAクロージャー」「フィット感を細かく調整できるBOAクロージャー」 サイズ感は、やや大きめだったR1Bに対して、R4Bは標準的。これまで履いていたサイクリングシューズが40ならば、R4Bも40といった感じで選ぶことができるだろう。

もちろん、試着してからの購入がマストであり、同じフィジークでもモデルによってサイズ感が異なるため、R4Bを購入するならR4Bでサイズ合わせをしたい。また、R4Bにはハーフサイズが用意されているため、ミドルグレードでもフィット感を追求することができる。

通気性も上位グレードにひけを取らない。アッパーのパンチングとソールのベンチレーションホールの双方から、新鮮な空気がシューズ内に流れ込んでくる。蒸れを最小限に抑えてくれるため、夏場の暑い日のライドでも長く快適な状態をキープしてくれることだろう。

ソール剛性は、高出力でスプリント的な走りをしない限りは充分だと感じた。歩行時にはソールのしなりを感じるものの、アッパーの高いフィット感も手伝って、ペダリング中にロスしているという印象はなく、ロングライドなどでは強い味方になってくれることだろう。なお、アーチサポートはやや強めだと感じた。

R4Bは、ナイロンソールのシューズとしてはやや高めの価格設定ではあるが、優れたフィット感や高い通気性を考えれば納得できるだけの仕上がりとなっている。高品質シューズ=高剛性レース向けモデルという図式が一般的ではあり、中程度のソール剛性に高いフィット感をあわせ持ったシューズが少ない中に合って「R4B」は貴重な存在である。ロングライド派やビギナーであれば是非ともチェックしてみて欲しいしシューズだ。(インプレッション by CW編集部・山本)



フィジーク R4B UOMO/DONNA
ソール:カーボン強化ナイロン・ベンチレーテッド
アッパー:マイクロテックス
インソール:フィジーク・サイクリングインソール
クロージングシステム:BOA IP1-A+ダブルストラップ
フィッティング:
サイズ:39~45まで(UOMO、ハーフサイズあり)
    36~40まで(DONNA、ハーフサイズあり)
左右平均重量(実測):285g(43サイズ)、267.5g(42.5サイズ)、219.5g(37サイズ)
カラー:ブラックイエロー(UOMO)、ブラックレッド(UOMO)、ホワイト/エメラルド(DONNA)
価 格: 24,800円(税抜)