連載でお届けするプロバイクレポート。今回はヴォルタ・リンブルグクラシックシュヘルデプライスより、プロコンチネンタルチームを中心にピックアップ。NIPPOヴィーニファンティーニ、ロットNLユンボ、クルトエナジー、サウスイースト、MTNキュベカ、CCCスプランディ・ポルコウィチェのバイクを紹介します。



NIPPOヴィーニファンティーニ 【デローザ PROTOS】

ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)のデローザ PROTOSダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)のデローザ PROTOS photo:Makoto.AYANO
今シーズンよりプロコンチネンタルチームへの昇格を果たし、ダミアーノ・クネゴ(イタリア)と山本元喜、黒枝士揮、石橋学という3名の日本人が所属することで話題のNIPPOヴィーニファンティーニ。バイクは昨シーズン同様にデローザのフラッグシップに位置付けられるピュアレーシングモデル「PROTOS」を使用する。

アッセンブリーのほとんどをイタリアンブランドのパーツが占めるなかで、トピックスなのが国産ブランド「IRC」のタイヤだ。欧州レース界で主流となっていることから、現在ラインアップにないチューブラータイヤの開発を行っており、シーズン始めからプロトタイプをテスト中。また、ヴォルタ・リンブルグクラシックでは同社のアイデンティティであるチューブレスタイプの「Formula PRO TUBELESS」も投入されていた。

ボトルケージはタックスDevaボトルケージはタックスDeva photo:Makoto.AYANOIRCが得意とするチューブレスタイプの「Formula PRO TUBELESS」も投入されているIRCが得意とするチューブレスタイプの「Formula PRO TUBELESS」も投入されている photo:Makoto.AYANO

チューブラータイプのプロトタイプもテスト中だチューブラータイプのプロトタイプもテスト中だ photo:Makoto.AYANOクネゴのバイクにはセラミックスピードのベアリングを採用したタイムexpresso15が取り付けられていたクネゴのバイクにはセラミックスピードのベアリングを採用したタイムexpresso15が取り付けられていた photo:Makoto.AYANO


その他アッセンブリーは昨シーズンとほぼ同様。コンポーネントにはカンパニョーロSUPERRECORD EPSを採用。ホイールも同じくカンパニョーロで、ワイドリムを採用した新型BORA ULTRAシリーズをメインとし、チューブレスタイヤにははアルミ製ミッドプロファイルのSHAMALLを組み合わせている。ハンドル、ステム、シートポストはFSAで統一。その他サドルはセライタリア(クネゴは従来より愛用のフィジーク旧型ARIONE)、ペダルはタイムExpresso、ボトルケージはタックスDevaとしている。



ロットNLユンボ【ビアンキ SPECIALISSIMA CV(プロトタイプ)】

ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)のビアンキ SPECIALISSIMA CV(プロトタイプ)ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)のビアンキ SPECIALISSIMA CV(プロトタイプ) photo:Makoto.AYANO
直線的でオーソドックスなフレームデザインだ直線的でオーソドックスなフレームデザインだ photo:Makoto.AYANO細部も標準的で扱いやすい造りとしている細部も標準的で扱いやすい造りとしている photo:Makoto.AYANO


若手オールラウンダーとして将来を期待されるロットNLユンボのウィルコ・ケルデルマン(オランダ)は、ヴォルタ・リンブルグクラシックでビアンキのプロトタイプを使用。UCIの認証コードを参照すると「SPECIALISSIMA CV」というフレーム名で登録されている。その名の通りエンデュランスモデル「Infinito CV」の振動吸収テクノロジー「カウンターヴェイル」が採用されているよう。一方で直線的な各チューブの形状や双胴タイプのシートステーなど造りは至ってオーソドックスだ。

コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で、パワーメーターにはパイオニアのペダリングモニターを組み合わせている。ホイールも同じくDURA-ACE グレードのWH-9000-C50-TUで、タイヤはアメサイドが特徴的なヴィットリアCORSA SC。FSAのステム、バーテープ、タックスのDevaボトルケージはビアンキのコーポレートカラーであるチェレステで統一されている。



クルトエナジー 【リドレー Helium】

カレル・ヒニック(チェコ、クルトエナジー)のリドレー Heliumカレル・ヒニック(チェコ、クルトエナジー)のリドレー Helium photo:Makoto.AYANO
デンマーク籍のプロコンチネンタルチームであるクルトエナジー。バイクサプライヤーはベルギーに居を構えるリドレーで、同社のバイクを駆るロット・ソウダルとは異なりミドルグレードのオールラウンドモデル「Helium」をメインバイクとしている。パーツアッセンブルは非常に個性的だ。

コンポーネントは機械式の9000系シマノDURA-ACEをメインとし、アームの中にひずみゲージを組み込んだクランク型パワーメーター「INFOCRANK」を組み合わせている。なお、リアディレーラーにも一手間加えられている様で、プーリーがよりローフリクションなものへと変更されていた。

ボトルケージなど4ZA(フォルツァ)のパーツを多用するボトルケージなど4ZA(フォルツァ)のパーツを多用する photo:Makoto.AYANOブラックインクのホイールを使用するブラックインクのホイールを使用する photo:Makoto.AYANO


ホイールはチームと同じくデンマークに居を構える新興ブランドのブラックインク。タイヤはブルーのサイドウォールとヤスリ目のトレッドパターンを持つプロトタイプのシュワルベONEとしている。ハンドル、ステム、シートポスト、サドル、ボトルゲージに至るまで、リドレーがプロデュースするパーツブランド4ZA(フォルツァ)で統一。ペダルはルックKeO Bladeだ。



サウスイースト 【チポッリーニ RB1000】

ミルコ・テデスキ(イタリア、サウスイースト)のチポッリーニ BONDミルコ・テデスキ(イタリア、サウスイースト)のチポッリーニ BOND photo:Makoto.AYANO
アンドレア・ダルコル  (イタリア、サウスイースト)のチポッリーニ  RB1000アンドレア・ダルコル (イタリア、サウスイースト)のチポッリーニ RB1000 photo:Makoto.AYANOウルサスのホイールを使用するウルサスのホイールを使用する photo:Makoto.AYANO


イエローフルオの後継チームであるサウスイーストは引き続きチポリーニのバイクを使用。かつて世界のトップスプリンターとしてしのぎを削ったマリオ・チポッリーニ氏プロデュースのバイクを、アレッサンドロ・ペタッキが使用するという点は、古くからのファンにとっては感慨深いものがあるだろう。バイクはラインアップ中で最も高剛性な「RB1000」や独自のBB構造をもつバリューモデルの「BOND」をライダーによって使い分けている。

アッセンブルはほぼ全てのパーツがイタリアンブランドとされている。コンポーネントは機械式のカンパニョーロ新型SUPERRECORDがメインで、クランクのみ5アームの旧型としているバイクが多い。ホイールとタイヤはチームカラーのウルサスにヴェロフレックスという組み合わせだ。その他、ハンドルとステムはFSA、サドルはセライタリア、ペダルはタイムとしている。



MTNキュベカ 【サーヴェロ R5】

タイラー・ファラー(アメリカ)のサーヴェロ R5タイラー・ファラー(アメリカ)のサーヴェロ R5 photo:Makoto.AYANO
今季よりサーヴェロのサポートを受けるMTNキュベカからは、シュヘルデプレイスでスプリンターのタイラー・ファラー(アメリカ)が使用したマシンをピックアップ。バイクはエアロモデル「S5」ではなく、前所属のガーミン・シャープ時代より好んでチョイスしている軽量オールラウンドモデルの「R5」だ。トップチューブは古代神話に出てきそうな謎のグラフィックのステッカーが貼られている。

メインコンポーネントはシマノDURA-ACEで、高い位置に取り付けられたSTIのセッティングが特徴的。クランクはローターで、チェーンリングは真円タイプのno-Qをチョイス。ホイールはエンヴィで、リムハイトが前48mm/後56mmの「SMART SYSTEM 4.5」としている。ちなみにファラーと同じくスプリンターのテオ・ボスは前85mm/後95mmのスーパーエアロモデル「SMART SYSTEM 8.9」を履いていた。タイヤは青いサイドウォールのシュワルベONEのプロトタイプだ。

ガーミン製サイクルコンピューターのマウントが一体となった3T INTEGRAステムを愛用ガーミン製サイクルコンピューターのマウントが一体となった3T INTEGRAステムを愛用 photo:Makoto.AYANOトップチューブには謎のステッカーが貼られていたトップチューブには謎のステッカーが貼られていた photo:Makoto.AYANO

ファラーは前48mm/後56mmのエンヴィSMART SYSTEM 4.5をチョイスファラーは前48mm/後56mmのエンヴィSMART SYSTEM 4.5をチョイス photo:Makoto.AYANOテオ・ボス(オランダ)は前85mm/後95mmのスーパーエアロモデルSMART SYSTEM 8.9を選択テオ・ボス(オランダ)は前85mm/後95mmのスーパーエアロモデルSMART SYSTEM 8.9を選択 photo:Makoto.AYANO


ハンドル、ステム、シートポストは3Tで、ファラーはガーミン製サイクルコンピューターのマウントが一体となったINTEGRAを好んで使用している。その他、サドルはセライタリア、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージは北のクラシックでお馴染みのエリートCIUSSIとしている。



CCCスプランディ・ポルコウィチェ 【グエルチョッティ EUREKA SHM50】

ブラニスラウ・サモイラウ(ベラルーシ、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)のグエルチョッティ EUREKA SHM50ブラニスラウ・サモイラウ(ベラルーシ、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)のグエルチョッティ EUREKA SHM50 photo:Makoto.AYANO
ポーランド籍のプロコンチネンタルチームであるCCCスプランディ・ポルコウィチェのバイクサプライヤーは、イタリアンブランドのグエルチョッティ。60t、46t、30tと3種類のカーボンを使用し、前後共ダイレクトマウントブレーキを採用するオールラウンドモデルの「EUREKA SHM50」をメインバイクとしている。チームカラーのオレンジの面積が大きく、昨今のチームバイクの中でも一際目立つ1台である。

コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2をフルで採用。ホイールはサウスイーストと同じくウルサスで、デカールをチームカラーのオレンジとしている。組み合わせるタイヤはヴィットリアCORSA SC。ハンドル、ステム、シートポストはデダで統一。その他サドルはセライタリア、ペダルはタイム、ボトルケージ及びボトルがエリートだ。



photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto