UCIポイントを獲得できるトラックの国際レースが初めて国内で開催された。2大会3日間の初日は鈴木奈央(JPN、星陵高)が2冠、男子エリートケイリンで表彰台独占など日本人選手が活躍。



自転車競技でワールドカップや世界選手権に出場するには個人と国のUCIポイントが必要。オリンピックも通常その先にある。トラックレースでの日本は現在、積極的にワールドカップに出場し、今大会の上位選手はみな世界中を転戦している。しかし世界の力の壁は厚く、日本人選手がUCIポイントを獲得するのは容易なことではない。今までアジア大会やアジア選手権は開催されてきたが、大陸別大会以外でUCIポイントを獲得できる大会はまだなかった。

伊豆ベロドロームを走る男子エリートポイントレース伊豆ベロドロームを走る男子エリートポイントレース (c)Makoto.AYANO
いっぽうで世界選手権に出場した国は基本的に次シーズンに自国で国際大会を開催しなければならない。今大会はそれに応じたものであり男女エリートおよび男女ジュニアの4つのクラスを開催する。世界中から参加可能だが実際は近隣諸国が多く、日本にとってはホームで戦え、UCIポイントを多く獲得できるチャンスだ。今回は1月24日にジャパントラックカップⅠが、同25、26日に同Ⅱが開催される。

ここでは1月24日(金)に伊豆ベロドロームで行われたジャパントラックカップⅠの模様をお伝えしよう。
種目は各クラスで多少の差異があるが、3日間通じて男女同種目に近づけるようにしている。また賞金もエリートの男女間、ジュニアの男女間において差は無く同一としている。



男子ジュニアスクラッチ 10km

激しい仕掛けがスタート後から始まり序盤過ぎて安田開(JPN、北桑田高)が単独逃げ続ける。これに後方から単独で孫崎大樹(JPN、北桑田高)が、さらに単独で松本憲斗(ルーテル学院高)が合流して3人で逃げ続ける。集団との差は1/4周程度だがその差が詰まらない。ゴールは3人のスプリント勝負を松本が制し優勝。前へ出て行く積極的なレース展開が見られた。

男子ジュニアスクラッチ決勝ゴール、松本憲斗(ルーテル学院高)が優勝男子ジュニアスクラッチ決勝ゴール、松本憲斗(ルーテル学院高)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI男子ジュニアスクラッチ 表彰男子ジュニアスクラッチ 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 松本憲斗(ルーテル学院高)
2位 安田開(JPN、北桑田高)
3位 孫崎大樹(JPN、北桑田高)


女子エリートポイントレース

前半にパン・ヤオ(香港)と中村妃智(JPN、日本体育大)の2名が集団をラップ、その後も仕掛けが続くが集団は崩れず。ここでディアオ・ジャオジュアン(香港)が2名にラップされたとき以外のすべてを1位通過してチームメイトを逆転し優勝。

女子エリートポイントレース決勝、先頭のディアオ・ジャオジュアン(香港)が優勝女子エリートポイントレース決勝、先頭のディアオ・ジャオジュアン(香港)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子エリートポイントレ ース 表彰女子エリートポイントレ ース 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 ディアオ・ジャオジュアン(香港)37点
2位 パン・ヤオ(香港)37点
3位 中村妃智(JPN、日本体育大)30点


女子ジュニアケイリン

一発決勝で行われた女子ジュニア。2番手につけていた鈴木奈央(JPN、星陵高)がラスト2周で先頭に立つとそのまま後続を引き離し圧巻の優勝。地元で開催の国際大会に、多くの親戚らの応援の声に応えた。

女子ジュニアケイリン、鈴木奈央(JPN、星陵高)が優勝女子ジュニアケイリン、鈴木奈央(JPN、星陵高)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子ジュニアケイリン 表彰女子ジュニアケイリン 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 鈴木奈央(JPN、星陵高)
2位 モハマド・アドナン・ファリナ・シャワティ(マレーシア)
3位 八木梓(JPN、北桑田高)


男子エリートケイリン

ラスト1周で前に出た脇本雄太(JPN、JPCU福井)が先行、ここまで強い走りを見せていたジョセフ・ヴェローチェ(カナダ)が出られず、新田祐大(JPN、JPCU福島)が、さらに渡邉一成(シクロチャンネルTOKYO、JPCU福島)が出て3人が横一線でゴール。中央を走った新田が先着で優勝。

男子エリートケイリン、中央の新田祐大(JPN、JPCU福島)が優勝男子エリートケイリン、中央の新田祐大(JPN、JPCU福島)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI男子エリートケイリン 表彰男子エリートケイリン 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 新田祐大(JPN、JPCU福島)
2位 渡邉一成(シクロチャンネルTOKYO、JPCU福島)
3位 脇本雄太(JPN、JPCU福井)

 
女子エリートスプリント

予選の200mFTTで11秒610の1番時計を出したミッシー・エリクソン(アメリカ)が圧倒、小林優香(JPN、日本競輪学校)も健闘したがストレートでエリクソンが優勝。

女子エリートスプリント、ミッシー・エリクソン(アメリカ)が優勝女子エリートスプリント、ミッシー・エリクソン(アメリカ)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子エリートスプリント 表彰女子エリートスプリント 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 ミッシー・エリクソン(アメリカ)
2位 小林優香(JPN、日本競輪学校)
3位 モハマド・ウミ・ハミア(マレーシア)


女子ジュニアポイントレース 10km

序盤は八木梓(JPN、北桑田高)、大久保花梨(祐誠高)、鈴木奈央(JPN、星陵高)らで点が割れるが鈴木が得点を重ねたあとラスト2kmで単独アタックし逃げ続ける。最終周回に吸収されたがそれまでの得点が効いて優勝。鈴木はこの日2冠を達成。

女子ジュニアポイントレース、鈴木奈央(JPN、星陵高)が優勝女子ジュニアポイントレース、鈴木奈央(JPN、星陵高)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子ジュニアポイントレース、表彰女子ジュニアポイントレース、表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 鈴木奈央(JPN、星陵高)11点
2位 大久保花梨(祐誠高)10点
3位 八木梓(JPN、北桑田高)9点


男子エリートポイントレース

序盤は得点が割れるがレン・チュン・ウィン(香港)、チェン・キン・ロー(香港)、窪木一茂(JPN、和歌山県庁/チーム右京)、近谷諒(日本大)の4人が集団をラップ、さらにレン・チュン・ウィンと倉林巧和(日本体育大)の2人がラップ。レン・チュン・ウィンはさらに2ラップして他を圧倒。後半は誰も追えない状態になるほどの力の差を見せて優勝。日本勢では窪木と近谷が力を見せた。

男子エリートポイントレース、前から2人目のレン・チュン・ウィン(香港)が優勝男子エリートポイントレース、前から2人目のレン・チュン・ウィン(香港)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI男子エリートポイントレース 表彰男子エリートポイントレース 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 レン・チュン・ウィン(香港)110点
2位 チェン・キン・ロー(香港)74点
3位 窪木一茂(JPN、和歌山県庁/チーム右京)61点


男子エリートスプリント

予選200mFTTで1番2番の中川誠一郎(シクロチャンネルTOKYO、JPCU熊本)10秒274と河端朋之(シクロチャンネルTOKYO、JPCU岡山)が決勝で対決。2本とも河端が取って優勝。

男子エリートスプリント、左側の河端朋之(シクロチャンネルTOKYO、JPCU岡山)が優勝男子エリートスプリント、左側の河端朋之(シクロチャンネルTOKYO、JPCU岡山)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI男子エリートスプリント 表彰男子エリートスプリント 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 河端朋之(シクロチャンネルTOKYO、JPCU岡山)
2位 中川誠一郎(シクロチャンネルTOKYO、JPCU熊本)
3位 モハマド・ユノス・ムハマド・エドルス(マレーシア)


男子ジュニアケイリン

決勝では、国内で強さを見せる野上竜太(JPN、岡山工)と簗田一輝(千葉経大付属)が最後尾から追い上げて先行するが、最終周回でかわされモハマド・ゾニス・ムハマド・フィルダウス(マレーシア)が優勝。

男子ジュニアケイリン、モハマド・ゾニス・ムハマド・フィルダウス(マレーシア)が優勝男子ジュニアケイリン、モハマド・ゾニス・ムハマド・フィルダウス(マレーシア)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI男子ジュニアケイリン 表彰男子ジュニアケイリン 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 モハマド・ゾニス・ムハマド・フィルダウス(マレーシア)
2位 レン・カユ(香港)
3位 ジョン・ジェヒ(大韓民国学生)


女子エリートケイリン

決勝では前田佳代乃(シクロチャンネルTOKYO)が先行、これを小林優香(JPN、日本競輪学校)がかわし、さらにミッシー・エリクソン(アメリカ)が出てくる。ゴールは小林とエリクソンがほぼ同時だったがタイヤ1/2ほどの差で小林が先着し優勝。

女子エリートケイリン、小林優香(JPN、日本競輪学校)が優勝女子エリートケイリン、小林優香(JPN、日本競輪学校)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子エリートケイリン 表彰女子エリートケイリン 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 小林優香(JPN、日本競輪学校)
2位 ミッシー・エリクソン(アメリカ)
3位 中川諒子(JPCA、JPCU新潟)



text:Hideaki.TAKAGI
photo:Hideaki.TAKAGI, Makoto.AYANO



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