いよいよ間近に迫ったジャパンカップに向け、次第に熱気が高まる宇都宮市。ジャパンカップクリテリウムを前日に控えた金曜日の夜19時からはオリオンスクエアにて出場前選手が集うチームプレゼンテーションが開催された。

チームプレゼンテーションには多くの観客が詰めかけたチームプレゼンテーションには多くの観客が詰めかけた photo:Kei Tsuji
佐藤宇都宮市長の挨拶に続いては、早速チームプレゼンテーションが開幕。ここにはジャパンカップに出場する17チームと、クリテリウムスペシャルチームを合わせた全18チームの選手や監督が顔を揃え、大勢の観客の前で顔見せを行った。各チームの舞台挨拶を簡単に紹介しよう。

宇都宮ブリッツェン
宇都宮ブリッツェン宇都宮ブリッツェン (c)Makoto.AYANO出場するどのチームよりも大きな歓声を受け、先陣を切って登壇したは宇都宮ブリッツェン。栗村修監督は「ジャパンカップ(で活躍すること)はチームの宿命として変わらない。1年の内で最も大切な戦いです。」と語り、注目選手は、との問いに鈴木真理と飯野智行の名を上げた。

2009年にアジア最優秀選手賞を獲得している鈴木真理は、「まだリハビリは続けており万全な状態ではありませんが、気持ちを強くもって臨みたいですね。」とコメント。そして「調子は悪くないので、良い走りが見せられるはず。」と語ったのは飯野。地元の威信に掛けて国内最大規模のレースに臨む。



シマノレーシング
シマノレーシングの野寺秀徳監督がウィリーで登場シマノレーシングの野寺秀徳監督がウィリーで登場 photo:Kei Tsuji演奏を続けるチェロ柳氏を囲むシマノレーシング演奏を続けるチェロ柳氏を囲むシマノレーシング (c)Makoto.AYANO


お決まりの(?)野寺監督によるウイリーで登場したシマノレーシング。2010年3位、2011年5位という成績を収め、エースを務める畑中は、「シーズン中最も大事な戦い。ここに向けて調子を整えてきました。今年はレース展開が昨年までと変わるでしょうから、それをしっかりと読んで着に絡んでいきたいですね。娘が生まれた年ですので、より気持ちが高まっています。」と気合いのコメント。日曜は畑中、そして土曜日はツール・ド・台湾ステージ優勝など、スプリント力の高い吉田隼人に注目だ。



チームUKYO
チーム右京チーム右京 (c)Makoto.AYANOシマノレーシングに負けじと(?)大久保陣によるウイリー&ジャックナイフで登場したチームUKYO。「チーム設立2年目で、ついにこの舞台に立つ事ができた。」と片山右京監督が感慨深げに語るこのチームは、元全日本チャンピオン、ブエルタ完走経験を持つ土井雪広や、今シーズン国内では無敵の強さを誇るホセ・ビセンテを中心に、レースの中で存在感を見せつけてくれるはず。

「またこのレースに帰ってくる事ができて嬉しく思っています。」とは土井。静かに闘志を燃やしているかのようなコメントが印象的だった。



愛三工業レーシングチーム
愛三工業レーシング愛三工業レーシング (c)Makoto.AYANO一昨年西谷泰治を2位に送り込んだ愛三工業レーシング。スピードのある盛一大、総合力のある中島康晴などをそろえ、今年はアジアを主戦場として戦い経験値を上げてきた。

エースを張る西谷は「毎年優勝を狙って参戦しています。皆の、そしてチームからの期待に応えていきたいとですね。」と落ち着いた口調で意気込み。他の選手たちは皆西谷へのアシストを口にし、チームのまとまりは非常に強く感じられた。




ブリヂストン・アンカー
ブリヂストン・アンカーブリヂストン・アンカー (c)Makoto.AYANO今年国内・ヨーロッパを問わず存在感を高めているブリヂストン・アンカーは、エースに清水都貴を立ててジャパンカップを戦う。

その清水は「あまり得意と言えないコースですが…」と言いいつつも、現役以来最軽量にまで身体を絞ってきたそうだ。ツール・ド・北海道総合優勝を上げたトマ・ルバ(フランス)や、井上和郎など、個々の力は国内チームトップレベルと言えるだろう。





NIPPO・デローザ
圧倒的なポイントを稼いで出場を決めたNIPPO・デローザは、ゆるキャラの「ミッチーくん」をつれて出場。ツール・ド・ランカウイ、ツール・ド・熊野総合優勝、抜群の強さを誇るアレドンド、今シーズン限りでの引退を決めた福島晋一などを揃える、名実共に国内最強チームだ。

NIPPOデローザNIPPOデローザ (c)Makoto.AYANO引退を表明している福島晋一(NIPPOデローザ)引退を表明している福島晋一(NIPPOデローザ) (c)Makoto.AYANO


福島にとっては、今回が最後のジャパンカップ。「毎年引退する事を念頭に走っていましたが、皆の、特に同世代である40代のファンからの声援が嬉しくて…。とにかく燃えかすを残さないように、完全燃焼できるように頑張っていきたい。」とコメントし、ファンから熱い声援が飛んでいた。エースはジュリアン・アレドンド。「目標は優勝」とのコメント。



ジャパンナショナルチーム
日本ナショナルチーム日本ナショナルチーム (c)Makoto.AYANOU23世代の選手たちで構成された今年のジャパンナショナルチーム。指揮をするのは名将・浅田顕監督だ。「去年までは国外トップチームに所属する選手を筆頭にしたチームだったが、今年はU23の力を伸ばす意味でのメンバー構成とした。

昨年にオープンレースでの勝利とツール・ド・北海道のステージ優勝を決めている黒枝が注目。登りのスピードのある吉岡にも期待が持てます。」(浅田監督)





アモーレ・エ・ヴィータ
アモーレ&ヴィータアモーレ&ヴィータ (c)Makoto.AYANOアモーレ・エ・ヴィータの注目選手は、2012年UCIアジアツアーチャンピオンで、今年ツアー・オブ・チンハイレイクの山岳賞&総合優勝を飾ったホセイン・アリザテ(イラン)が日曜日のエースを務める。

「チームワークできちんとレースを組み立てれば、狙いにいく事も不可能ではない。ジャパンカップは本物のチームが参加している。自分にとっても初体験のトップレースになるだろう。」と語る。クリテリウムは20歳のエストニア人スプリンター、ミーケル・ライムにも注目したい。




ジェリーベリー ・プレゼンテッドバイケンダ
恒例となったジェリーベリーによるジェリーベリー撒き恒例となったジェリーベリーによるジェリーベリー撒き photo:Kei Tsuji
ジェリーベリー・プレゼンテッドバイケンダジェリーベリー・プレゼンテッドバイケンダ (c)Makoto.AYANOポップなジャージデザインと陽気な雰囲気で人気が高いジェリーベリーは、今年もマスコットを連れつつ、キャンディーを撒きながら登場してきた。ムードメーカーであるブラッド・ハフ(アメリカ)は、「イツタベル?イマデショ!!」と会場の大爆笑を誘った。

調子の上がっているフレッド・ロドリゲスは、「集まってくれてありがとう、日曜日は全力で走りたいと思う。」と静かに闘志を燃やしているようだった。





チャンピオンシステム・プロサイクリング
チャンピオンシステム・プロサイクリングチャンピオンシステム・プロサイクリング (c)Makoto.AYANOアジア唯一のプロコンチネンタルチームであるチャンピオンシステムでの注目は、はやり凱旋レースを走る西薗良太だ。「北京は気合いが入りすぎて熱を出してしまい、リタイアに終わってしましたが、現在はしっかりと回復しているので頑張りたい。日曜日は誰でもエースなる可能性があります。」とコメント。

その他アイルランドナショナル選手権4連覇中のマット・ブラマイアーも注目選手の一人。「今日コースを回ったけれど、非常にタフかつ良いコースだ。とてもレースを楽しみにしているよ。」と語った。



ガーミン・シャープ
昨年のリベンジを誓うガーミン・シャープ昨年のリベンジを誓うガーミン・シャープ photo:Kei Tsujiダニエル・マーティン(アイルランド)、ネイサン・ハース(オーストラリア)という2人の優勝経験者を擁するガーミン・シャープ。監督曰く、エースは今期好調を維持しているマーティンで、コンディションも上々だそう。本人は「去年は2位だったから、もう一度頂点に立ちたいと思っている。コースやレースもとても美しく、このレースは大好き。皆の前でもう一度表彰台のトップに立ちたいと思っているよ。」

ハース「2011年に勝利したことは、キャリアの中でのハイライトだった。それをもう一度を体験したい。確かにマーティンはすごい。でも個人的には自分も良い成績を残せればいいなと思うよ。たくさんの観客の前でレースをすることを楽しみにしている。」



ランプレ・メリダ
ガーミン・シャープと同じく、ダミアーノ・クネゴとマヌエル・モーリ(共にイタリア)という2人の優勝経験者を揃えたランプレ・メリダも、既にジャパンカップではお馴染みの存在だ。2人のコメントを紹介する。

ランプレ・メリダランプレ・メリダ (c)Makoto.AYANOダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)が久々の出場ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)が久々の出場 photo:Kei Tsuji


クネゴ:「3勝目をあげたい。こういった素晴らしいレースで活躍することは名誉で、このジャパンカップに出場する事を常に考えて練習してきた。皆の前で素晴らしいパフォーマンスを見せる事ができれば良い。もちろんからなず勝つという確信は無いけれど、他の強豪選手に負けなうように頑張りたい。」モーリ「このレースはとても自分にとって重要だ。先日もイタリアのレースで2位に入ったりと調子は良い。」



サクソ・ティンコフ
宮澤崇史を先頭に入場したサクソ・ティンコフは、まずフィリップ・モデュイ監督へのインタビューからスタート。氏はまず同時に入場したビャルヌ・リースGMを紹介し、「当日は私が指揮をとりますが、リースには常に見張られているようです。」と笑いをとる場面も。リースGMは「こんばんは皆さん。日本に来るのは初めてのことで、本当に楽しみにしていました。こんなに多くのカメラマンが集まっていてくれて驚いた。」と初来日の感想を述べた。

サクソ・ティンコフのビャルヌ・リースGMが登場サクソ・ティンコフのビャルヌ・リースGMが登場 photo:Kei Tsuji出番を終えた宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)出番を終えた宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) photo:Kei Tsuji


注目は個人TT世界選手権3連覇など、輝かしい経歴を持つマイケル・ロジャース(オーストラリア)。過去にジャパンカップを走った経歴があり、「本当にわくわくしている。コースでトレーニングを行ったけれど、今日はファンの熱意を感じる事ができた。」と語り、宮澤は「非常に強いチームです。レースを楽しんでください。」と短く熱意を多くのファンに届けた。



オメガファーマ・クイックステップオメガファーマ・クイックステップオメガファーマ・クイックステップ (c)Makoto.AYANO

今年初出場のオメガファーマ・クイックステップ。指揮を執るブラマーティ監督は、「明日のクリテリウムはスピードのあるマッテオ・トレンティン(イタリア)にぜひ注目してほしい。

日曜は長い登りを得意としているピーテル・スライ(ベルギー)をエースに据えるつもり。」と戦略を語った。





レディオシャック・レオパード
レディオシャック・レオパードレディオシャック・レオパード (c)Makoto.AYANO同チームの注目株はジョージ・ベネット(ニュージーランド)とベン・ヘルマンス(ベルギー)の2名。両選手のコメントを紹介する。

ベネット「素晴らしいコースだと思った。ハードながらヒルクライムはとてもテクニカルで、景色もとても美しいね。景色を楽しみながら頑張りたい。今シーズンも最終版だが移動が続いている。少し疲れているけれど、日曜日までに回復して調子良く臨みたい。」

ヘルマンスは「150kmという自分たちにとっては短いレースだが、強い選手が揃っているのでハードになるだろう。」他、北京五輪のパーシュートで銀メダルを獲得しているヘイデン・ロールストン(ニュージーランド)はクリテリウムで注目だ。



スカイプロサイクリング
やはり今年のツール・ド・フランスでクリス・フルームの優勝に大きく貢献したリッチー・ポルトの影響か、非常に歓声の大きかったスカイプロサイクリング。「日本に来れて嬉しい。リッチーはもちろんのこと、経験のあるバーニー(アイゼル)から若手選手、日曜のプロトンの中で最強となるだろうロペスなど、幅広い選手が揃っている。」と語るのはアルヴェセン監督。

スカイプロサイクリングスカイプロサイクリング (c)Makoto.AYANOリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:Kei Tsuji


ポルトは「7月のフランスほどコンディションは良くないが、モチベーションは非常に高く持っている。コースを今日見たけれど、僕よりもロペスに向いたコースだと思う。」と語り、ロペスガルシアは「スタッフにこのレースに出たいと希望していたから、とても来日できて嬉しい。ツールドフランスでも、北京でも良いコンディションだった。日曜日もその調子のまま臨めるのではないか。」とレースにかけるモチベーションを口にした。



キャノンデール・プロサイクリング
そしてスカイに匹敵する大きな歓声を浴びていたキャノンデール。そしてその声は、凱旋レースとなる増田成幸と、昨年覇者イヴァン・バッソ(イタリア)に特に多く向けられていた。増田は「この1年、寿命が5年くらい縮まるほどいろんな事を経験しました(笑)。明日はピーター、あさってはバッソが勝てるように頑張りたい。」とアシストとして働くであろうことを発表。

絞れているイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)絞れているイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:Kei Tsuji大きな声援を受けた増田成幸(キャノンデールプロサイクリング)大きな声援を受けた増田成幸(キャノンデールプロサイクリング) photo:Kei Tsuji


一方バッソは「良い調子を継続して臨んでおり、チームとしてもかなり良いメンバーだ。明日・あさって共に素晴らしいレースができると思う。チーム全体が主役。チームとしてレースを組み立てていきたい。」と控えめに熱意を語ったが、明らかに状態の良さを感じさせるほどシェイプされた印象だった。



クリテリウムスペシャルチーム
クリテリウム・スペシャルチームクリテリウム・スペシャルチーム (c)Makoto.AYANO出番を待つクリテリウムスペシャルチームの別府史之(オリカ・グリーンエッジ)出番を待つクリテリウムスペシャルチームの別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiそしてジャパンカップ出場17チームのプレゼンテーションが終わり、最後に入場したのは別府史之(オリカ・グリーンエッジ)を中心としたクリテリウムスペシャルチームの面々だ。中野浩一監督は「昨年の1〜3位が揃っています。浅井康太・深谷知広の2名には5週目のポイント賞を狙わせる。ただ単に太ももが太いだけじゃありません!」と笑いを誘う場面も。

そして優勝が期待される別府史之は、「この日のために調整してきました。去年と比べて早く帰国したので時差ぼけも大丈夫です。去年よりもコンディションは良くないけれど、2頑張りたいと思う。今回は昨年優勝のマリチャと、スペシャリストであるマキュアンと走るので、去年とは違ったレースができるのではないかと期待しています。

マキュアンはコーチング(笑)という位置づけですが、スペシャルトレインを3人で組んで、たくさん集まってくれたファンの前で良い走りができるように務めたいですね。」と気合いの充実ぶりが直に伝わってくるコメントを披露してくれた。


text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji



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