ツール・ド・サンルイス第6ステージは最後の山岳バトルが繰り広げられ、リーダージャージを着るリカルド・ディアスをアルベルト・コンタドールが頂上ゴールのスプリントで下しステージ優勝。タイム差を守りきったディアスは総合優勝に王手を掛けた。

サクソ・ティンコフが集団のペースコントロールを担ったサクソ・ティンコフが集団のペースコントロールを担った (c)tour de san luis1月26日に行われたツール・ド・サンルイス第6ステージは、7日間に渡るレース最後の山岳ステージだ。コースはクイーンズをスタートし、1級山岳ミラドール・デル・ソル(太陽の展望台)へと上り詰める156.6km。

逃げるマルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)ら逃げるマルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)ら (c)tour de san luis序盤には標高1020mの3級山岳アルト・デ・キャンターナが用意され、最後のミラドール・デル・ソルは登坂距離約7km、平均勾配は8.75%で、ラスト3kmからは平均勾配15%ほどの激坂が続く難易度の高いもの。この最終決戦に相応しい峠路で、総合を掛けたバトルが繰り広げられた。

この日序盤にアタックを決めてエスケープしたのは、アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・メリダ)やピーター・ウェーニング、マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)、マウロ・フィネット(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セライタリア)ら12名。

強力なメンバーが逃げグループに入ったことに加え、前日に逃げ切り勝利が決まったことでメイン集団は警戒し、この日のタイム差は3分台止まりに。山岳コースをクリアしていく内に、先頭グループは5名までに人数を減らしていく。


アルゼンチン中部の山岳を走るメイン集団アルゼンチン中部の山岳を走るメイン集団 (c)tour de san luis

アスタナ勢が山岳でペースコントロールアスタナ勢が山岳でペースコントロール (c)tour de san luisミラドール・デル・ソルへと至る平坦路でエスケープグループは全て集団にキャッチされ、メイン集団はペースを上げきった状態で残り7kmから始まる峠路へと突入していった。すぐにニキ・セレンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)がアタックを試みるものの、タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)擁するBMCレーシングチームの牽引によって集団に吸収。

リカルド・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)を退け、ステージ優勝を飾ったアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)リカルド・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)を退け、ステージ優勝を飾ったアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) (c)tour de san luisしかしこの動きによって集団の人数は、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)やリーダージャージを着るリカルド・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)らを含む11名にまで絞られた。

スタッフに祝福されるリカルド・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)スタッフに祝福されるリカルド・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) (c)tour de san luis互いを見合いながらもハイペースで進む先頭グループからは、ラスト1km地点からコンタドールがアタック。これにはディアスがすぐさま反応し、2名が抜けだした状態で残り500mを通過した。その後ろからは単独でアレックス・ディニス(ブラジル、ファンビック・ブラジルインベスト)が追い上げを見せる。

そして残り200m、勾配が増したポイントからコンタドールがスプリントを開始すると、ディアスはわずかに空いた間隔を詰めることができない。後ろを振り返りつつ、コンタドールが「太陽の展望台」で昨年に続く2回目のステージ優勝を果たした。

「今日のみならず、これまでのステージでずっと僕のために働いてくれたチームに報いることができて嬉しい」と語るコンタドール。「これまで"仕事をしても見返りが無い(コンタドールが勝てない)"とジョークを言っていたチームメイトに、"今日のステージは勝つ"と言っていたんだ。」と付け加えた。

お決まりのポーズで表彰台に立つアルベルト・コンタドールお決まりのポーズで表彰台に立つアルベルト・コンタドール (c)tour de san luisそしてコンタドールの走りに食らいついたディアスは、総合に王手をかけることに成功。

「昨日のステージからどれだけ回復しているか不安だったけれど、走る内に調子の良さを感じていたんだ。実はディニスとタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)だけに注意を払っていて、コンタドールは僕から1分遅れだったから警戒をあまりしていなかった。でも彼のヒルクライムはとても速かったよ」と語った。

最終ステージとなる第7ステージは、サンルイスからファナ・コスライへと至る平坦ステージ。山岳ステージをこなしたスプリンター達によるバトルに期待が掛かる。



ツール・ド・サンルイス2013第6ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) 3h47′34″
2位 リカルド・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) +02″
3位 アレックス・ディニス(ブラジル、ファンビック・ブラジルインベスト)
4位 アーノルド・アルコレア(キューバ、キューバナショナルチーム) +14″
5位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セライタリア)
6位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
7位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +18″
8位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル) +25″
9位 ホアオ・メンデス(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ) +30″
10位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +34″
42位 増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング) +3′35″

個人総合成績
1位 ダニエル・ディアズ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) 20h37′28″
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +33″
3位 アレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジリアンベスト) +39″
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +1′02″
5位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +1′47″
6位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セライタリア)+2′29″
7位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ) +2′34″
8位 ハビエル・アセヴェド(コロンビア、ジェイミス・ハーゲンス) +3′00″
9位 バルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル) +3′14″
10位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +3′25″
68位 増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング) +34′50″

山岳賞
エマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)

ポイント賞
ラーンドロ・メッシネオ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)

新人賞
アレハンドロ・シヴォーリ(アルゼンチン、アルゼンチンナショナルチーム)

チーム総合成績
BMCレーシングチーム


text:So.Isobe
photo:tour de san luis,Cor.Vos