Topstone Carbon Lefty、そしてTopstone Neo Carbonを開発した本国スタッフの一人、デーヴィッド・デヴァイン氏とのオンラインインタビューの模様を紹介。その中でLefty搭載モデルの復活は"パッション・プロダクト"、つまり情熱を持って開発に取り組んだもの、と表現された。

開発のキーマンに聞く、Topstone Carbon LeftyとNeo

キャノンデールのオンロードカテゴリープロダクトディレクター、デーヴィッド・デヴァイン氏。特にグラベルカテゴリーを率いてきた中心人物だ(写真は2019年のメディア発表会)キャノンデールのオンロードカテゴリープロダクトディレクター、デーヴィッド・デヴァイン氏。特にグラベルカテゴリーを率いてきた中心人物だ(写真は2019年のメディア発表会) photo:Yuto.Murata
オンロードカテゴリーのプロダクトディレクターとして、世に衝撃を与えたSlateを筆頭にキャノンデールのグラベルラインナップ開発主導を担ってきたデーヴィッド・デヴァイン氏。今回Topstone Carbon Lefty、そしてTopstone Neo Carbonの発表に先んじてオンラインインタビューに応じてくれた。誕生秘話や各部詳細、そしてバイクに込められたユーザーへのメッセージを紹介したいと思う(インタビュー:5月20日)。

CW:今日はよろしくお願いします。Topstone Carbon Leftyのデビューは、Slateに乗ってきた私としてはとても嬉しいニュースでした。まずは開発を進めた、一番の理由を教えてもらえますか?

デーヴィッド・デヴァイン氏(以下ディヴァイン):まず前提として、グラベルバイクを開発する大元には、我々キャノンデールはもともとツーリングバイクや、キャンプギアを作っていたことに由来するDNAが息づいています。その後すぐレースバイクが有名になったことでそちらへと舵を切りましたが、その"バイクを楽しむ"というDNAは脈々と受け継がれていました。しかしSuperSixなどピュアレースバイクは速さを競うものであって、厳密に言えば楽しむためのバイクではありません。そこで近年我々は「New riders, new experiences」をスローガンに掲げ、今までスポーツバイクに触れたことの無いユーザーをも含め、より多くの人を楽しいライドに誘うためのコレクションに注力しています。Slateを筆頭にするグラベルバイクはその筆頭であり、今回のTopstone Carbon Leftyはその究極の形となります。

「キャノンデールのスローガン"New riders, new experiences"を推し進める究極の形」「キャノンデールのスローガン"New riders, new experiences"を推し進める究極の形」 (c)キャノンデール・ジャパン
デビューさせた最大の理由は、「僕たち自身が作りたかった」から(笑)。僕ら開発グループはこれまでSlateやSuperX、Topstoneシリーズなどを生み出してきましたが、Topstone Carbonを作った後も、常にLefty版の構想は持ちつづけていました。やはりLeftyはキャノンデールの"パッション・プロダクト"ですし、グラベルロードとLefty Oliverの相性はすごくいい。リジッドTopstoneもコンベンショナルなグラベルロードの中ではトップクラスの走行性能を有していますが、Leftyの搭載は僕らにとってのドリームバイクでした。そこで開発をスタートさせたのです。

CW:ここ最近のグラベルバイクは軽量XCハードテールMTBと一緒じゃないか、どんどん似てきているじゃないか、と言われることが多いですね。開発者サイドとしてこの意見はどう受け止めますか?

ディヴァイン:そういう声が多いのは事実ですが、我々の考えでは両者は似て非なるものです。確かに帰着点は似ていますが、グラベルバイクはMTBよりも軽く、サスペンションに求められることも、そしてジオメトリーも異なります。フルサスペンション化を果たしたTopstone Carbon Leftyですら周回コースを全力疾走するXCバイクとは違い、荒れたグラベルを一日中走っても快適さを損なわないよう、ドロップハンドルありきで開発したもの。両者には似て非なる違いがあるのです。

Topstoneの始祖となったSlateは既存の概念を突き崩すよう設計され、実際に乗った人たちはオフロード・ロードバイクの可能性について夢を見出しました。そこからグラベルバイクは急速にリファインされ、我々も今回のTopstone Carbon Leftyの登場に繋げています。

CW:やはり話題はLefty Oliverですが、先代からどのようなアップデートを遂げているのでしょうか?

キャノンデールのアイコンであるLefty。第2世代のOliverは大幅な進化を遂げているキャノンデールのアイコンであるLefty。第2世代のOliverは大幅な進化を遂げている (c)キャノンデール・ジャパン
ディヴァイン:Lefty Oliverは最も苦心したもの。優秀なサスペンション機能を維持しながらなるべく構造を簡略化させ、軽量化させることでロードバイクの軽快感を削がないような作りを目指しました。

そもそもオフロードバイクのサスペンションは"飛ぶため"のものとイメージされがちですが、本当の目的は常にバイクを接地させ、車体を安定させることにあります。特に車体が軽く、XCバイクと比べてタイヤも細い(=車体が跳ねやすい)グラベルバイクにおいてその役割は重要です。

例えばFOXなど、MTB用サスペンションのストローク量を調整したグラベル用サスペンションも市場には存在します。確かに良い製品ですし、従来のグラベルバイクの中では大きな役割を担ってきました。しかしキャノンデールは、本当のグラベルサスペンションを作りたかった。Lefty OliverもLefty Ochoをベースにこそすれ、ライダーをサポートするために徹底的にグラベル用へと作り変え、そしてチューニングしています。

キャノンデール"らしさ"が凝縮されたTopstone Carbone Leftyのシルエットキャノンデール"らしさ"が凝縮されたTopstone Carbone Leftyのシルエット (c)キャノンデール・ジャパン27.2mm径のシートポストを採用し、ドロッパーポストにも対応する27.2mm径のシートポストを採用し、ドロッパーポストにも対応する (c)キャノンデール・ジャパン

700Cvs650B。推奨タイヤをセットした場合、どちらも外径はほとんど共通だ700Cvs650B。推奨タイヤをセットした場合、どちらも外径はほとんど共通だ (c)キャノンデール・ジャパン
舗装路も未舗装路も、あるいはシングルトラックだって範疇に収めることがTopstoneの命。ダンピングレートを徹底的に煮詰めることで、小さな衝撃、つまり舗装路や軽いグラベルを走っている時にはあまり動かずソリッドな乗り味を、そして大きな衝撃を受けてサスペンションが動作した後はスムーズかつ軽く動くような性格に調整しています。トラベル自体は30mmしかありませんが、非常に懐の深い味付けになっているため、もっとストロークする、よく動くサスペンションに近い挙動を感じてもらえるはずです。ボリュームスペーサー(トークン)も用意しており、ショップで装備することが可能です。

そしてオフセットは55mmですので、トレイル値は63mm。前のOliverがオフセット45mmで極めて"スラック"だったためトレイル値も長い。今の基準から言えばダルさのあるハンドリングだったのですが、そこは大きく解消されています。ハンドリングの左右差は特に低速域で大きく解消されましたし、そこは我々が特に気を使って開発をしたポイントです。

CW:なるほど。非常に興味深いですね。Neoに関してはどうでしょう?どのようなメッセージをもって開発したバイクですか?

「Neoは最もキャパシティの広いグラベルロード」「Neoは最もキャパシティの広いグラベルロード」 photo:Kei.Tsuji
ディヴァイン:Topstone Neo Carbonの存在は忘れてはならないものです。グラベルEバイクはまだまだ新しいカテゴリーですが、これこそ「New riders, new experiences」を一番プッシュするものです。当然登りでのキャパシティはペダルバイクより大きくなるので、体力がなくたって楽しめるし、スキルがある人であれば今までよりももっと早く走れるようになるのです。

CW:いち一般ユーザーとしてのTopstone Carbon Leftyの印象を教えてもらえますか?

ディヴァイン:そうですね。多くのグラベルロードがMTBのアイディアを流用しているのに対し、例えば非常に短いチェーンステーなど、Topstone Carbonはロードバイクのアイディアを、独自のグラベルテクノロジーを加えつつ活かしています。私はシングルトラックまで少し距離のある場所に住んでいますが、そこに到るまでの舗装区間でもとても俊敏で、山に入ればLeftyが活躍します。MTBをベースにしたグラベルロードだったらこうはなりません。

キャノンデール開発陣の2人とオンラインミーティングを行ったキャノンデール開発陣の2人とオンラインミーティングを行った
個人的にもとても気に入っているバイクです。一番気に入っているのは徹底的にこだわったLeftyによる二面性でしょうか。舗装路ならロードバイクのように、オフロードならSlateよりもずっと奥行きがある走りを見せてくれること。とにかく楽しいバイクですね。

CW:ありがとうございました。最後に、ユーザーにToptstone Carbon Lefty、そしてTopstone Neo Carbonでどう楽しんでほしいか、そしてどのようなメッセージが込められたものなのか、教えて下さい。

ディヴァイン:2019年は我々のレースバイク、そしてフィットネスバイクにとって大きく変化した年でした。SuperSix EVO、CAAD13、そして Quick。そして今年はToptstone Carbon Leftyで「New riders, new experiences」をより大きく加速させます。

「今まで以上にどんな場所でも、楽しく、かつ速く走るためのバイク」「今まで以上にどんな場所でも、楽しく、かつ速く走るためのバイク」 (c)キャノンデール・ジャパン
我々がTopstone Carbon Leftyをはじめ、全てのオフロードバイクに込めているのは「外に出て走ろうぜ!」というメッセージ。舗装路から未舗装路、シングルトラック。Leftyを搭載したTopstone Carbonは、今まで以上にどんな場所でも、楽しく、かつ速く走るためのバイクです。

住む場所それぞれにそれぞれ違うフィールドがあって、そこに乗り手の趣向を加えれば、走り方のスタイルは無限。今までロードしか持っていなかった人は険しいオフロードに入れないし、MTBしか持っていなければクルマを使ってトレイルヘッドまで行かなければならないかもしれません。でも、今回デビューさせるTopstoneは、ペダルバイクもEバイクも共通してどんな場所でも楽しめる究極のファンバイクです。まだ見ぬ土地、場所、道、シングルトラックを探検し、遊びきるには最良の選択だと考えています。
提供:キャノンデール・ジャパン text&photo:So.Isobe