SLR以下のアルミTCRとDEFYを統合した注目のニューエントリーモデル、CONTENDシリーズ。今回はジャイアント独自の油圧ディスクブレーキシステム「CONDUCT DISC BRAKE」を投入したユニークな意欲作、CONTEND SL 1 DISCにフォーカスし、その性能と存在価値を見極める。

独自の油圧ディスクブレーキシステムを投入 CONTEND SL 1 DISC

ジャイアント CONTEND SL 1 DISCジャイアント CONTEND SL 1 DISC
レーサーらしい加速感を味わえるTCRと、どこまでも長い距離を走るために快適性を求めたDEFY。CONTENDシリーズでは前三角にアップライトなポジションを可能にするDEFYのジオメトリーを投入し、後ろ三角には反応性を引き上げるためにTCR譲りのショートチェーンステーを採用することで、2モデルの特徴をミックスしている。

フレームのバリエーションはALUXX SLアルミニウムを使った上級モデル「CONTEND SL」と、ALUXXアルミニウムを使ったベースグレードの「CONTEND」の2種類となり、それぞれにパーツ構成の違いによる2モデルの完成車が用意された。

ダウンチューブはTCRの角断面形状をモディファイしており、丸みを帯びた五角形に近い形状とすることで剛性をキープしながら乗り心地の向上を見た。快適性に関して言えば、SLグレードではDEFYのカーボンモデルに使われる、ジャイアントの中で最も快適性能高いD型断面の「D-FUSEピラー」を採用したことも大きいだろう。

左右シートステーは非対称設計。反応性を求めたショートチェーンステーはTCRから受け継いだ部分左右シートステーは非対称設計。反応性を求めたショートチェーンステーはTCRから受け継いだ部分
リラックスしたポジションを生む、長めのヘッドチューブリラックスしたポジションを生む、長めのヘッドチューブ
TCR同様にトップチューブ後端を絞っている。シートステーへと滑らかに繋がるデザインにも注目TCR同様にトップチューブ後端を絞っている。シートステーへと滑らかに繋がるデザインにも注目


ビギナーユーザーのファーストバイクが前提であるため、ペダリング剛性は2016モデルのDEFY ALUXX SLよりもあえて落とし、優しい乗り味を獲得したことも特徴の一つ。アルミのデチューンという難題を簡単にクリアしているのは、屈指の技術力を誇るジャイアントならではと言えるだろう。

デザイン的にも若干のくびれを持たせ、軽量化に配慮したヘッドチューブや、TCR同様トップチューブからシートステーを繋がる形状とすることで剛性やパワー伝達性を目指したことなど一切の妥協は感じない。内装式シートクランプ・ケーブルルーティングなど、見た目の美しさは所有欲にも繋がる部分。さらにはRIDESenseの台座を予め用意しているなど、これらは全て昨年までのTCR ALUXX、DEFY ALUXXには未投入だったポイントである。

今回テストするCONTEND SL 1 DISCに採用されたCONDUCTディスクブレーキについても触れておきたい。通常の機械式STIレバーで油圧ディスクブレーキを作動させるハイブリッドシステムで、ステム部分にコンバーターを搭載するため、キャリパーまでワイヤーが伸びる製品に対して摺動抵抗が少なく、握りの大きなレバーを使わずして高い制動力を得ることができるのだ。

SLグレードに採用されるD-FUSEシートポストSLグレードに採用されるD-FUSEシートポスト SLグレードのフレームにはALUXX SLアルミニウムが採用されているSLグレードのフレームにはALUXX SLアルミニウムが採用されている フロントフォークは細めのデザインだフロントフォークは細めのデザインだ

機械式から油圧式へのコンバーターをステムキャップと一体化させたジャイアント独自のブレーキシステム機械式から油圧式へのコンバーターをステムキャップと一体化させたジャイアント独自のブレーキシステム ブレーキキャリパーも独自品。ブレーキローターは140mmブレーキキャリパーも独自品。ブレーキローターは140mm

しかもディスクブレーキの扱いにくさ(=制動力の立ち上がりの速さ)を踏まえ、ファーストタッチはやや弱め、かつ対向ピストン式を採用しているため、強く握りこんだ際はガッチリと制動するよう研究が重ねられたという。そのためウェットコンディションでのロック回避や、連続的なブレーキ操作にもフェードしにくい特徴がある。メカニカル的にもコンバーターへのワイヤー、オイルラインはそれぞれ無理の無い角度で接続しており、実際の握り心地はフル油圧式に近い。このCONDUCTディスクブレーキは今回のテストバイクの他にカーボンモデルのDEFYやLIVのAVAILにも投入されることが決まっている。

他ブランドでは真似できないほどの工夫が盛り込まれた、高品質のエントリーロードバイク、CONTENDシリーズ。その価値を二人のテストライダーが語る。

CONTEND SL 1 DISCインプレッション

「硬すぎず柔らかすぎず、剛性バランスがちょうど良い」

「硬すぎず柔らかすぎず、剛性バランスがちょうど良い」「硬すぎず柔らかすぎず、剛性バランスがちょうど良い」
山根:TCRとDEFYをミックスしたエントリーグレードですが、乗って「なるほどな」と思わせるフィーリング。確かにDEFYと同じようなリラックスしたポジションが取れるのですが、説明通りリアバックの反応性が高く、決してダルすぎないんです。確かに脚への負担も抑えられているのですが、ふにゃふにゃと力が逃げてしまうこともなくちょうど良い塩梅です。最初の一台として選ぶ方にちょうど良い乗り味だと思いました。

早坂:しっかりと的を得たコンセプト通りのバイクです。TCRとDEFYの良いところ取りという表現がされていますが、どちらかというと若干TCR寄りでしょうか。もちろんALUXX SLRアルミを使ったTCR SLRほどではありませんが、シャッキリとしたフィーリングだと感じます。山根さんが仰るようにリアセンターを10mm詰めたことが効いているのかもしれません。でもヘッドチューブが長いので、シッティングの時はリラックスできる。最初の一台には大アリですね。

「走り心地はどちらかというとTCR寄り。シャッキリとしたフィーリング」「走り心地はどちらかというとTCR寄り。シャッキリとしたフィーリング」 「ハンドリングは直進安定志向で、コーナーでも不安を感じさせる切れ込みが無い」「ハンドリングは直進安定志向で、コーナーでも不安を感じさせる切れ込みが無い」

山根:一昔前のアルミフレームはとにかく硬かったり、硬いのに進みがイマイチだったり、逆に柔らかすぎて力が伝わらないものも少なくありませんでした。でもCONTENDは硬すぎず柔らかすぎず、剛性バランスがちょうど良い。ハンドリングは直進安定志向で、コーナーでも切れ込んでいく感じがありません。ややアンダーめな味付けですが、長距離をこなして集中力が失われてもまっすぐ走ってくれるので安心です。

早坂:乗り心地に関しても文句の付けようがありませんでした。25cのタイヤも効いているとは思いますが、荒れたところでも身体が跳ねる感じが無い。D-FUSEシートピラーがかなり良い仕事をしているんだろうと思いますね。

山根:シートピラーは他ブランドと比べて大胆に細いですよね。フロントフォークも細身に見えますし、その辺りで路面からの突き上げをカットしていると思います。踏み込んだ際のフィーリングもカーボンモデルに迫る上質さがありました。

「ディスクブレーキの完成度は非常に高く、扱いやすい」

「ビギナーにちょうど良い走り心地。各部の作り込みもさすが」「ビギナーにちょうど良い走り心地。各部の作り込みもさすが」
早坂:そうそう、オリジナルのディスクブレーキはとても良かったですね。ディスクブレーキのロードバイクは初めての経験だったのですが、挙動もナチュラルで扱いやすく、何より雨でもしっかりと減速できました。シマノの機械式STIレバーを使っていますが、アップグレードも行いやすいし、フル油圧のSTIレバーに比べて小ぶりですから、手の小さい方でも油圧ブレーキのメリットを享受できる。ジャイアントのステムしか使えませんが、これは後々交換用のバリエーションが増えることに期待したいと思います。

山根:油圧ディスクブレーキの登場当初言われていたネガティブさはほとんど感じませんでした。もちろんキャリパーブレーキとはフィーリングが違うものの、慣れで解決できる範疇です。このCONTENDを試した後にTCR SLRに乗ったのですが、『アルテグラのブレーキってこんなに効かなかったっけ?』と思うほどでした。とても実用的だと感じます。

ただ一点、P-R2 DISCホイールはリムハイトがある分、少し漕ぎ出しが重かったかな。巡行に乗せてしまえば何ら問題ありませんが、加速を重視するならアップグレードの余地はありますね。

「CONDUCTディスクブレーキの完成度は非常に高く、扱いやすい」「CONDUCTディスクブレーキの完成度は非常に高く、扱いやすい」 「フル油圧のSTIレバーに比べて握りが小さく、手の小さい方でも油圧ブレーキのメリットを享受できる」「フル油圧のSTIレバーに比べて握りが小さく、手の小さい方でも油圧ブレーキのメリットを享受できる」

早坂:私としてはTCRのSLR以下のアルミバイクが無くなってしまったのは少し残念です。ジオメトリーがDEFY寄りなので、レーサー志向の方はどうしてもハンドルが高くなってしまいますから。でもロングライド派なら、完成車としてとてもよくまとまっています。

山根:確かにコーナリングや剛性感など、全体的なバランスとしてはTCRよりもロングライド向け。でもキャリパーブレーキモデルは安価ですし、ロードバイクが欲しいけれど、その先で何がしたいのか定まっていないユーザーのためを思えばアリですね。そこで物足りなくなったらTCR SLR、もしくはカーボンモデルにステップアップするのが良いでしょう。

今まではレース出場を考えるならば、最低限15万円ほどのバイクが必要でした。でもCONTENDシリーズの出来はしっかりとしていますし、試乗こそできなかったものの、エントリーグレードであるCONTEND 2の作りも良かった。アンダー8万円なら中学生でも頑張れば購入できますし、オススメできると思います。
提供:ジャイアント・ジャパン 制作:シクロワイアード編集部