オーストリア、キッツビュールでのキャノンデール新車発表会は2日目。ジャーナリスト達は発表されてホヤホヤのCAAD12に乗り、小高い山の頂上にセッティングされたプレゼンテーション会場まで駆け上がった。注目を集めるバイクの詳細と、インプレッションをレポートする。

キャノンデールのアルミ愛をカタチに

ペダルを踏み込むと、CAAD10でもシャープに感じていた加速感がより一層際立っていることを意識させられる。シッティングで回してもダンシングで踏み込んでも、そしてどの速度域でもよどみが無く、どんな走りをしてもCAAD10とは別物だ。これはもの凄いレベルで進歩している…!。

オーストリアのプレゼンテーションで披露されたCAAD12オーストリアのプレゼンテーションで披露されたCAAD12
ほうほうの体で10kmのヒルクライムを終え、発表会場に到着した我々を待っていたのは、「THE CULT of ALUMINIUM」とCAAD12を指し示すキーワード。イルミナティ(日本語で言えば秘密結社だ)と掛けた、「WE ARE THE ALUMINATY(アルミ教団)」の言葉とともに、プレゼンテーションが始まった。

キャノンデールにとっての最初のアルミバイクは、1983年に市販されたツーリング車だったという。軽く、性能を引き出しやすいアルミはスチールを急速に淘汰し、自転車界において圧倒的なヒエラルキーを奪い取った。カーボンの台頭によって全盛期こそ終わりを告げたものの、キャノンデールのアルミ熱は一切衰えることを知らなかった。

CAAD12のフレームを手に取ったジャーナリストが唸るCAAD12のフレームを手に取ったジャーナリストが唸る プレゼンテーションに用意されたチェーンステーのカットサンプル。薄さに加え、緻密に形状や厚さがコントロールされていることに目がいくプレゼンテーションに用意されたチェーンステーのカットサンプル。薄さに加え、緻密に形状や厚さがコントロールされていることに目がいく


新技術をフル導入したCAAD9で昨今のアルミロードの本家たる地位を築き上げ、後継のCAAD10でその存在はより際立つことに。そこから5年、フルモデルチェンジを遂げたSUPERSIX EVO HI-MODから多くの設計思想を落とし込み、キャノンデールはCAAD12を今回のデビューに繋げた。

全てはアルミを愛して止まない(=THE CULT of ALUMINIUM)方のために。数字を一つ飛ばした(10→12)のは、圧倒的な進化と自信があったからに他ならない。



軽さ、強さ、スムーズさ 全方位的に進化を遂げたCAAD12

キャノンデールがCAAD12開発において掲げたのは、「軽さ」「強さ」そして「スムーズさ」の3つ。素材自体は6069アルミニウムを引き継いでいるものの、キャノンデールが「革新的」と言うチューブフローモデリング(各チューブの役割を洗い直し、ベストな形状を導きだす解析を通した設計のこと)を導入したことで、完全なる別物に仕上げられている。

プレゼンテーションではチェーンステーのカットサンプルが用意されたが、会場を驚かせたのはその薄さ。荒れ地を走ったり、チューブを力強く握ることをためらわせるほどだが、当然安全性や不意の衝撃にもほころばない耐久性を持たせているという。シートポスト下のチューブ集合部はより華奢になり、シートステーも極薄だ。

複雑な行程を経て生まれる各チューブ。これを溶接し、再熱処理を加えることでより強固な構造体となる複雑な行程を経て生まれる各チューブ。これを溶接し、再熱処理を加えることでより強固な構造体となる シートチューブ下側を広げ、剛性と快適性を向上させているシートチューブ下側を広げ、剛性と快適性を向上させている


ディスクブレーキモデルの画期的なブレーズオンマウント。これによって大きな軽量化を果たしたディスクブレーキモデルの画期的なブレーズオンマウント。これによって大きな軽量化を果たした ボトムブラケット規格はBB30A。シェル形状を工夫することで剛性も向上ボトムブラケット規格はBB30A。シェル形状を工夫することで剛性も向上 photo:So.Isobeフレーム重量は他を圧倒する1098gとなり、CAAD10よりも52g軽量化。SUPERSIX EVO HI-MODと同じフォークを導入したことで、キャノンデールの提唱するシステムウェイト(フレーム、フォーク、ヘッドセット、シートポストの合計)では200g以上という数値を削減してみせた。しかも特許取得済みのブレーズオンマウントを投入したことで、ディスクブレーキモデルのフレーム重量は1094gと先代に比べて206gも軽量化。通常モデルよりも4g軽いという逆転現象まで起こしてしまった。

全体的なフォルムはSUPERSIX EVO HI-MODと近しく、特徴的なアワーグラス型ヘッドチューブ(+10%剛性向上)、シェル幅を5mm広げたBB30A規格のボトムブラケット(+13向上)など、走りに直結する部分の剛性向上を見た。

3つ目の「スムーズさ」に関しても全く妥協は無く、特にSPEED SAVEを導入したリアバックは50%以上もの柔軟性向上を実現したという。もちろん25.4mm径のシートポストやフロントフォークが影響していることも忘れてはならないポイントだ。

実際にグループライドでは農道レベルの細く荒れたワインディングを駆け巡ったが、CAAD10のような勇ましい突き上げはほぼ感じることが無かった。シートポストもそうだが、特にリアバックは積極的に動いていることを感じさせるほどに柔軟性が高い。シナプスに勝るとも劣らない!とは言わないまでも、よりロングライドにも向いたように思う。

対してBB周辺やフロントはフォークの華奢さを感じさせないパワフルな剛性感を持っているので、ダンシングの振りやコーナリングの切り返しも素早くなったし、コーナリング中にどれだけ倒しこんでいようがもう一段切り込んでいける安定感・安心感が秀逸だ。これはSUPERSIX EVO HI-MODでも感じたので、フロントフォークによる働きも大きいのだろう。

全ての挙動が軽くなり、より登り性能も向上している全ての挙動が軽くなり、より登り性能も向上している
脚力が無ければ踏めない「塊」感はCAAD10よりも薄く、誰にでもその魅力が引き出しやすくなっているため、CAAD12購買層の中心を占めるであろうホビーレーサーにとってはベストマッチする。これでいてフレームセット165,000円(税抜)と言うのだから、下手なカーボンフレームは簡単に食われてしまうだろう。よほど過酷なレースでなければどんな場面でも武器になる。

キャノンデールのヒエラルキーで言えば圧倒的にSUPERSIX EVO HI-MODに軍配が上がるし、全方位的な性能も確実にSUPERSIX EVO HI-MODが上だ。それでもアルミに情熱を注ぎ続け、CAAD12をデビューさせた姿勢には敬意を表したいとさえ思う。20万円でカーボン完成車が多く選べる時代において、そこにガチンコで割って入るバイクはそう多くない。CULT of ALUMINIUM、熱狂的アルミ信仰を全力で受け止める孤高の存在こそ、このCAAD12である。

提供:キャノンデール・ジャパン 製作:シクロワイアード編集部