5月某日、シリコンやアルミニウムなど素材の質感を活かしたサイクルアクセサリーを展開するオージーブランドknog(ノグ)の新製品発表が東京・代官山にて開催された。これに合わせて来日した創業者でありCEOのヒューゴ・デヴィッドソン氏によるプレゼンテーションの模様を紹介しよう。



「Oh Yeah!」とワクワクしてもえるプロダクトを生み出して行きたい

新製品発表のために来日したknogのヒューゴ・デヴィッドソンCEO新製品発表のために来日したknogのヒューゴ・デヴィッドソンCEO
まず、プレゼンテーションの冒頭ではブランドヒストリーやフィロソフィーが紹介された。knogの創業者はオーストラリア人工業デザイナーのヒューゴ・デヴィッドソン氏とエンジニアのマルコム・マケクニー氏の2人。当時世界最小のGMS方式の携帯電話や警察の防弾チョッキなどを筆頭に数々の工業製品のデザインを手がける「catalyst」社の傘下ブランドとして立ち上がった。

国内では秋ヶ瀬の森バイクロア等のイベントにサポート行っている国内では秋ヶ瀬の森バイクロア等のイベントにサポート行っている ノグの大きな特長の1つであるユニークな広告ノグの大きな特長の1つであるユニークな広告 なんだかキモカワなイラストが描かれたPORNO PATCHESなんだかキモカワなイラストが描かれたPORNO PATCHES ブランド名はノグとしてデザインを手がけた初のプロダクトである自転車用ヘルメット「noggin(オールドイングリッシュで「頭」という意味)」に由来しているのだそう。ただし、コレといった意味あいは無いそうで、世界中の誰もが読みやすいブランド名にしたい、ということで「knog」に決まったそうだ。

創業のきっかけとなったのは、自転車店でアルバイトしていたというcatalyst社のスタッフの「自転車パーツのデザインはどれも退屈」という何気ない一言だった。その声に耳を傾けたデヴィッドソン氏は自転車パーツを徹底的に調査したという。そうして誕生したシリコンライト「Frog」は全世界で500万個ものセールスを記録する。

その後を追う様にシリコンを用いたライトが各社から登場したことからも分かる様に、一躍サイクルアクセサリーのリーディングカンパニーに上り詰めた。そして今や世界68カ国で2万ものショップがノグ製品を取り扱っており、国内においても同社のライトやシリコン製ロックを店頭に並べているショップはとても多い。

そんなknogのブランドコンセプトは「カスタマーに『Oh Yeah!』とワクワクしてもえるプロダクトを生み出すこと」だという。デヴィッドソン氏も「これまでにユニークなデザインを生み出すために、ファッションや各種のカルチャーからインスパイされることもあれば、私自身世界中を旅してアイデアを得ているんだ」と語っている。

そのユニークさはパッケージや広告にも現れている。筆者が個人的に印象に残っているのは「PORNO PATCHES(ポルノパッチ)」というパンク修理用のテープが登場した時のこと。何がモチーフかは読者の皆さんの想像に任せるとして、「キモカワ」というべきグラフィックはとても異彩を放っていた。

自転車用ライトの技術を応用し開発したというアクションカメラ用及びスマートフォン用のライト自転車用ライトの技術を応用し開発したというアクションカメラ用及びスマートフォン用のライト アクションカメラ用ライト「kudos」は1眼レフカメラの動画撮影にも使用できるアクションカメラ用ライト「kudos」は1眼レフカメラの動画撮影にも使用できる


さて、ライトとロックを中心に成長してきた同社だが、昨年からは新たなジャンルへと参入し、GoProなどのアクションカメラ用ライトと、Bluetoothで連結するスマートフォン用ライト付きケースをリリースした。

「アクションカメラでもスマートフォンでも暗い場所での撮影には苦労するものだよね? だからノグでは防水性やレンズ設計など、自転車用ライトの技術を応用したライトをリリースしたんだ。加えて、ムービーを撮影する際に明るさにムラが出ない様に工夫をしている」とはデヴィッドソン氏の談。自転車製品でないものの、共に自転車乗りと親和性の高そうなプロダクトなだけに、興味をそそられるという読者の方も少なくないだろう。



2016モデルはロックとライト共にラインアップが拡充 ライトはより高照度で、よりランタイムがロングに

プレゼンテーションで自らの商品を説明するデヴィッドソン氏プレゼンテーションで自らの商品を説明するデヴィッドソン氏
ブランドについての紹介の後は2016年のプロダクトラインアップが発表され、それぞれのモデルの特徴が紹介された。ライト類は2シリーズの新型(後日発表)がリリースされる予定の他、現行モデルについては一部でLED及びバッテリーの高性能化に伴うアップデートがなされており、ユーザーの声を取入れシリコン製バンドが交換可能に。

「Blinder ARC」は「上方向を照らした所で意味は無いし、むしろ対向車は眩しさを覚える。それなら同じ照度でも横方向にてらせた方が視認性が高まる」との研究結果から、楕円状の発光パターンでワイドな照射範囲を実現したハイエンドモデルだ。米国CREE社製LEDにLi-ionバッテリーを組み合わせ、明るさと長いランタイムを両立している。

ユーザーの声を取入れ、シリコンバンドは交換可能にユーザーの声を取入れ、シリコンバンドは交換可能に Blinderシリーズは全てUSB充電式バッテリーを採用しているBlinderシリーズは全てUSB充電式バッテリーを採用している


同じくハイエンドに位置付けられるのがロードバイク用の「Blinder ROAD」。それぞれ照射角の異なる2つのLEDの組み合わせることで、走行シーンに応じて配光を調整できることが特徴だ。また、ハンドルバーの前方にマウントできるため取り付け時のフォルムがスマートであることや、最大400ルーメンで75gと明るさと軽さのバランスに秀でているなど、ロードに特化した設計も見逃せないトピックスである。

上記2種類は「照らす」ことにフォーカスした「PERFORMANCE」シリーズと位置付けられるのに対し、コンパクトデサインモデルとテールライトは被視認性を重視した「BE SEEN」シリーズとされている。昨今話題のデイライトとしても使用可能で、デイヴィッドソン氏曰く「夜間はそうではないものの、日中は筐体にも目が行くんだ」とのことから、アルマイトカラーのアルミボディやユニークなLEDの配置などデザイン性も重視しているという。

既存のラインアップはLEDとバッテリーの高性能化に伴うアップデートがなされている既存のラインアップはLEDとバッテリーの高性能化に伴うアップデートがなされている ハイエンドモデルに位置付けられるBlinder ARCは楕円状の配光によりワイドな照射範囲を実現ハイエンドモデルに位置付けられるBlinder ARCは楕円状の配光によりワイドな照射範囲を実現

それぞれ照射角度が異なる2つのLEDとコンパクトボディーが特徴のBlinder ROAD 3それぞれ照射角度が異なる2つのLEDとコンパクトボディーが特徴のBlinder ROAD 3 4つのLEDによって被視認性を追求したBlinder ROAD REAR4つのLEDによって被視認性を追求したBlinder ROAD REAR


ロックは大きく3タイプに分けられる。その中で最もモデル数の多い「Sausage Locks」は、バイクを傷つけにくいシリコンコーティングケーブルを採用するオーソドックスなモデル。スチールケーブルの束の中心にファイバーコアを配すことで切断力を吸収し、切れにくくしている。

ライド中にカフェやベーカリーなど休憩する際など、ちょっと目を離さなければならないシーンにで活躍してくれるのが巻取り式の「MILK MAN」。携行性を重視した設計で、ワイヤーを収めるポリカーボネートボディーはバックポケットに入れた際に馴染む様に、緩やかなアールが設けれている。今季よりダイヤル式が新たに登場した。なお。ミルクマンと言う名前は牛乳配達員に由来しているのだそう。

シリコンを多用したポップなロックラインアップシリコンを多用したポップなロックラインアップ
最強のロック、ストロングマン(フック部分)最強のロック、ストロングマン(フック部分) 傷だらけの腕にまかれているのはSausage Lock傷だらけの腕にまかれているのはSausage Lock


その逆にセキュリティー性を追求したのが「U-LOCK」シリーズ。クルマを吊り下げても問題ないほどの高い強度を誇り、イギリスやオランダの厳格な検査機関においても最高評価を得ている。ボディ全体にはノグの代名詞であるシリコンのコーティングが施されているため、バイクを傷つけにくい。



2016ラインアップでもポップながらも実用性溢れるプロダクトの数々を展開するノグ。店頭で見かけた際には是非とも1度手にとってみて欲しい。そのユニークさには思わず購買意欲を刺激されるはずだ。

text:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.AYANO, Yuya.Yamamoto
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