北は日本海、南を立山連峰に挟まれた富山県を舞台に、4月19日(日)に初開催された「富山湾岸サイクリング」。県内外から572人が集まり、石井県知事らと共に富山湾の景色とグルメを楽しんだ1日の様子をレポート。



「海の貴婦人」こと海王丸の前を出発していく「富山湾岸サイクリング」「海の貴婦人」こと海王丸の前を出発していく「富山湾岸サイクリング」
北陸新幹線の開通もあり、首都圏からもグッと身近になった北陸地方。高さ20mにも迫る「雪の大谷」で世界的にも有名な立山・黒部アルペンルートをはじめとした多くの魅力あるスポットをもつ富山県も、新幹線の開通でかなりアクセスしやすくなったエリアだ。なにせ、東京駅から2時間強で富山駅に着いてしまうというのだから驚きだ。

そして、昨年の10月19日に「世界で最も美しい湾クラブ」に富山湾が加盟。フランスのモン・サン・ミシェル湾やベトナムのハロン湾などが名を連ねる「最も美しい湾」の仲間へ37番目に加わった。そして、その加盟記念大会として先日初開催されたロングライドイベントが「富山湾岸サイクリング」だ。

3月に開業したばかりの北陸新幹線。凄く静かで発車に気付かないほど。3月に開業したばかりの北陸新幹線。凄く静かで発車に気付かないほど。 「世界で最も美しい湾クラブ」加入を示すモニュメント「世界で最も美しい湾クラブ」加入を示すモニュメント

開会式を盛り上げてくれた可愛いチアリーダーたち開会式を盛り上げてくれた可愛いチアリーダーたち Livイメージモデル堀川優さんとLivアパレルに身を包んだ台湾からの女性参加者たちLivイメージモデル堀川優さんとLivアパレルに身を包んだ台湾からの女性参加者たち


コースとなったのは、富山湾のど真ん中にある海王丸記念パークをスタート/ゴールとして、新潟との県境である越中宮崎まで向かう150.8Kmのロングライドコースと、逆に西側の氷見市を目指す42.5Kmのグルメライドの二つ。この大会に合わせて富山県では、氷見市から越中宮崎駅までを「富山湾岸サイクリングコース」として、延長約88kmに及ぶ区間にナビゲーターラインや誘導看板を整備。道に迷う心配もなくサイクリングを楽しめるのだ。

朝、7時を過ぎるころには続々とサイクリストたちが大会会場に集まってくる。多くの海の男を育て上げた航海練習船の「海王丸」が目の前に係留される広場で出発までの時間を過ごす。地元の小学生チアリーディングによる応援や、石井知事によるあいさつといった開会式を終え、「海の貴婦人」が見守る中、8時にグルメライドはスタート。今回はこちらに帯同して取材した。

「この日のために練習してきた」という石井富山県知事を先頭に、富山に拠点を置く女優の内田もも香さんや、ジャイアント創業者、キング・リュウ氏の娘さんである劉麗珠(リュウ・リージュ)さん、プロMTB選手の門田基志さんらゲストライダーや台湾からのツアー参加者らがドンドンとスタートしていく。

知事を先頭に出発していく知事を先頭に出発していく
チアリーダーたちに応援されながら走りだすチアリーダーたちに応援されながら走りだす 庄川にかかる橋を渡っていく庄川にかかる橋を渡っていく


そう、日台交流として台湾からジャイアントトラベルが催行した富山サイクリングツアーがこの週末に来日しており、そのツアープログラムの一環として、台湾のNPO団体「自行車新文化基金會」のCEOを務める劉麗珠(リュウ・リージュ)さんら30名ほどの台湾からの参加者がこの大会にも参加しているのだ。ちなみに富山空港は台北便が直通で出ているほど、富山と台湾は非常に近い関係を持っている。

一路西へと針路をとり、富山港を右手に眺めながら走っていく。富山湾に注ぐ庄川と小矢部川を越えると、第一エイドとなる伏木エイドへと到着。「かっちゃ」と呼ばれる山車をぶつけ合う余興で有名な「伏木けんかやままつり」の行われる通りに設置されたエイドでは、越中銘菓「万葉の梅園」が振る舞われた。苺大福の苺の代わりに甘く煮られた梅が入っているもので、甘さと酸味が調和した和菓子に皆が舌鼓を打った。

その後も、ブルーラインが示すように富山湾岸サイクリングコースを走っていく。途中、眺望に優れる岩崎鼻ノ灯台を通り、雨晴エイドで薬膳サブレをいただいた後、砂浜沿いのサイクリングロードに入っていく。生憎の曇天ではあるものの、波音すら聞こえてくるほど、海を近くに感じながら走ることができるロケーションはかなり珍しい。本当なら晴れていれば残雪の立山連峰の眺望が楽しめるのだが、今回は残念ながら神々しい山の姿は拝めず。

越中銘菓「万葉の梅園」を味わう皆さん越中銘菓「万葉の梅園」を味わう皆さん 快走する石井県知事。最近自転車に乗りだしたとのこと。快走する石井県知事。最近自転車に乗りだしたとのこと。

島尾海岸のサイクリングロードは海が近くて爽快島尾海岸のサイクリングロードは海が近くて爽快 眺望の良い岩崎鼻ノ灯台へと登る眺望の良い岩崎鼻ノ灯台へと登る


途中、島尾海岸のキャンプ場に設けられたエイドでは、氷見牛のメンチカツが用意されていた。小腹が空き始めていた私たちにとって、なんともいいタイミング、いいボリュームの補給。ジューシーな肉汁が溢れるのをこぼさないように食べながら、海産物以外にもこんなおいしいものがあるのかと、富山の魅力の奥深さに気づかされる。

その後は県道302号線に入り、一路北西へ。サイクリングコースの西端が折り返し地点となっており、今度は富山湾を左手に見ながら走ることに。往路よりも、より近く潮の香りを感じながら走っていくと、氷見漁港の場外市場である「ひみ番屋街」エイドに到着。

ここではバイ貝を炊き込んだ「ばい飯」と魚のすり身をその場で揚げた「すりみあげ」が振る舞われる。グルメライドの名に恥じないお昼ご飯は満足度高し。地元出身の女優でゲストライダーを務める内田もも香さんいわく「富山といえばこのすりみあげです。居酒屋なんかでも絶対メニューにあるくらい人気で、私も小さい時から食べてました!」とのことで、かなりツボをついたチョイスのよう。

ばい飯を食べる内田もも香さんばい飯を食べる内田もも香さん 揚げたての「すりみあげ」揚げたての「すりみあげ」


この橋を渡れば氷見の折り返しはもうすぐこの橋を渡れば氷見の折り返しはもうすぐ
富山名物の細工かまぼこ。鯛の形になっている富山名物の細工かまぼこ。鯛の形になっている 新鮮な魚介類が並ぶひみ番屋街の鮮魚店。見てるだけで楽しい。新鮮な魚介類が並ぶひみ番屋街の鮮魚店。見てるだけで楽しい。


時間が許せばエイドの向かい側にあるひみ番屋街を訪れてみてもいいだろう。お土産屋さんや鮮魚店が入っており、その場で買った新鮮な刺身などをフードコートでいただくことも出来る。富山名物のホタルイカやシロエビ、ブリをはじめとした地魚が並んでいる様子は、見ているだけでも楽しいもの。足湯も併設されているので、少しあったまっても良いだろう。

その後は、おおむね往路と同じルートを走り、ゴール地点の海王丸パークへと帰着。途中、昆布スイーツやところてんなどをエイドで堪能しながら、160名弱のライダーが次々とゴールに飛び込んでくる。途中から降ってきた雨で、みなさんびしょびしょになりながらも、満足気な表情が印象的だった。

雨の中ゴールしたチーム「特走」のみなさん雨の中ゴールしたチーム「特走」のみなさん
さくらのエンブレムがかわいいですねさくらのエンブレムがかわいいですね 疲れちゃって、ハイタッチできないみたい疲れちゃって、ハイタッチできないみたい


富山県内から参加された女性チーム”もも”のみなさんは「後半は雨が辛かったですけど、エイドステーションのグルメもおいしかったし、コースも走りやすくて楽しめました。」と、このイベントが初の大会参加という人が多いながらもエンジョイされていた様子。

氷見エイドまで走られた石井知事も、「このコースを実際に自転車で走ったのは初めてでしたが、非常に素晴らしいコースだったと思います。特に島尾の海岸線沿いの道は多くの人に楽しんでもらえたのではないでしょうか」と胸を張る。「サイクリングルートも整備し、富山湾の魅力を気軽に楽しめるようになりました。海沿いだけでなく、山側にもルートは整備していますので、本格派からビギナーの方まで満足できると思います。ぜひ、全国のサイクリストに走ってもらいたい」と、積極的にサイクリストを迎え入れてくれるとのこと。



それでは、ここで大会ゲストライダーとして参加した女優の内田もも香さんと、ジャイアントの女性専用ブランド”Liv”のイメージモデル堀川優さんのバイク&アパレルを紹介しよう。

内田もも香さんとLiv AVAIL ADVANCED1
愛車のAVAIL ADVANCED1を駆った内田もも香さん愛車のAVAIL ADVANCED1を駆った内田もも香さん
爽やかなカラーリングが魅力的なLivシリーズ爽やかなカラーリングが魅力的なLivシリーズ 油圧ディスクブレーキ仕様と本格派油圧ディスクブレーキ仕様と本格派


元宝塚女優で、今は富山を中心に活動している内田もも香さんの愛車はLivのAVAIL ADVANCED1。男性向けモデルならDEFYに相当するエンデュランスカテゴリーのカーボンバイクだ。しかも、コンポーネントをアルテグラDi2に換装し、ブレーキにも油圧ディスクを採用するというこだわりっぷりで「非力な女性にこそ電動&油圧が向いていると思います!」とのこと。

「色々なグルメをはじめ、富山の魅力がギュッと詰め込まれたサイクリングだったと思います。このイベントは海側だけですけれど、海も山も魅力的なのが富山県。黒部や立山方面では物凄い絶景が待っています。私も黒部のヒルクライムに参加したら、海がそこまで迫ってくるような景色に心奪われました。絶対サイクリストが満足出来ること間違いなし!です(笑)」と富山の魅力を伝えていただきました。

堀川優さんとLiv AVAIL3
Livイメージモデルの堀川優さんと一緒に走ったAVAIL3Livイメージモデルの堀川優さんと一緒に走ったAVAIL3 LivはヘルメットまでラインアップするLivはヘルメットまでラインアップする フラットペダルに最適化されたラバーソールサイクリングシューズ Liv FAMAフラットペダルに最適化されたラバーソールサイクリングシューズ Liv FAMA


”Liv”イメージモデルを務める堀川優さんは、バイクはもちろんアパレル類もLivでコーディネート。実はロードレーサーに乗るのはほぼ初めてとのことでしたが、無事にグルメライドを完走。「最初は緊張していましたけど、AVAILは凄く走りやすくて、サイクリングを楽しめました」とのこと。Livのサイクリングシューズはフラットペダルに食いつきが良い特殊なラバーソールで漕ぎやすく、歩きやすいためこういったサイクリングにはぴったり。ルックスもビンディングシューズの様なスマートさでサイクリストらしさを損なわない。

女性用ラインアップというと、とかく可愛くファンシーなデザインになってしまいがちなもの。だけど、シンプルで品よくまとまっているLivのアパレルは、男性目線で見ていても羨ましくなってしまうほどのカッコよさ。しかも、天下のジャイアント製とあって、性能面は折り紙つき。これまでの女性用バイクやアパレルに気に入ったデザインのものが無い、という方は要チェックだ。



初開催で、しかも雨というなんとも厳しい状況ながらも、走り終わってみれば非常に満足感が高かった「富山湾岸サイクリング」。富山の自然と山海の幸がいかに魅力的だったか、推し量れるだろう。またサインリングルートやサイクルステーションを整備するなど、自転車への取り組みも積極的で、これからどんどん走りやすくなっていくハズだ。GWの予定が決まっていない人は、北陸新幹線に乗って富山サイクリングツアーというプランはいかが?

text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO,Naoki.YASUOKA


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