11月16日(土)、三浦半島の中央部に位置する湘南国際村にて「ビギナーから上級者までだれでも楽しめる」がコンセプトのMTBクロスカントリーレース”メリダ・ミヤタカップ”が開催された。雲ひとつない絶好の晴天のもとに約960名の参加者が集まった。

キッズレースの先導役を務めたホセ・ヘルミダ選手キッズレースの先導役を務めたホセ・ヘルミダ選手
MTB黎明期より開催され、今年で27回目を数えるメリダ・ミヤタカップの舞台となったのは三浦半島の中央部に位置し、神奈川県横須賀市と葉山町にまたがる湘南国際村。「より都心に近い場所で開催することで気軽にMTBを楽しんで欲しい」という主催者であるミヤタサイクルの意向と、自転車での町興しを図りたいとする地元行政の意向が一致しため、昨年までの会場であった東伊豆から場所を移しての開催となった。

実際に東京からのアクセスは車で1時間弱と非常に良好で、都心から直通電車が乗り入れるJR逗子駅も近いため輪行で会場に向かう参加者もいた。そしてレースのスタートは午前9時前と比較的遅く、試走も8時半までと当日入りする人にとっても余裕のあるスケジューリングも参加しやすいポイントだ。

シングルトラックへの入り口となる激坂はコース最大の難所シングルトラックへの入り口となる激坂はコース最大の難所 木々が生い茂るシングルトラックもコースに含まれた木々が生い茂るシングルトラックもコースに含まれた

ススキがゆれるダートロードを走るススキがゆれるダートロードを走る 緩やかな下りと登りを繰り返す緩やかな下りと登りを繰り返す


大会ゲストライダーにはメリダのワールドチームにあたるMULTIVAN MERIDA BIKING TEAMから、オリンピックに過去4回出場し、2013シーズンはスペイン王者を獲得したXC界の”皇帝”ことホセ・ヘルミダ選手と、Jシリーズを完全制覇した斎藤亮選手、チームメイトの井本京吾選手らが参加した。

今大会で使用したコースはスラローム区間やシングルトラック、数カ所の短い激坂、緩やかで長い下りで構成され、「ビギナーでもMTBの楽しさを味わえるように」と比較的容易なコースプロファイルが設定された。XCレースやエンデューロでは1周4kmのフルコースを、プロが参戦するエキシビジョンレースやキッズレースはスラローム区間がメインの2kmコースを使用する。

男子XCエリートクラスにはJシリーズを転戦するライダーも参戦した男子XCエリートクラスにはJシリーズを転戦するライダーも参戦した 接戦となった女子XCエリートの最後はスプリント勝負接戦となった女子XCエリートの最後はスプリント勝負

キッズレースの最後はヘルミダ選手とゴール前勝負キッズレースの最後はヘルミダ選手とゴール前勝負 親御さんとキッズが一緒に親子チーム・スプリント親御さんとキッズが一緒に親子チーム・スプリント


大人のレースに続いて行なわれた小学生と未就学児によるキッズレースと、親子2人で走る「親子チーム・スプリント」ではゲストライダーがサポートを努め、将来有望な小学生ライダーとバトルしたり、泣き出してしまった補助輪ありクラスのキッズを押したりと大活躍。レース後は大勢のキッズライダーたちがヘルミダ選手を囲み”即席サイン会”が開催され、サインを貰ったキッズたちはみな満面の笑みを見せてくれた。

早朝こそ寒さが寒かったもののイベントが始まるころには日射しの暖かさを感じられる程度に。そして開会式の後にはXCレースがスタート。男女共に経験者による「スポーツ」とビギナー2カテゴリーが開催され、スポーツクラスにはJシリーズを転戦するエリートライダーの参戦もあり、ハイスピードなバトルに。

エキシビジョンレースはヘルミダ選手と小野寺健選手(スペシャライズド)が接戦を展開したエキシビジョンレースはヘルミダ選手と小野寺健選手(スペシャライズド)が接戦を展開した
ロード界からは愛三工業の盛選手(左)と綾部選手(中)、そして元愛三工業の品川選手(右、バイクに注目!)が参戦ロード界からは愛三工業の盛選手(左)と綾部選手(中)、そして元愛三工業の品川選手(右、バイクに注目!)が参戦 華麗なジャンプを魅せた斎藤亮選手華麗なジャンプを魅せた斎藤亮選手


そしてお昼前にはメインイベントのエキシビジョンレースが開催。ゲストライダーに加え、スペシャライズドの小野寺健選手やロード界からは愛三工業レーシングの盛一大選手と綾部勇成選手、そしてDH界からは下り系バイクに乗った永田隼人選手が参戦し、優勝賞金5万円を目指して”マジ”の走りを披露した。

序盤は斎藤亮選手が先頭に出て上げると1周目の終わりには一列棒状になった先頭グループからは早くもヘルミダ選手がアタックする。この動きに反応出来たのは2年連続で2位に入っている小野寺選手のみで、最終周まで2人の暑いが攻防が続くも最後はわずかに及ばず。ヘルミダ選手がゴール前で小野寺選手を振り切り接戦を制した。因みにヘルミダは普段29インチと27.5インチを使い分けているそうだが、今回は29インチを使用した。

ファットバイクで激坂をこなすのはシングルスピードMTB日本選手権の実行委員会の方ファットバイクで激坂をこなすのはシングルスピードMTB日本選手権の実行委員会の方 シクロクロスバイクで参戦したライダーもいたシクロクロスバイクで参戦したライダーもいた

セーラー服のコスプレで決めたライダーは意外と速かったセーラー服のコスプレで決めたライダーは意外と速かった おもしろジャージで参戦したライダーもちらほらおもしろジャージで参戦したライダーもちらほら


今大会の参加者のバイクを見てみると26インチと29インチが半分ずつ、現在急速な広まり27.5インチはまだまだ少数であった。また、XC系イベントとあり、多くの参加者がリアリジットのマシンを用意したが、中にはダートジャンプ用バイクやオールマウンテン、さらにはファットバイク、シクロクロスバイクの姿も見られた。

世界レベルの走りに会場全体が熱狂した後はエンデューロ種目がスタート。1チーム当たりの人数は1時間が最大2名、3時間が最大4名でそれぞれ男子と女子、男女混合、ファミリーの4カテゴリーが設定され、午前のXCレースから連戦のライダーも多く参加した。好成績を狙うチームや、同じクラブのチーム同士で競いあったり、コスプレして走ってみたりとその楽しみ方は様々。

ライダー同士が交差するシーンもあったがトラブルはほとんど起こらなかったライダー同士が交差するシーンもあったがトラブルはほとんど起こらなかった エンデューロのスタート直後に発生した大渋滞エンデューロのスタート直後に発生した大渋滞

チームで盛り上がれるのがエンデューロの醍醐味チームで盛り上がれるのがエンデューロの醍醐味 チームメイトの応援が嬉しいところチームメイトの応援が嬉しいところ


200チーム以上が一斉にスタートしたため、序盤は大渋滞が発生し、1周目はシングルトラックへの入り口となる激坂では多くのライダーが1度降車するも、それ以降は目立ったトラブルは発生せずにレースは進む。そして、少し狭めのピットの雰囲気は和やかな雰囲気に包まれ、ロードのエンデューロイベントとは大きく異るアットホームさが印象的だった。

少し日が傾いてきた1時過ぎには1時間の部が、夕日が眩しい3時過ぎには3時間の部がフィニッシュ。レースは終了後にはゲストライダーによるサイン会や表彰式、豪華景品が当たる大抽選会が行われた。そして大会当日に誕生日を迎えた参加者にゲストライダーのサイン入りTシャツが贈られるサプライズも。

手つかずの大自然の中に作られたコース、奥には東京湾を望む手つかずの大自然の中に作られたコース、奥には東京湾を望む
最後にヘルミダ選手がメリダ・ミヤタカップについて「今日はマウンテンバイクを通じて参加者やファンの皆さんと1日を楽しく過ごすことが出来て良かったです。エキシビジョンレースで戦ったライダーの中に速いライダーが多く、今回は次世代を担うキッズレーサーも多く参加していましたね。日本のMTBシーンは今後さらに盛り上がっていくと感じました。

(コースについては)走り甲斐がありながら、比較的平坦であるためにとてもエキサイティングな展開になりやすい良いコースだと思います。とても楽しい大会なので、皆さんにはMTBを知らない友達や家族と一緒に参加してもらって、楽しさを広めてもらえればと思っています。また来年もこの大会で皆さんとお会いしましょう!」と語り、大会は幕を閉じた。

最後はヘルミダ選手とじゃんけん大会最後はヘルミダ選手とじゃんけん大会 大会当日に8歳の誕生日を迎えた江越柾也くんにはヘルミダ選手サイン入りのTシャツがプレゼントされた大会当日に8歳の誕生日を迎えた江越柾也くんにはヘルミダ選手サイン入りのTシャツがプレゼントされた


昨年に引き続き、今年も好天の中で開催されたメリダ・ミヤタカップ。笑顔や笑い声が絶えないオフロード系イベント特有のアットホームな雰囲気が物語る様に参加者それぞれが思い思いに楽しめたことだろう。今回、CW編集部は取材のみだったが来年は是非とも参加したいと思わせてくれる大会であった。MTBを持て余している方や気軽に参加できるMTBイベントを探している方は是非とも来年の大会に参加してみてはいかがだろうか。

text & photo:Yuya.Yamamoto