BMCのブライスが勝利　復帰戦を迎えたAシュレクは途中リタイア

2012年10月2日、ベルギーにて第25回バンシュ〜トゥルネー〜バンシュ（UCI1.1）が開催。ゴール前でロングスプリントに持ち込んだ23歳になったばかりのアダム・ブライス（イギリス、BMCレーシングチーム）が勝利した。

ファンのサインに応じるアンディ・シュレク（ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン） photo:Cor Vosベルギー西部を舞台に行なわれるバンシュ〜トゥルネー〜バンシュは、1911年に初開催された歴史ある大会。

1996年を最後に休止したが、1996年大会の覇者であるVDBことフランクヴァンデンブルック（2009年逝去）をしのび、2010年に「メモリアル・フランクヴァンデンブルック」として復活した。

4ヶ月ぶりにレースに出場するアンディ・シュレク（ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン） photo:Cor Vos9つのUCIプロチームが出場する大きなワンデークラシックは、今年、アンディ・シュレク（ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン）の出場で大きな関心を集めた。Aシュレクは6月のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネのタイムトライアルで落車し、仙骨（骨盤の一部）を骨折。シーズン最大の目標であったツール・ド・フランスを欠場するとともに、約4ヶ月にわたってレースから遠ざかった。

後続を振り切ってゴールするアダム・ブライス（イギリス、BMCレーシングチーム） photo:Cor Vos久々のレースの結果はDNF。しかし本人は前向きに復帰戦を振り返る。「平坦で高速、雨と風を伴うフランドルらしいクラシックレースは、決して僕向きじゃない。でも出場してよかったと思っている。レースの朝に、ゼッケンをジャージに付けるのは良い気分。プロトンの中で再び走ることが出来て本当にハッピーだった。実際はプロトンとは呼べないほどの一列棒状の集団で、最後の周回を前に『もう充分だ』と判断してバイクを降りた。骨盤が痛んだからリタイアしたわけじゃない。中国のレースに向けて感触を掴んだよ」。

表彰台、2位アドリアン・プティ（フランス、コフィディス）、優勝アダム・ブライス（イギリス、BMCレーシングチーム）、3位ジョン・デゲンコルブ（ドイツ、アルゴス・シマノ） photo:Cor Vos中国で行なわれるツアー・オブ・北京（10月9日〜13日）に出場する予定のAシュレクは、最後にこう付け加えている。「今日のレースを“カムバック”と呼ばないで欲しい。来年、最高のコンディションで挑む『僕のレース』こそ本当の“カムバック”だ。モチベーションは高いよ」。

Aシュレクが去ったレースは、周回コースでの攻防に持ち込まれ、石畳セクションを前にしたラスト700mで早めに仕掛けたブライスが勝利。前日に23歳になったばかりのイギリス人がシーズン2勝目を飾った。

「シーズン終盤にこうして勝つことが出来て嬉しい。クインツィ（クインツィアート）とミキ（シェアー）の力を借りてポジションをキープして、ラスト700mで仕掛けた。リスキーではあったけど、そこから全開で踏んで、フィニッシュラインまで先行することが出来たんだ」とブライス。BMCレーシングチームとしては今シーズン20勝目。なお、週末のパリ〜トゥールで連覇を狙うチームメイトのフレフ・ヴァンアフェルマート（ベルギー）は、雨に見舞われた先週末のジロ・ディ・ロンバルディアで体調を崩したため欠場している。

選手コメントはレディオシャック・ニッサンならびにBMCレーシングチーム公式サイトより。


バンシュ〜トゥルネー〜バンシュ2012
1位　アダム・ブライス（イギリス、BMCレーシングチーム）　　　　　　　4h16'50"
2位　アドリアン・プティ（フランス、コフィディス）
3位　ジョン・デゲンコルブ（ドイツ、アルゴス・シマノ）
4位　セバスティアン・スタメーニャ（イタリア、ファルネーゼヴィーニ）
5位　デニス・ファンヴィンデン（オランダ、ラボバンク）
6位　ティモシー・デュポン（ベルギー、ボフロスト・ステリア）
7位　マールテン・ワイナンツ（ベルギー、ラボバンク）
8位　ジョニー・フーガーランド（オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM）
9位　ガエタン・ビール（ベルギー、ロット・ベリソル）
10位　イェンス・ケウケレール（ベルギー、オリカ・グリーンエッジ）

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos