2日間の休息日を経て、新しく始まったツアー・オブ・チャイナ2。ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)がタイムトライアルを制したが、日中関係の悪化から、主催者は愛三工業レーシングの退去を決めた。
トップタイムを出したステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ) photo : Sonoko Tanaka
ポイント賞ジャージのキャメロン・ワーフ(オーストラリア、チャンピオンシステム)とリーダージャージのステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ) photo : Sonoko Tanaka初日のタイムトライアルをシューマッハーが圧勝
ツアー・オブ・チャイナ1開幕前日の監督会議で初めて発表されたプロローグステージ。当初、予定されていなかったものだが、ツアー・オブ・チャイナ2に公式レースとして組み込まれ、前日になって距離が1.9kmから6.2kmと変更されながらも無事に開催された。
レースの関係者一行が滞在している武漢の街は、2日間の休息日に引き続いて、爽やかな秋空が広がっている。レースの会場となるのは、武漢の郊外、湖畔沿いのストレートな道。急遽に決まったステージのため、詳細なコースプロフィールなどはなく、まっすぐな道を3.1km
日本人トップタイムでフィニッシュした盛一大(愛三工業レーシング) photo : Sonoko Tanakaほど走り、Uターンしてスタート地点に戻るという情報がチームには伝えられた。
30秒おきに淡々と選手がスタートして行くなかで、トップタイムを叩き出したのは、最終走者のステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)。レース前は「調子はいいけど、ステージ優勝はどうかな? レースが終わってみればわかることだよ」と笑いながら話していたが、元トップレーサーの格の違いを見せつけ、イエロージャージに袖を通した。愛三工業レーシングの最高位は盛一大の27位。
行き場のない悔しさに言葉を失う愛三工業レーシング
ステージ終了後、オーガナイザーは、緊迫する日中関係、また中国全土で起こっている反日デモを受けて、愛三工業レーシングに、これ以上レースに参加させられないことを伝えた。警察すらコントロールできない暴徒から、彼らの安全を守ること、また日本人選手が参加しているという理由から、レースが攻撃の対象をなることを避けることが狙いだ。
もちろん、オーガナイザーとしては、愛三工業レーシングに残ってほしいという気持ちが強い。ステージ優勝を挙げ、レースで存在感を示しているチームへの評価は非常に高いが、この先のエリアはとくに反日感情が強く、何が起こるかわからない、何かあったときに安全を保障できないからという、やむを得ない事情がある。
誰も責めることはできないが、西谷泰治があと1勝でUCIアジアツアー個人ランキング首位に立てるであろうという状況で、レースから去らなければならない愛三工業レーシングはこの決定に言葉を失った。
別府匠監督のコメント
「残念です。この先、中国のツアー・オブ・ハイナン、ツアー・オブ・タイフーレイクと2つのレースを予定していますが、おそらくそれらスケジュールも白紙になるでしょう。できるだけ早い解決を願います。
政治の問題がスポーツに及ぶというのはあってはならないことですが、主催者が自分たちの安全を守ってくれた結果なので、お互いに納得するしかありません。区間1勝し、いいレースができたと思います。オーガナイザーから高い評価を得ていますので、もしまた呼んでもらうことがあるなら、そのときはしっかりと走りたいと思います。」
チームは移動日である明日、レースの一行とは別れ、日本に向けて空路で移動するが、急な決定だったため、いつ帰国できるかは、まだわからない状況。またレースに帯同しているドーピング検査官の坂本氏、また私も今日のステージをもって帰国する。
レース終了後にオーガナイザーが別府匠監督のもとに決定事項を伝える photo : Sonoko Tanaka
レース会場からホテルに戻る愛三工業レーシング photo : Sonoko Tanaka
2012ツアー・オブ・チャイナ2 プロローグ結果
1位 ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)7'36"696
2位 キャメロン・ワーフ(オーストラリア、チャンピオンシステム)+3"
3位 ヴィタリー・ポプノフ(ウクライナ、ISD・ランプレコンチネンタル)+5"
4位 ジェーニング・ハイゼンガ(オランダ、ラボバンクコンチネンタル)
5位 ジョーダン・ケルビー(オーストラリア、オーストラリアナショナル) +8"
6位 ディック・ミューラー(ドイツ、ニュートリクション) +12"
27位 盛一大(愛三工業レーシング)+28"
37位 西谷泰治(愛三工業レーシング)+30"
87位 中島康晴(愛三工業レーシング)+48"
95位 綾部勇成(愛三工業レーシング)+50"
98位 伊藤雅一(愛三工業レーシング)+51"
100位 福田真平(愛三工業レーシング)+53"
個人総合成績
1位 ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)7'36"696
2位 キャメロン・ワーフ(オーストラリア、チャンピオンシステム)+4"
3位 ヴィタリー・ポプノフ(ウクライナ、ISD・ランプレコンチネンタル)+5"
4位 ジェーニング・ハイゼンガ(オランダ、ラボバンクコンチネンタル) +6"
5位 ジョーダン・ケルビー(オーストラリア、オーストラリアナショナル) +9"
6位 ディック・ミューラー(ドイツ、ニュートリクション) +13"
27位 盛一大(愛三工業レーシング)+29"
37位 西谷泰治(愛三工業レーシング)+31"
87位 中島康晴(愛三工業レーシング)+49"
95位 綾部勇成(愛三工業レーシング)+51"
98位 伊藤雅一(愛三工業レーシング)+51"
100位 福田真平(愛三工業レーシング)+54"
ポイント賞
ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)
チーム総合成績
オーストラリアナショナル
photo & text : Sonoko Tanaka


ツアー・オブ・チャイナ1開幕前日の監督会議で初めて発表されたプロローグステージ。当初、予定されていなかったものだが、ツアー・オブ・チャイナ2に公式レースとして組み込まれ、前日になって距離が1.9kmから6.2kmと変更されながらも無事に開催された。
レースの関係者一行が滞在している武漢の街は、2日間の休息日に引き続いて、爽やかな秋空が広がっている。レースの会場となるのは、武漢の郊外、湖畔沿いのストレートな道。急遽に決まったステージのため、詳細なコースプロフィールなどはなく、まっすぐな道を3.1km

30秒おきに淡々と選手がスタートして行くなかで、トップタイムを叩き出したのは、最終走者のステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)。レース前は「調子はいいけど、ステージ優勝はどうかな? レースが終わってみればわかることだよ」と笑いながら話していたが、元トップレーサーの格の違いを見せつけ、イエロージャージに袖を通した。愛三工業レーシングの最高位は盛一大の27位。
行き場のない悔しさに言葉を失う愛三工業レーシング
ステージ終了後、オーガナイザーは、緊迫する日中関係、また中国全土で起こっている反日デモを受けて、愛三工業レーシングに、これ以上レースに参加させられないことを伝えた。警察すらコントロールできない暴徒から、彼らの安全を守ること、また日本人選手が参加しているという理由から、レースが攻撃の対象をなることを避けることが狙いだ。
もちろん、オーガナイザーとしては、愛三工業レーシングに残ってほしいという気持ちが強い。ステージ優勝を挙げ、レースで存在感を示しているチームへの評価は非常に高いが、この先のエリアはとくに反日感情が強く、何が起こるかわからない、何かあったときに安全を保障できないからという、やむを得ない事情がある。
誰も責めることはできないが、西谷泰治があと1勝でUCIアジアツアー個人ランキング首位に立てるであろうという状況で、レースから去らなければならない愛三工業レーシングはこの決定に言葉を失った。
別府匠監督のコメント
「残念です。この先、中国のツアー・オブ・ハイナン、ツアー・オブ・タイフーレイクと2つのレースを予定していますが、おそらくそれらスケジュールも白紙になるでしょう。できるだけ早い解決を願います。
政治の問題がスポーツに及ぶというのはあってはならないことですが、主催者が自分たちの安全を守ってくれた結果なので、お互いに納得するしかありません。区間1勝し、いいレースができたと思います。オーガナイザーから高い評価を得ていますので、もしまた呼んでもらうことがあるなら、そのときはしっかりと走りたいと思います。」
チームは移動日である明日、レースの一行とは別れ、日本に向けて空路で移動するが、急な決定だったため、いつ帰国できるかは、まだわからない状況。またレースに帯同しているドーピング検査官の坂本氏、また私も今日のステージをもって帰国する。


2012ツアー・オブ・チャイナ2 プロローグ結果
1位 ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)7'36"696
2位 キャメロン・ワーフ(オーストラリア、チャンピオンシステム)+3"
3位 ヴィタリー・ポプノフ(ウクライナ、ISD・ランプレコンチネンタル)+5"
4位 ジェーニング・ハイゼンガ(オランダ、ラボバンクコンチネンタル)
5位 ジョーダン・ケルビー(オーストラリア、オーストラリアナショナル) +8"
6位 ディック・ミューラー(ドイツ、ニュートリクション) +12"
27位 盛一大(愛三工業レーシング)+28"
37位 西谷泰治(愛三工業レーシング)+30"
87位 中島康晴(愛三工業レーシング)+48"
95位 綾部勇成(愛三工業レーシング)+50"
98位 伊藤雅一(愛三工業レーシング)+51"
100位 福田真平(愛三工業レーシング)+53"
個人総合成績
1位 ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)7'36"696
2位 キャメロン・ワーフ(オーストラリア、チャンピオンシステム)+4"
3位 ヴィタリー・ポプノフ(ウクライナ、ISD・ランプレコンチネンタル)+5"
4位 ジェーニング・ハイゼンガ(オランダ、ラボバンクコンチネンタル) +6"
5位 ジョーダン・ケルビー(オーストラリア、オーストラリアナショナル) +9"
6位 ディック・ミューラー(ドイツ、ニュートリクション) +13"
27位 盛一大(愛三工業レーシング)+29"
37位 西谷泰治(愛三工業レーシング)+31"
87位 中島康晴(愛三工業レーシング)+49"
95位 綾部勇成(愛三工業レーシング)+51"
98位 伊藤雅一(愛三工業レーシング)+51"
100位 福田真平(愛三工業レーシング)+54"
ポイント賞
ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)
チーム総合成績
オーストラリアナショナル
photo & text : Sonoko Tanaka
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