最終コーナーでラインが大きく二手に分かれ、集団中盤からイン側に入った選手たちが先行、タイラー・マグナー(アメリカ、BMC・ヒンカピー)が幸運を味方にして嬉しいスプリント勝利を飾った。総合優勝はマーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)が獲得した。

長江が流れ、1000の湖をもつ武漢で開催された最終ステージ長江が流れ、1000の湖をもつ武漢で開催された最終ステージ (c)Sonoko Tanaka

長江が流れ、1000の湖をもつ武漢で開催された最終日

最終ステージに向けてスタートしていく選手たち最終ステージに向けてスタートしていく選手たち (c)Sonoko Tanaka長い長いツアー・オブ・チャイナ。前半戦の最終日となる第6ステージが武漢で開催された。コースレイアウトは、長江に対して南側からスタートし、郊外を回って長江を横切り、川の北側にゴールする90.4km。比較的アップダウンに富むコースで、レースの序盤に6選手の逃げが決まった。

最終コーナーで有力選手が取り残されるトラブルが発生

逃げは人数を4人に減らしながらも、集団から2分のアドバンテージを得る。しかし、有力チームがコントロールする集団に吸収され、この日も集団ゴールスプリントの展開になる。

Tレースの序盤に決まった6選手の逃げTレースの序盤に決まった6選手の逃げ (c)Sonoko Tanakaチームタイプ1や愛三工業レーシングが前方でラインを組み加速。しかし、ゴール手前1kmを切ってから現れる幅の広い鋭角のカーブでトラブルが発生した。

先導車両やスプリンターチームが走行車線である右車線のアウト側、大きく鋭角のコースを取ったのに対して、集団中盤の選手が、中央分離帯の隙間から左車線に入り、コーナーのイン側を使って、100メートルほどショートカットし、スプリンターチームを置き去りにしてゴールスプリントが始まってしまう。

福島晋一(トレンガヌ) もアタックを試みる福島晋一(トレンガヌ) もアタックを試みる 物議を醸すスプリントを制したのはタイラー・マグナー(アメリカ、BMC・ヒンカピー)。21歳、U23アメリカ・クリテリウムチャンピオンがキャリア最大の勝利を手にした。愛三工業レーシングの最高位は盛一大の31位。西谷泰治は「チームがうまく連携して、カーブの前までは勝てる、と思っていた。でも、どうもすることができなかった」と振り返る。当然、アウト側のラインに入った選手からは煮え切らない表情が伺える。

問題のカーブには、何もサインが出ていなかった。コミッセールは「コースがオープンになっていたので、どちらの道もコースであり、結果は変わらない」と判断したが、ライン取りによって、走行距離が100メートルも変わってしまうカーブがゴール手前1kmを切って設置されたこと、もしくは、コースを示すサインがなかったことについて、オーガナイザーへの不満が漏れた。

コースをショートカットしてそのままゴールスプリントも制したタイラー・マグナー(アメリカ、BMC・ヒンカピー) コースをショートカットしてそのままゴールスプリントも制したタイラー・マグナー(アメリカ、BMC・ヒンカピー) (c)Sonoko Tanaka

とにもかくにも、総合順位に変動はなし。マーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)が総合優勝に輝き、初日のチームタイムトライアルの結果から、クリスティーナ・ウォッチズの選手が4位までを独占する形となった。

さらなる活躍を目指す愛三工業レーシング

「どうしようもできなかった」と話す西谷泰治(愛三工業レーシング) もはや苦笑するしかない「どうしようもできなかった」と話す西谷泰治(愛三工業レーシング) もはや苦笑するしかない 愛三工業レーシングは目標であった区間優勝を第4ステージで達成。コンディションを高めながら、後半戦のツアー・オブ・チャイナ2に備える。

別府匠監督のコメント
「実戦を走る機会が少なく、トレーニングだけで挑んだレースでしたが、目標をもってやれば、ちゃんと達成できるということがわかりました。スプリントの局面では、ほかのチームからマークされる存在になれましたし、第4ステージでは、プロコンチネンタルチームであるチームタイプ1の2選手を、西谷が単独で交わして優勝しました。プロコンチネンタルチームとやりあえることを、アジアツアーのチームとして誇りに思います。

ツアー・オブ・チャイナ2では、区間優勝はもちろんのこと、総合順位も狙って行きたいと考えています。初日は距離の短いプロローグなので、盛や西谷にチャンスがあります。コンディションや、モチベーションは高まっているので、引き続き、UCIポイント獲得をめざして頑張ります。」

ツアー・オブ・チャイナ2は2日間の休息日を経て、9月16日に武漢でのプロローグで開幕し、23日に天津で最終ステージを迎える予定。プロローグを含めて全6ステージ。うち個人タイムトライアルが2ステージ、移動日が2日含まれている。

最終ステージを制したタイラー・マグナー(アメリカ、BMC・ヒンカピー)最終ステージを制したタイラー・マグナー(アメリカ、BMC・ヒンカピー) 総合優勝のマーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ) 総合優勝のマーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)


ポイント賞のアレキサンドル・セレブリャコフ(ロシア、チームタイプ1)ポイント賞のアレキサンドル・セレブリャコフ(ロシア、チームタイプ1) 総合上位の選手たち総合上位の選手たち


2012ツアー・オブ・チャイナ1 第6ステージ結果
1位 タイラー・マグナー(アメリカ、BMC・ヒンカピー)  1h54'56"
2位 ジャック・ベッキンセール(オーストラリア、オーストラリアナショナル)
3位 マクシム・ヴァシリェフ(ウクライナ、ISD・ランプレコンチネンタル)
4位 ダミトロ・ヴォロヴォド(ウクライナ、ISD・ランプレコンチネンタル)
5位 アレキサンドル・セレブリャコフ(ロシア、チームタイプ1)
6位 セバスシャン・コルバー(ドイツ、ニュートリクシュン・アビュス)
31位 盛一大(愛三工業レーシング)
35位 福田真平(愛三工業レーシング)
62位 綾部勇成(愛三工業レーシング)
87位 福島晋一(トレンガヌ)
93位 伊藤雅一(愛三工業レーシング)
95位 西谷泰治(愛三工業レーシング)
121位 中島康晴(愛三工業レーシング) +38"

個人総合成績
1位 マーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)   11h39'20"
2位 ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)     +01"
3位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ) +02"
4位 ダニエル・フォダー(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)
5位 ニールス・シルク(オランダ、ラボバンク・コンチネンタル)        +13"
6位 アルドイノ・イレシチュ(スロベニア、チームタイプ1)          +14"
52位 盛一大(愛三工業レーシング) +1'15"
58位 西谷泰治(愛三工業レーシング) +1'23"
64位 福島晋一(トレンガヌ) +1'51"
116位 福田真平(愛三工業レーシング) +17'59"
117位 綾部勇成(愛三工業レーシング) +18'25"
120位 伊藤雅一(愛三工業レーシング) +26'39"
121位 中島康晴(愛三工業レーシング) +27'37"

ポイント賞
アレキサンドル・セレブリャコフ(ロシア、チームタイプ1)

山岳賞
マティア・クバシナ(クロアチア、タスナード)

チーム総合成績
クリスティーナ・ウォッチズ


photo & text : Sonoko Tanaka

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