ブエルタ・ア・エスパーニャ2012第4ステージ。逃げの5名から、最後の登りでサイモン・クラークとトニ・マルティンが飛び出して、サイモン・クラークがゴールが制した。集団では大落車が発生し、巻き込まれたバルベルデが大きくタイムを失い、総合1位がホアキン・ロドリゲスに移行した。

ステージ優勝・ポイント賞・山岳賞のサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

マルティンを振り切ってゴールするサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)マルティンを振り切ってゴールするサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Unipublicレースは昨日から始まっていた。初めてのグランツールに参加して、本当にステージ優勝をしたかった。逃げから飛び出しただけなんだけど、集団をかなり後方にしてゴールする機会をうかがった。集団から離れれば、昨日のように自由に動けるチャンスがたくさん作れると思った。だから今日は逃げることに全力を尽くした。そうすればチャンスが訪れると確信していた。

(トニ・マルティンらとの勝負については)賭けに出ざるを得なかった。風も強かったから、後方では集団もかならずスピードを上げていると思った。最後の登り口での集団とのタイム差は4分。この差はキープできるだろうと考えた。トニ・マルティンと一緒に登り口でアタックして、(逃げ5人のうちの)残りの3人を突き放すことにしたのだ。この2〜3ヶ月はスプリントの練習をしていたから、最終コーナーではトニが先行するだろうと予想できた。実際、彼が残り300mまで先行した。その300mが、とても長かった。最後のチャンスが来るまで待って、全力でスプリントした。プロへの転向4年目に初勝利できて、とても満足している。

(今日の勝利が良いキャリアのきっかけになるかと訊かれて)そう願う。この数ヵ月はハードな練習をしてきたけど、良好なコンディションで初めてのグランツールに挑めている。ツアー・オブ・ブルゴスでは好調で、結果も出せた(第2ステージと第4ステージで3位入賞)。これまでの努力がいま実ろうとしている。自分のキャリアでもしっかり結果が出せるようにしたい。

総合1位・複合賞のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

マイヨロホを獲得したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)マイヨロホを獲得したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Unipublic今日、このジャージを獲得できるとは思っていなかった。本当にすごくうれしい。でも、昨日のステージで勝ちとりたかった。これですべてが変わるわけじゃない。総合1位は、ぼくにとっては強いモチベーションになる。総合成績で上位に入るという目標を実現しようという意欲が沸いた。でも、今のところタイム差もわずかだし、なにが起こるかわからない。今日だって、平穏なステージになるだろうと思っていたら、落車が起きて、集団は最後までハイペースになった。登りでも、すごいアタックがあるなんて予想してなかった。コンタドールが攻めたときには少し苦しかった。だから、自分のペースを維持して、コースが平坦になったところで差を詰めることにした。

あの落車のときは、最初はバルベルデが巻き込まれたことはわからなかった。でも、インチャウスティに教えてもらったので、チームメイトたちには集団の牽引するのを止めてもらった。他のチームの行動を批評するつもりはないけど、あのときの自分は適切な判断をしたと思う。

ステージ2位のトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)

勝てなかったことに少しがっかりしている。でも、サイモン・クラークが自分より速いことがわかった。登りで彼を突き放すチャンスがたった1回だけあった。登りがもっと厳しかったら、そうしていたかもしれないが、でも、その場合は、コンタドールとフルームに捉まった可能性もあった。

ステージ21位・総合3位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)

コンタドールのためにペースを上げるダニエル・ナバーロ(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)コンタドールのためにペースを上げるダニエル・ナバーロ(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:Unipublic左側から落車を目撃したけど、バルベルデ自身は落車していなかった。運がいいことに、ぼくはチームメイトの何名かと一緒に距離をとって走っていた。自分にとって最重要なのは先頭集団にいることだ。今ここではスカイの行為を評価するつもりはない。自分のレースに集中し続けないといけないし、落車に巻き込まれた選手のこともわからないから。今日は調子よく走れた。今日の登りは、大きな差をつけるには適していないことはわかっていた。山岳ステージが2つ以上終わってしまったけど、まだチャンスはたくさんあるだろうから今日は勝負しないことにした。そうする価値はなかったからね。

落車を回避できて、とてもラッキーだった。チームメイトたちが左側で落車して、ぼくも混乱状況のなかで自分のホイールが誰かのホイールに接触したけど、なんとかバイクに乗り続けた。ぼくはモビスターの選手たちの真後ろにいて、右側をスカイが高速で飛び出していった。モビスターの選手たちは必死に前に出ようとしていて、そのときに落車が起きた。その場から抜け出して先頭集団に付いていくことだけに集中して、それ以上のことは考えなかった。その集団にいることを目的にして、前方で走ることにした。チームメイトたちのことも心配だった。

コンディションは良好だよ。調子もすごくいいけど、今日の登りはアタックするには適していなかった。数秒の差をつけるのに、かなり力を使わないといけない。だから、集団に戻って、安全にゴールすることにした。

ステージ40位・総合22位のエロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)

落車の影響で遅れたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を含むグループ落車の影響で遅れたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を含むグループ photo:Unipublicチームメイトたちと一緒にいつも前方を走ることにしている。だから、落車がちょうど真後ろで発生したときは、前から10番目くらいにいた。スカイがアタックするのが見えたけど、落車を回避するだけで精一杯だった。

あの選手たちが地面に倒れている総合リーダーを待たなかったのは理解できない。落車がステージ終盤や登りで起きていたなら、まだわかる。でも、平坦なところだった。まだ残り時間がたくさんあったので、集団まで一緒に引っ張ってもらった。今日は、自転車競技が持つ素晴らしい美点を、ぼくやバルベルデは体験した。こういうことはブエルタが終わるまでに、他の選手にも起きる可能性がある。

マイヨロホを失ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
誰もが自分たちの思うように走るべきだとは思う。でも落車が起こった時にはアタックするべきじゃない。これはフェアじゃない。ありがとうチームスカイ。

モビスターのウセビオ・ウンスエ監督

今日の出来事は非常に腹立たしい。ビデオを確認してから、スカイの行為を判断したい。

サクソバンク・ティンコフバンクのビャルヌ・リース監督

今日の落車の問題を判断するのは難しい。フルームとコンタドールが強力なのは、わかっている。ニコラス・ロッシュの調子もいい。彼を来年度に向けてリクルートしたいくらい調子がいい。プリト(ホアキン・ロドリゲス)は、昨日の努力が報われたかも知れない。今日ではないけどね。今後も上位にいるだろう。バルベルデも今後は上位につけるはずだ。

ステージ112位・総合129位の土井雪広(アルゴス・シマノ)

今日のヘッドラインは昨日とほぼ同じ。ただ今日は風が強いからそれだけに気をつけて走るというのが付け足された。レース展開的には5人が先行し、モビスターが集団コントロールといういつものステージレース!っていう展開。そしてのんびりレースは進んでいたんだけど、今日は気温がぐんぐん上昇。SRMの温度計は47度を示していた。車の温度計も41度で、背中にアイスパックを入れたり、なんだかんだ忙しかった。

最初に仕掛けたのはスカイ。そして大落車。危機一髪だったわ。そして仕掛けたスカイは速かったねぇ。でも最終的に僕らアルゴスはほぼ全員第一グループに乗った。その後はアレックスを良い位置で登らせるべく位置取り風よけ、水分補給、忙しいったらありゃしない。でも視聴者的にも今日のレースはとってもエキサイティングなレース展開ではなかっでしょうか?僕のような小さい選手が平地の横風区間で大きな選手とやり合うのはたまらない時間だよね。明日はアルゴスシマノでエキサイティングな一日を築きたいと思います。

コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより抜粋。

text: Seiya YAMASAKI, Kei TSUJI

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