日本学生自転車競技連盟が主催する全日本学生選手権個人ロードレース大会が、5月30・31日に長野県木祖村の奥木曽湖周回コースにて行われた。男子は木守望(京都産業大学)、女子は川又千裕(鹿屋体育大学)がそれぞれ制した。

雨のためトンネル内からスタート雨のためトンネル内からスタート photo:日本学生自転車競技連盟コースは、1周9kmの味噌川ダム湖畔を、男子が20周+1kmの181km、女子が11周+1kmの100km。ラスト1kmは8%の登りで頂上ゴールとなる。両日とも雨に見舞われ、例年以上にサバイバルレースとなった。

女子レース100kmオープンは、青野奈美(SEKIみちのく)と川又千裕(鹿屋体育大学)が序盤から逃げ、青野がトップでゴール。学生選手権は2位でゴールした川又が制した。
そして男子レース181kmは、7名の先頭集団によるラストの1kmの登りスプリントを制した木守望(京都産業大学)が優勝した。


女子表彰(学生)1位 川又千裕(鹿屋体育大学)、2位 木村亜美(鹿屋体育大学)、3位 明珍裕子(朝日大学)女子表彰(学生)1位 川又千裕(鹿屋体育大学)、2位 木村亜美(鹿屋体育大学)、3位 明珍裕子(朝日大学) photo:日本学生自転車競技連盟土曜日に行われた女子のレースは、女子選手育成の目的でオープンレースとなっており、学生以外の選手も参加して行われた。レースは18名がスタートしたが、1周目終了時点で8名に絞られた。

3周目の登りで川又(鹿屋)がアタックし、着くことができたのは青野(SEKIみちのく)だけ。
途中から雨が降り始め、後続集団との差も徐々に開き、二人はそのまま協力しながら70km以上逃げ続けた。ラスト1kmの登りへ入ると、先に仕掛けた青野がそのままトップでゴール。2位の川又は学生の1位となった。

日曜日に行われた男子のレースは、降りしきる雨の中140人がスタート。事前の監督会議で、雷の危険性も考えレース途中での距離の短縮もあり得るとの話があり、スタート直後から速い展開となった。

ダムの上を駆け抜けるダムの上を駆け抜ける photo:日本学生自転車競技連盟その結果、1周目終了時点で、有力選手を含む30名ほどの先頭集団ができた。今日の各校上位3名の結果と、6月20日に行われるチームタイムトライアルの結果などで、9月のツール・ド・北海道の出場権が決まるため、各校とも序盤から気合いが伝わってくる。

3周目には、吉田隼人(鹿屋)のアタックに青柳憲法と早川朋宏(共に法政大学)が合流。青柳・吉田はU-23日本代表。早川も昨年の全日本ジュニアタイムトライアルで2位と、実力派3名の逃げは容認されるはずもなく、最大30秒までしか開かない。その後、逃げに乗せていない日本大学、京都産業大学などが11名の追走集団を形成し、11周目に3人を捕らえた。

ラスト1周で仕掛ける福田(大阪経済)、越海(日大)、木守(京産)ラスト1周で仕掛ける福田(大阪経済)、越海(日大)、木守(京産) photo:日本学生自転車競技連盟そしてカウンターでアタックをしたのが中村弦太(京産)と越海誠一(日大)。中村は、UCIコンチネンタルチームのトレックマルコポーロにも所属する選手で、越海もU-23日本代表。2名は11名となったメイン集団に対し、最大60秒の差で逃げたが、メインに4名を揃える法政が追走し、15周目には吸収された。

17周目には再び青柳が揺さぶりをかけ、メインは青柳・早川(法政)、木守望・中村(京産)、橋本龍弘・越海(日大)、福田高志(大阪経済大)、吉田(鹿屋体大)の8名に絞られた。

ラスト1周に入る前に、福田、越海、木守が20秒ほど抜け出すが、法政の二人が追いかけ吸収。その間に、吉田がパンクで脱落し7名で最後の登り1kmへ。

 山頂にトップで現れたのは木守望(京都産業大学) だった 山頂にトップで現れたのは木守望(京都産業大学) だった photo:日本学生自転車競技連盟はじめに仕掛けたのは越海。次に早川がアタック。それに冷静に対応した中村が木守をアシストし、そのまま逃げ切った木守が181kmのサバイバルレースを制した。

今回のレースでは、前日からの雨で山からの小石や砂、小枝が散乱しており、パンクアクシデントが多発した。先頭集団を走っていた中村や早川、越海らも例外ではない。その際、先頭集団ではアタックをせず、パンクした選手の集団復帰を待った。フェアプレーのもとで勝利した木守は、真の勝者と言えるだろう。

次の学連主催レースは、8月27〜30日に日本CSCで行われる全日本学校対抗選手権自転車競技大会(インカレ)だ。トラックとロードを4日間で競い、大学日本一を決める大会だ。こちらも、大学の威信をかけ学生の熱い戦いが繰り広げられるので、是非応援に足を運んでいただきたい。

2位は前半から積極的に動いた早川朋宏(法政大学)2位は前半から積極的に動いた早川朋宏(法政大学) photo:日本学生自転車競技連盟

男子 優勝した木守望(京都産業大学)のコメント


「監督(秋田氏)から、雨の日でもレースはあるし、そういう時のレースはチャンスが増えると言われて、2月から悪天候でも練習をしていました。その成果が出てすごくうれしいです」

女子 学生1位 川又千裕(鹿屋体育大学)のコメント


「学生で1位でも青野さんに負けてしまったので、満足していません。ただ、全日本学生クリテで7連覇を途切れさせてしまい、今回は勝たないといけないと思っていたので、ほっとしています。」


木守望の優勝を喜ぶ3位の中村弦太(京都産業大学)木守望の優勝を喜ぶ3位の中村弦太(京都産業大学) photo:日本学生自転車競技連盟

女子結果(出走18名、完走12名)


学生1位 川又千裕(鹿屋体育大学)      2:59:10
学生2位 木村亜美(鹿屋体育大学)      3:04:01
学生3位 明珍裕子(朝日大学)        3:04:08

オープン1位 青野奈美(SEKIみちのく)    2:59:02
オープン2位 志村みち子(ラヴニールあづみの) 3:04:21
オープン3位 小島綾子(TeamFITTE) 3:05:05

男子結果(出走140名、完走35名)


1位 木守望(京都産業大学) 4:53:07
2位 早川朋宏(法政大学)  4:53:11
3位 中村弦太(京都産業大学) 4:53:12
4位 越海誠一(日本大学) 4:53:20
5位 青柳憲輝(法政大学) 4:53:27
6位 橋本龍弘(日本大学) 4:53:40
7位 福田高志(大阪経済大学) 4:53:48
表彰式。木守望(京都産業大学)は全国大会初制覇表彰式。木守望(京都産業大学)は全国大会初制覇 photo:日本学生自転車競技連盟8位 吉田隼人(鹿屋体育大学) 4:56:17
9位 加藤哲史(順天堂大学) 4:57:50
10位 大久保陣(法政大学) 4:58:23

photo&text:日本学生自転車競技連盟