1975年ツール・ド・フランスで初めて導入されたマイヨブランは、将来のマイヨジョーヌ候補がしのぎを削るもう一つの総合争い。日本では「新人賞」の名前で通っているが、忠実に訳すならば「若手賞」。対象となるのは、プロ1年目の新人だけではなく、誕生日が1987年1月1日以降の選手、つまり25歳未満の選手だ。

ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji新人賞対象選手が総合優勝に輝いたのは過去に数例ある。1983年にローラン・フィニョン(フランス)、1997年にヤン・ウルリッヒ(ドイツ)、2007年にアルベルト・コンタドール(スペイン)が、マイヨジョーヌとマイヨブランを同時に獲得している。

2010年、アンディ・シュレク(ルクセンブルク)は総合2位でフィニッシュし、3度目の新人賞を獲得。その後、コンタドールが失格になったことで、史上4例目の新人賞対象選手による総合優勝が決まった。

ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク)ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク) photo:Cor Vosマイヨブランの本命は、昨年のジロ・デ・イタリアで総合8位に入り、直前のツール・ド・スイスで総合8位という成績を残した25歳ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク)と、今年パリ〜ニースで新人賞に輝いた23歳ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)、そして昨年ツールで総合11位&新人賞2位に入った現エストニアTTチャンピオンの25歳レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)だ。

レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) photo:Cor Vosクルイスウィクとヴァンガーデレンにとって、エースのアシストが優先事項。そのため自らマイヨブランを狙うことは許されない。しかしエースと一緒に山岳を登り、個人タイムトライアルで好走すれば、自然とマイヨブランが手元にやってくるだろう。自身の走りに集中出来るターラマエはその点で一歩リードしている。

最年少の22歳ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット)は要注意人物。昨年ツアー・オブ・ターキー総合3位、セッティマーナ・ロンバルダ優勝という成績を残し、今年ツール・ド・ロマンディで総合11位。直前のツール・ド・スイスでは山岳ステージで上位入賞を繰り返し、熱中症でリタイアするまで総合10位につけていた。

その他、ブエルタ・ア・エスパーニャのアングリルステージで2位に入った24歳ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)ら、注目すべき若手は多い。

初日のプロローグや平坦ステージで好走が期待される22歳ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)や、25歳のエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)は、レース序盤にマイヨブランを着ることになるだろう。

ツール・ド・フランス2011新人賞ランキング
1位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)      86h23'05"
2位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)        +46"
3位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)    +7'53"
4位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ)           +10'37"
5位 ロブ・ルーグ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)      +22'21"
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)       +32'05"
7位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)      +50"05"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)        +54'26"
9位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)       +1h17'00"
10位 アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)       +1h21'05"

歴代のマイヨブラン獲得者(同年の総合成績)
2011年 ピエール・ロラン(フランス)         総合10位
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合1位
2009年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合2位
2008年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合12位
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン)     総合1位
2006年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)        総合12位
2005年 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)    総合12位
2004年 ウラディミール・カルペツ(ロシア)      総合13位
2003年 デニス・メンショフ(ロシア)         総合11位
2002年 イヴァン・バッソ(イタリア)         総合11位
2001年 オスカル・セビリャ(スペイン)        総合7位
2000年 フランシスコ・マンセーボ(スペイン)     総合9位
1999年 ブノワ・サルモン(フランス)         総合16位
1998年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合2位
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合1位
1996年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合2位
1995年 マルコ・パンターニ(イタリア)        総合13位
1994年 マルコ・パンターニ(イタリア)        総合3位
1993年 アントニオ・マルティン・ベラスコ(スペイン) 総合12位
1992年 エディ・ボウマンス(オランダ)        総合14位
1991年 アルバロ・メヒア(コロンビア)        総合19位
1990年 ジル・ドリオン(フランス)          総合15位

text:Kei Tsuji in Liege, Belgium

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