チヴィタヴェッキア〜アッシジの186kmで行われたジロ10ステージはアッシジの坂を最速で駆け上がったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)がステージ勝利。ボーナスタイムによりマリアローザも獲得した。

ガゼッタ紙で自分の落車シーンを眺めるマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)ガゼッタ紙で自分の落車シーンを眺めるマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji手の舟状骨を骨折したフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)がスタート地点に登場手の舟状骨を骨折したフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)がスタート地点に登場 photo:Riccardo Scanferla


逃げるフランチェスコ・ファイッリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)ら5名逃げるフランチェスコ・ファイッリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)ら5名 photo:Riccardo Scanferlaティレニア海沿いのチヴィタヴェッキアから、城壁に囲まれた聖地アッシジに至る第10ステージ。全長186kmのコースは概ね平坦基調だが、ゴールは4級山岳にカテゴリーされた山の中腹にある神聖なる古都アッシジ。標高422mのゴールに向かって、約4kmの急勾配の2段階の登りが待ち受ける。

ペースを落としたまま進むメイン集団ペースを落としたまま進むメイン集団 photo:Riccardo Scanferlaレース前からの優勝候補筆頭はホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)。短い急勾配の坂が得意なパンチャーたちがしのぎを削ることが予想された。

この日スタートしなかったのはフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア)。昨第9ステージでの落車で手首の小骨を骨折していたことが判明。レースを去ることになった。

チームメイトと談笑しながら走る別府史之(オリカ・グリーンエッジ)チームメイトと談笑しながら走る別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Riccardo Scanferla序盤からアタックしたのは次の5人。
ギヨーム・ボナフォン(フランス、アージェードゥーゼル)、ミゲル・ミンゲス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)、フランチェスコ・ファイッリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア)、マティアス・ブランドル(オーストリア、チームネットアップ)、 マルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)。
タイム差は50km地点で4分50秒ほどに広がった

中間スプリントポイントは逃げグループのケイゼル(ヴァカンソレイユ)が先頭通過。メイン集団に残されたポイントはマーク・カヴェンディッシュ(チームスカイ)が獲得し、マリアロッサ・パッシオーネ争いで首位をいくマシュー・ゴス(オリカ・グリーンエッジ)とわずか3ポイント差に迫る。ゴスは今日も中間スプリントに興味を示さなかった。

メイン集団の先頭ではアタックが繰り返されるメイン集団の先頭ではアタックが繰り返される photo:Riccardo Scanferlaゴールまで64kmを残しタイム差は2分、50kmで1分50秒と、着実に縮まっていく。そして前を行く5人から2人が遅れる。分裂したことで捕まるのも時間の問題と思えたとき、メイン集団からスタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)が一人アタックを掛けて前を追う。クレメントは遅れた二人を引き連れ、前を行く3人に合流。逃げ集団は6人になった。

マリアローザのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)は集団前方に位置マリアローザのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)は集団前方に位置 photo:Kei Tsujiゴールのアッシジの街への登り坂は細く短く急なため、それまでに逃げを捕まえなければならない。メイン集団はマリアローザ擁するガーミン・バラクーダが中心となって追走。アッシジが近づくとロドリゲスで勝利を狙うカチューシャが引き継いでスピードを上げる。逃げは残り7.5㎞で集団に吸収された。

ゴールへの上りはラスト4kmを切ってから最大勾配15%の登りが始まり、ラスト2.4kmで一旦コースは下りに転じる。そしてラスト1.2kmから再び登り始め、勾配10%オーバーの登りを経てアッシジの中心地へとゴールする。
アッシジの登りで積極的に動くトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)アッシジの登りで積極的に動くトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク) photo:Riccardo Scanferla道幅の狭い、石畳の道に突入する選手たち。集団の先頭にはアスタナ、ランプレ、チームスカイ、ファルネーゼヴィニ、ランプレが集結し、ペースを上げ続ける。ロドリゲス、クロイツィゲル(アスタナ)ヘジダル(ガーミン)、スカルポーニ(ランプレ)ら有力勢がお互いの出方を伺いながら肩を並べて走る。

大型のトーマス・ヴァイクス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)がまずペースを上げて独走するが、急坂に思うように差は開かない。22歳の若手トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)が代わってペースを上げると、スカルポーニも反応。集団は縦に伸びだす。クロイツィゲル、ロドリゲス、ヘジダル、昨ステージで勝利したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)、ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)らが続き、勝利を狙えるパンチャーたちがしのぎを削る。

ロドリゲスのために集団のペースを上げるダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)ロドリゲスのために集団のペースを上げるダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) photo:Riccardo Scanferla一段目の上りのピークを過ぎてウランとガドレが少し前に飛び出てダウンヒル。しかしラスト1.2kmの上り口で捕まり、ここからのアタック合戦となる。先には10%超えの急坂が待っている。
ロドリゲスがアシスト役のダニエル・モレーノ(スペイン)に率いられ、解き放たれると喰らいつけたのはスラグテル(ラボバンク)とバルトス・フザルスキー(ポーランド、チームネットアップ)のふたり。ロドリゲスはふたりの様子をうかがいながらやや慎重に攻める。そしてゴール前300mで急加速すると、スピードに乗せてゴールのアッシジの街へと飛び込んだ。
サンフランチェスコ大聖堂を通過サンフランチェスコ大聖堂を通過 photo:Kei Tsuji2秒遅れてフザルスキーが続いてゴール。後続からはジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)が飛び出し、3位に。
マリアローザのヘジダルは6秒遅れでフィニッシュ。しかしボーナスタイムによりマリアローザはヘジダルからロドリゲスの手に渡った。

ポイント賞争いはマシュー・ゴスがカヴェンディッシュに3ポイント差に迫られるも首位をキープ。山岳賞争いもミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)がキープした。新人賞はダミアーノ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)、チーム総合はリクイガス・キャノンデールで変わらず。
別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は2分17秒遅れ60位でフィニッシュ。総合は117位につけている。 

独走でゴールに向かうホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)独走でゴールに向かうホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Riccardo Scanferla

ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)のコメント
監督やチーム関係者、ジャーナリストからラスト200mに気をつけろと言われていたんだ。それを知らなかったらもっとアタックを早く仕掛けたかもしれない。皆がレース前に僕のことを優勝候補と言っていたけど、勝つのはそれほど簡単じゃなかったよ。今日の勝利はボーナスタイムがあったからとくに重要だった。僕に適したフィニッシュだということは理解していた。こんなときはその利点を活かすほかないね。
今日何が変わる?僕はマリアローザを取った。僕とチームメイトはこのジロにプレッシャーを感じていなかったから、スタート前からリラックスしていたんだ。この勝利はさらに自信をくれるね。

ジロ・デ・イタリア2012第10ステージ結果

1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)4h25'05"
2位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、チームネットアップ)+02"
3位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)+02"
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)+04"
5位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)+06"
6位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)+06"
7位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)+06"
8位 ダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)+06"
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +06"
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)+06"
60位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)+2'17"

個人総合成績
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)40h27’34”
2位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) +17"
3位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) +32"
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +52"
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)+52"
6位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)+57"
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)+1'02"
8位 ダリオ・カタルド(イタリア) +1'03"
9位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)+1'09"
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)+1'10"
117位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)+50'19"

ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 

山岳賞 マリアアッズーラ 
ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)

新人賞 マリアビアンカ
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)

チーム総合成績
リクイガス・キャノンデール


text:Makoto.AYANO
photo:Kei.TSUJI,CorVos,Riccardo Scanferla

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