5月13日から20日までの8日間、第7回ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)が開催される。ジロ・デ・イタリア開催期間ながら、多くのトップ選手が集まるアメリカ最大のレースの見どころをお届けしよう。

"ゴールデンステイト" カリフォルニア州を舞台にする本格ステージレース

ツアー・オブ・カリフォルニア2012コースマップツアー・オブ・カリフォルニア2012コースマップ http://www.amgentourofcalifornia.com/今年で開催7回目と非常に新しい大会ながら、北米随一の開催規模を誇るツアー・オブ・カリフォルニア。2010年大会よりジロ・デ・イタリアと同時期の5月開催となり、ツール・ド・フランスを控える選手たちが多く出場する非常に重要なレースに成長した。

アメリカ西海岸の半分以上を占め、日本全土より広大な土地面積を誇るカリフォルニア州。その中でツアー・オブ・カリフォルニアが巡るのは、大きく分けて州北部の西海岸に面するサンフランシスコ周辺と、南部にあって全米第2の都市であるロサンゼルス周辺だ。

ツアー・オブ・カリフォルニア2012第1ステージツアー・オブ・カリフォルニア2012第1ステージ http://www.amgentourofcalifornia.com/北部で開催される1~3ステージと、南部で開催される6~8ステージ。そしてその中間地点、州の中心にあたる部分で第4・5ステージが開催される全8日間、1184kmに渡る行程で総合争いは決着する。

ツアー・オブ・カリフォルニア2012第6ステージツアー・オブ・カリフォルニア2012第6ステージ http://www.amgentourofcalifornia.com/幕開けとなる第1ステージは、サンタロサを発着する186.5kmで争われる。途中標高450mほどの山岳ポイントを超えるものの、コースとしての難易度は低い。黄金のリーダージャージ獲得を目指すスプリンターたちの激しいゴール勝負が繰り広げられるだろう。

ツアー・オブ・カリフォルニア2012第7ステージツアー・オブ・カリフォルニア2012第7ステージ http://www.amgentourofcalifornia.com/同じくスプリントフィニッシュになると予想される第2、3ステージを消化した後、シエラネバダ山脈の麓で行われる第4ステージは、209.6kmを走る最長ステージでアタッカー向き。続く第5ステージは29.7kmの個人タイムトライアルが用意され、ここでまず総合陣はふるいにかけられる。

そしてリーダージャージを狙う選手にとっては息つく暇もなく、総合順位が決する第6、7の山岳ステージがやってくる。いずれも2000m級の山岳が登場し、特に最終日前日の第7ステージはバルディ山頂上にゴールするクイーンステージだ。この2日間の最中に総合順位を決める動きが生まれることは想像に難くない。

そして最終日は、高級住宅地として世界にその名を轟かせるビバリーヒルズをスタートし、ロサンゼルスへと至る完全フラットなスプリントステージ。この日のために険しい山岳を越えてきたスプリンターたちのバトルによって大会は締めくくられる。

ツアー・オブ・カリフォルニア2012ステージリスト
第1ステージ サンタロサ~サンタロサ 186.5km
第2ステージ サンフランシスコ~サンタクルス 188.5km
第3ステージ サンホセ~リバーモア 185.5km
第4ステージ ソノラ~クローヴィス 209.6km
第5ステージ ベイカーズフィールド~ベイカーズフィールド 29.7km(TT)
第6ステージ パームデール~ビッグベアレイク 186.3km
第7ステージ オンタリオ~マウントバルディ 126.0km
第8ステージ ビバリーヒルズ~ロサンゼルス 72.0km


昨年覇者ホーナーやニーバリ、ライプハイマーらが顔を揃える

ティレーノ~アドリアティコ総合優勝のヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)と2位クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)がともに出場するティレーノ~アドリアティコ総合優勝のヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)と2位クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)がともに出場する photo:Kei Tsujiツアー・オブ・カリフォルニアから一ヶ月後には、ツール・ド・フランスが開幕する。7月のタイトルを狙うオールラウンダーや強豪選手が多く集結。例年通り、北米最大のレースに相応しいメンバーが顔を揃えた。

昨年大会2位リーヴァイ・ライプハイマー(右 アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)は脚の容態に不安を残す昨年大会2位リーヴァイ・ライプハイマー(右 アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)は脚の容態に不安を残す photo:CorVos昨年中盤の山岳でステージ優勝をし、そのリードを最後まで守り抜いたベテラン、クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)は2連覇を狙って凱旋帰国。ただし昨年とは勢力構図が大きく異なる。

昨年ホーナーを鉄壁のアシストで勝利へと導き、総合2位に入ったリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)は、今年オメガファーマ・クイックステップへと移籍し、チームリーダーとしてカリフォルニアへと帰ってきた。

昨年3位トム・ダニエルソンはさらなる上位獲得を狙う昨年3位トム・ダニエルソンはさらなる上位獲得を狙う photo:Kei Tsuji昨年2位、一昨年3位に甘んじている大会の顔は4度目の大会制覇を目指すが、懸念はスペインでのトレーニング中に発生した交通事故による脚の骨折。ライプハイマーが不調の場合はチームメイトのピーター・ベリトス(スロバキア)がエースに取って代わるとみられている。

そして今年はツール・ド・フランスを見据えるヴィンツェンツィ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)がカリフォルニアへと出場する。3月のティレーノ~アドリアティコの最終ステージ、個人TTでホーナーを逆転したイタリア期待の星はコンディションも上々。果たしてティレーノの再現なるか。

ツール・ド・ロマンディで総合2位と新人賞を獲得したアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)ツール・ド・ロマンディで総合2位と新人賞を獲得したアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) photo:Kei Tsujiアメリカ勢としては昨年大会総合3位に入っているトーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)は要注目。今年のパリ~ニース総合2位、アンドリュー・タランスキー(アメリカ)を引き連れて表彰台のさらに上を狙う。

昨年5位、3月のパリ~ニースで新人賞を獲得したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)も確実に上位に食い込んでくるだろう。4月に行われたジロ・デル・トレンティーノ第4ステージの山頂ゴールを制したダーウィン・アタプーマや2008年のU23世界チャンピオン ファビオ・ドゥアルテ、ヴィクトルウーゴ・ペーニャ(いずれもコロンビア)擁するコロンビア・コルデポルテス勢も不気味な存在だ。

そして日本からはナショナルチャンピオンになったばかりの土井雪広(アルゴス・シマノ)がカリフォルニア初参戦。日本チャンピオンジャージを披露する。マルセル・キッテル(ドイツ)のスプリント勝負を狙うチーム編成だが、土井の活躍に期待したいところ。ここでの活躍は大いにツール・ド・フランス出場を引き寄せる可能性がある。

全日本チャンピオン・土井雪広がカリフォルニア出場全日本チャンピオン・土井雪広がカリフォルニア出場 photo:Makoto.AYANOその他昨年スプリント賞を獲得したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、フィリップ・ダイグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア)などもステージ優勝に絡んでくるだろう。

そしてこのカリフォルニアをもって引退することを発表したロビー・マキュアン(オーストラリア、グリーンエッジ)は今季まだ未勝利。数々の戦績を重ねてきた39歳のベテランスプリンターの最後のレースにも注目したい。


出場チーム 全16チーム
UCIプロツアーチーム
アージェードゥーゼルラモンディアール
BMCレーシングチーム
オリカ・グリーンエッジ
リクイガス・キャノンデール
ロビー・マキュアン(グリーンエッジ)の引退レースに注目だロビー・マキュアン(グリーンエッジ)の引退レースに注目だ オメガファーマ・クイックステップ
ラボバンク
レディオシャック・ニッサン
ガーミン・バラクーダ

UCIプロコンチネンタルチーム
アルゴス・シマノ
コロンビア・コルデポルテス
チームスパイダーテック
ユナイテッドヘルスケア

UCIコンチネンタルチーム
ビッセル・プロサイクリング
ボントレガー・リブストロング
チームエクセルジー
オプタム・プロサイクリング

レース公式サイトが充実
昨年はJ SPORTSでのライブ中継があったが、今年は残念ながらない。しかしツアー・オブ・カリフォルニアは公式サイトが非常に充実しており、レースの動きをリアルタイムに、インタラクティブに把握することができる。レースは日本時間の朝に当たる。ぜひチェックして欲しい。


text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO,Kei.Tsuji,CorVos

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