開催98回目を迎えるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュが、4月22日、ベルギーのワロン地域を舞台に開催される。フレーシュ・ワロンヌに引き続き別府史之(グリーンエッジ)と土井雪広(アルゴス・シマノ)が出場。ワロンを牽引する英雄は、地元最大のタイトルを死守することが出来るだろうか?

今年で110年目の最古参レース ワロン最大のクラシック

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2012コースマップリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2012コースマップ image:A.S.O.歴史あるクラシックレースは数あれど、このリエージュほど長い歴史のあるレースは他に無い。リエージュの第1回大会が開催されたのは、なんと今から110年前の1892年。近代オリンピック(1896年〜)や、日本の箱根駅伝(1920年〜)よりも歴史が長い。「Doyenne(ドワイエンヌ=最古参)」は納得のネーミングだ。

「モニュメント」と呼ばれる世界5大クラシック(サンレモ、ロンド、パリ〜ルーベ、リエージュ、ロンバルディア)の一つとして数えられており、格式の点ではアルデンヌ3連戦の中で際立って大きい。

ベルギー北部フランデレン地域のロンド・ファン・フラーンデレンに対し、南部ワロン地域のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。レースの舞台となるのは、リエージュの南に広がる丘陵地帯だ。

大勢の観客が詰めかけたサンロッシュの登り大勢の観客が詰めかけたサンロッシュの登り photo:Kei Tsujiコースはレース名の通りリエージュとバストーニュの往復で、山岳とも呼べるほどスケールの大きな丘陵地帯を逆回りに8の字を描き、リエージュ近郊の街アンスにゴールする。

「アップダウンを繰り返し、最後は短い坂を駆け上がってゴール」というコースの特性は、他のアルデンヌ2戦(アムステルとフレーシュ)と同じ。しかし登り一つ一つの距離が長いのがリエージュの特徴。コース全長も257.5kmと最も長く、難易度、距離、格式においてアルデンヌナンバーワンと呼ばれるのも頷ける。

「PHIL」の路上ペイントが並ぶコート・ド・ラ・ルドゥット「PHIL」の路上ペイントが並ぶコート・ド・ラ・ルドゥット photo:Kei Tsuji細かい上りを数え始めるとキリが無いようなアップダウンコース。そのうち、カテゴリーが付けられた上り坂は11カ所。中でも、選手たちが壁をよじ上っているような光景が見られるのが、116.5km地点に登場する「コート・ド・サンロシュ(平均勾配11%)」。この難所を越え、ラスト100kmを切ってからは断続的に上り坂が襲いかかる。

本格的な闘いのゴングが鳴らされるのが、ゴール35km手前の「コート・ド・ラ・ルドゥット(平均8.8%)」。フィリップ・ジルベール(ベルギー)の出身地に近いこのラ・ルドゥットは、最大勾配が17%に達する。

続いてゴール20km手前で「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(平均9.3%)」をクリア。今年もゴールの6km手前で最後の難関「コート・ド・サンニコラ(平均8.6%)」がやってくる。連続するこれらの上りで集団の人数が絞られるのは間違いない。

ゴールに至る登りは「カウベルグ」や「ユイ」ほど厳しくはなく、ラスト2kmから緩斜面がダラダラと続く。連続する登りでアタックを成功させた選手が独走するか、それとも平坦に近い最終ストレートで小集団スプリント勝負に持ち込まれるか。強いものだけが勝負に残るサバイバルレースが繰り広げられるはずだ。

登場する11カ所の登り坂
1 70.0km  コート・ド・ロッシュ・アン・アルデンヌ   長さ2.8km・平均勾配6.2%
2 116.5km コート・ド・サンロシュ          長さ1.0km・平均勾配11%
3 160.0km コート・ド・ワンヌ            長さ2.7km・平均勾配7.3%
4 166.5km コート・ド・ストック           長さ1.0km・平均勾配12.2%
5 172.0km コート・ド・ラ・オートルヴェ       長さ3.6km・平均勾配5.7%
6 185.0km コル・ドゥ・ロジェ            長さ4.4km・平均勾配5.9%
7 198.0km コル・ドゥ・マキサール          長さ2.5km・平均勾配5%
8 208.0km モン・トゥー               長さ2.7km・平均勾配5.9%
9 223.0km コート・ド・ラ・ルドゥット        長さ2.0km・平均勾配8.8%
10 238.0km コート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコン 長さ1.5km・平均勾配9.3%
11 252.0km コート・ド・サンニコラ         長さ1.2km・平均勾配8.6%

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2012コースプロフィールリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2012コースプロフィール image:A.S.O.

ジルベールの連覇なるか?別府と土井がフレーシュから連戦出場

昨年スプリントでシュレク兄弟を負かしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、当時オメガファーマ・ロット)昨年スプリントでシュレク兄弟を負かしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、当時オメガファーマ・ロット) photo:Kei Tsuji昨年、ワロン出身のフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)は、地元アルデンヌの3連戦で猛威を振るった。アムステル・ゴールドレース、フレーシュ・ワロンヌで勝ち、そして下馬評通りリエージュで初優勝を飾った。しかもシュレク兄弟2人を相手にしたスプリント勝利で、余裕の3連勝と呼べるほどの好調ぶりだった。

今年はシーズン序盤から低迷し、いまだ0勝(昨年はこの時点で7勝)。しかし、4月に入って徐々に調子を戻し、アムステルで6位に入ると、フレーシュで表彰台(3位)に登っている。

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) photo:Kei Tsuji例年リエージュのコースにはジルベール応援団が駆けつけ、路面には無数の「PHIL」ペイントが並ぶ。ワロンの期待を背負うベルギーチャンピオンは、アルデンヌ3連戦を最高の形で締めくくることが出来るだろうか?

昨年、2人揃って先頭グループに残りながら、ジルベールに敗れたシュレク兄弟(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)は、雪辱を果たすためにリエージュに戻ってくる。弟アンディは2009年大会に独走勝利、兄フランクは2007年から2年連続3位、そして昨年2位。

フレーシュ・ワロンヌを制したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)フレーシュ・ワロンヌを制したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji調子が上がらないアンディではなく、フランクがエースを担うと目されている。クリストファー・ホーナー(アメリカ)らが加わり、その登坂力を活かしてタフな展開に持ち込みたいところ。スプリント力で劣るため、早め早めに仕掛ける必要がある。

フレーシュ・ワロンヌを制したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)は、2009年、独走したアンディの後続グループ先頭でゴールしている。4日前に喜びの初タイトルを獲得した「プリート」は、スプリント力も兼ね備える。登れるスプリンターとして知られるオスカル・フレイレ(スペイン)とタッグを組む。

別府史之(グリーンエッジ)別府史之(グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiスペインからは他にも、リエージュに集中するためにフレーシュをパスしたサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)や、2006年と2008年大会の覇者アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)らが出場する。

アムステルの覇者エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)や、フレーシュを欠場して挑んだジロ・デル・トレンティーノでステージ優勝したダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)、そしてヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)ら、イタリア勢にも注目したい。

土井雪広(アルゴス・シマノ)土井雪広(アルゴス・シマノ) photo:Kei Tsuji好調グリーンエッジは、サイモン・ジェランス(オーストラリア)とミハエル・アルバジーニ(スイス)のコンビを送り込む。110年の長い歴史の中で、リエージュを制したオーストラリア人選手はまだいない。

他にも、地元の声援を受けるイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)やトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)、ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)らが勝負に絡んでくるだろう。

そしてフレーシュに引き続き、別府史之と土井雪広が出場する。ともに3回目の出場。別府は2008年に完走している。両名ともエースのアシストとして難コースに挑む。

現地は雨と晴れを交互に繰り返す天候が続いており、日曜日も雨混じりの天気が予想される。標高500mを超える山岳地帯も通過するため、雨が降ればかなりタフなコンディションになるだろう。

text&photo:Kei Tsuji in Liege, Belgium
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