最終版にカテゴリー超級の山岳が設定されたジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.HC)第3ステージは、イタリアンクライマーのドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス)が独走優勝。後続にタイム差を付け、リーダージャージも同時に獲得した。

総合で遅れているイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)総合で遅れているイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:CorVos4月19日に開催されたジロ・デル・トレンティーノ第3ステージ。コースはピッコリ・フルッティから南下し、ガルダ湖東岸のブレンゾーネまで至る167.8km。距離こそ短いものの、117km地点で2級山岳を超えた先に超級山岳プンタヴェレーノ峠が設定される難コースだ。

プンタヴェレーノを独走するドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス)プンタヴェレーノを独走するドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス) photo:CorVos特にプンタヴェレーノは、平均勾配15%、登坂距離9kmで標高差1100mを上り詰める非常に厳しいプロフィールだ。山頂を少し下った先にゴールが設定されているため急勾配を得意とするピュアクライマー向きで、登坂に備え選手たちはフロント34Tのコンパクトギアを装備する。

この日エスケープグループを形成したのは、山岳賞ジャージを着るマルコ・フラッポルティ(イタリア、チームイデア)やマッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)、ファビオ・フェリーネ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)ら5名。

コース距離が短いこともあり、メイン集団は逃げる5名に対して大きなタイム差を許さない。リクイガス・キャノンデールやダニーロ・ディルーカ擁するアックア・エ・サポーネがコントロールし、終盤の山岳区間に向けて集団の速度を上げていく。

前を追うダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)前を追うダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:CorVosやがて逃げていたメンバーを全て吸収すると、集団は高速のまま、ラスト11.5kmから始まる超級プンタヴェレーノへ突入した。

この上りの序盤で動きを見せたのは、2008年ジロ・デ・イタリアで総合9位に入ったドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CFSイノックス)。勢いの良いアタックで急勾配のつづら折れを駆け上がり、後続との差を徐々に開いていく。

単独で先頭を追うシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・キャノンデール)単独で先頭を追うシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・キャノンデール) photo:CorVos後方でポッツォヴィーヴォを追いかけるのは、前日優勝したダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)やシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・キャノンデール)。遅れてホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ)やロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)が食らいつく。

道幅が非常に細く、急勾配のつづら折れが続きチームカーが入れず、メカニックが後部シートに乗ったモーターバイクがサポートのため走る。スピードも上がらないため、ジリジリとした攻防を繰り返していく選手たち。

一方先頭を走るポッツォヴィーヴォは後続とのタイム差を広げ、単独でプンタヴェレーノ山頂を通過。そのままのタイム差を維持し、山頂から2.5km先に設定されたゴールへと独走で飛び込んだ。

ポッツォヴィーヴォは29歳の小柄なピュアクライマー。リーダージャージのマティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)が遅れたことで一躍総合首位に立った。「結果の出なかった昨日のステージでも調子の良さは感じていたんだ。急勾配の上りはあまり得意ではないけれど、今日は全てが上手くいった。明日のステージでもリーダージャージを守って総合優勝できると思う。」と語るポッツォヴィーヴォ。

ゴールへ飛び込んだドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス)ゴールへ飛び込んだドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス) photo:CorVosシャンパンを開けるドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス)シャンパンを開けるドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス) photo:CorVos


23秒差の2位にはシュミット、1分12秒遅れの3位にはクネゴが入っている。ポッツォヴィーヴォは総合2位のクネゴに25秒差を付け、翌日に控える最終の山岳ステージへ向かう。


ジロ・デル・トレンティーノ2012第3ステージ結果
1位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス) 4h04'26"
2位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・キャノンデール) +23″
3位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +01′12″
4位 ホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ) +01′20″
5位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +01′40″
6位 ユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)  +02′07″
7位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、チームネットアップ) +02′12″
8位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ) 
9位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)
10位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アックア・エ・サポーネ) +02′33″

個人総合成績
1位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス) 8h20'42"
2位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +25″
3位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス・キャノンデール) +49″
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +50″
5位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) +01′42″
6位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アックア・エ・サポーネ) +01′47″
7位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、チームネットアップ) ++01′48″
8位 ホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ)
9位 マルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム) +01′51″
10位 ユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール) +02′06″

ポイント賞
マルコ・フラッポルティ(イタリア、チームイデア)

山岳賞
ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス)

新人賞
カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アックア・エ・サポーネ)

チーム総合成績
アンドローニ・ジョカトーリ


text:So.Isobe
photo:CorVos