熊本・山鹿で初めて行われた高校選抜ロード。小橋勇利(愛媛、松山工)のアタックをきっかけに再編された先頭集団でのスプリントを小橋が制し優勝。女子は江藤里佳子(大分、別府商)が優勝。

小橋勇利(愛媛、松山工)が馬渡伸弥(東京、昭和第一学園)をかわして優勝小橋勇利(愛媛、松山工)が馬渡伸弥(東京、昭和第一学園)をかわして優勝 photo:Hideaki.TAKAGI

3月25日(日)、高校選抜大会最終日は個人ロードレース。会場は熊本県山鹿市。一昨年まで熊本国際ロードが開催された所だ。コースは若干異なり、北側を延ばし南側をカットしたもの。KOMは同じだがその後の下りから左折し細くカーブの多い緩い上りがある。勝負どころはKOMへの上りと、ゴールの上り。アップダウンとテクニカル度合いの調和したコース。
1周11.5kmを女子は3周34.5km、男子は7周80.5kmのレース。

女子、江藤里佳子(大分、別府商)が優勝女子、江藤里佳子(大分、別府商)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI江藤里佳子(大分、別府商)優勝の女子

女子は29人がスタート。KOMへの上りで徐々に集団が絞られていく。1周目で13人に、さらに散発的にアタックがかかるが集団は崩れず最後の上り勝負へ。ここで江藤里佳子(大分、別府商)が抜け出して優勝。

優勝候補ナンバーワンは西村大輝(東京、昭和第一学園)

優勝候補ナンバーワンは、アジア選手権ロードチャンピオンの西村大輝(東京、昭和第一学園)。関係者も選手たちもそれに異論は無い。このコース程度の上りはこなし、独走力もあり、そして上りゴールに強い。対抗するのはアジア選手権メンバーの徳田優(京都、北桑田)と小橋勇利(愛媛、松山工)が有力候補。

アジア選手権で活躍した優勝候補たちが最前列にアジア選手権で活躍した優勝候補たちが最前列に photo:Hideaki.TAKAGI5周目、逃げる徳田優(京都、北桑田)と山本大喜(奈良、榛生昇陽)5周目、逃げる徳田優(京都、北桑田)と山本大喜(奈良、榛生昇陽) photo:Hideaki.TAKAGI5周目、メイン集団の小橋勇利(愛媛、松山工)ら5周目、メイン集団の小橋勇利(愛媛、松山工)ら photo:Hideaki.TAKAGI最終周回へ、メイン集団の西村大輝(東京、昭和第一学園)は動かず最終周回へ、メイン集団の西村大輝(東京、昭和第一学園)は動かず photo:Hideaki.TAKAGI優勝は小橋勇利(愛媛、松山工)優勝は小橋勇利(愛媛、松山工) photo:Hideaki.TAKAGIメイン集団の頭は西村大輝(東京、昭和第一学園)メイン集団の頭は西村大輝(東京、昭和第一学園) photo:Hideaki.TAKAGI男子表彰男子表彰 photo:Hideaki.TAKAGI女子表彰女子表彰 photo:Hideaki.TAKAGI
1周目のKOMへの上りでレースは動く。集団から6人が抜け出し先行。ここには徳田優(京都、北桑田)と山本大喜(奈良、榛生昇陽)らが入る。2周目の上りで徳田のハイペースに逃げ集団も絞られて徳田と山本の2人に。この2人は6周目後半まで逃げ続けることに。

1周目から逃げた徳田優(京都、北桑田)と山本大喜(奈良、榛生昇陽)

強めの風が吹く中、先頭の徳田と山本は協力して逃げ続ける。上りはおもに徳田が、下りと平地は2人で先頭を引く。メイン集団との差は1分30秒前後をキープ。メイン集団では西村が飛び出すきっかけを作るもののマークされる一方で、なかなか抜け出せない。

5周目、逃げとメインとの差は1分10秒ほどに縮まり、メイン集団から西村がアタックして抜け出す。10秒ほど先行するが安原大生(奈良、榛生昇陽)らがマークしてその後再びメイン集団へ戻る。
6周目、上りで遅れがちだった山本が徳田から10秒ほど遅れる。一方でメイン集団からは小橋が単独アタック。これに馬渡伸弥(東京、昭和第一学園)、横山航太(長野、篠ノ井)ら6人が反応し7人で30秒差の前の2人を追撃する。西村はメイン集団にとどまったまま。

小橋勇利(愛媛、松山工)のアタックがきっかけで逃げ再編

最終周回の7周目、上りに入って追走の7人は山本を、そして徳田を吸収して先頭は9人に。ここから逃げ続けた徳田が下がっていく。山本は下がりかけるがアタックをかけて再び抜け出そうとする。結局先頭集団は8人で、西村らのメイン集団には30秒差をつける。

ゴール前の上りを抜け出したのは馬渡。これに小橋があわせて2人が並んでゴール。わずかに小橋が先着して優勝。3位には横山が続いた。そして西村はメイン集団の先頭9位でゴール。

小橋の勝負強さ、序盤から逃げ続けた徳田と山本の力走そして昭和第一学園の層の厚さが印象のレースに。優勝した小橋は1年生時のインターハイロードで優勝、その後昨年のジャパンカップオープン、ツール・ド・おきなわジュニア国際ロードで優勝。この2月のアジア選手権では西村に次ぐ2位、1週間前の西日本チャレンジロードではエリート選手の中にただ一人8位で入賞。高校生を代表する選手だ。

優勝した小橋勇利(愛媛、松山工)

「自分の考えていた積極的な走りができなかった。結果は優勝だけれども全然満足していない。7人で抜け出してからはとにかく逃げ切ろうと協調した。ゴールではアウト側へ行ってしまい、先行した馬渡君を抜くのが難しかった」
優勝した時ほど自分に厳しいのが小橋。常に向上心を持つ小橋の今後も注目だ。

2位の馬渡伸弥(東京、昭和第一学園)

「ちょっとの差の2位なのでめちゃくちゃ悔しいです。西村君かボクかどちらかが行くと決めていました。西村君が集団で他の選手をとどまらせてくれたので2位になれました」

徹底マークされた西村大輝(東京、昭和第一学園)

「最後は馬渡君のスプリントに任せて、自分は集団ゴールしました。今日は学校対抗優勝が一番の目標だったので結果には満足しています。マークがきついとは感じました。自分が逃げて吸収された後のアタックで馬渡君が行ってくれたので自分は残りました」

9割を逃げた徳田優(京都、北桑田)と山本大喜(奈良、榛生昇陽)

「最初から僕ら2人でレースを作ろうと考えていました。風が強くて上りはまだしも平地で差を詰められてしまった。逃げ切るつもりだったので悔しいです。結果は残せなかったけれども力は出し切った。もっと練習します」

結果
男子 
1位 小橋勇利(愛媛、松山工)2時間08分28秒3
2位 馬渡伸弥(東京、昭和第一学園)
3位 横山航太(長野、篠ノ井)+01秒
4位 中野尻祥(和歌山、和歌山北)+04秒
5位 片桐善也(新潟、吉田)+06秒
6位 吉田悠人(栃木、作新学院)+07秒
7位 原井博斗(福岡、祐誠)+11秒
8位 山本大喜(奈良、榛生昇陽)+18秒
9位 西村大輝(東京、昭和第一学園)+1分04秒
10位 沼口竜馬(大分、日出暘谷)

女子
1位 江藤里佳子(大分、別府商)1時間06分4秒7
2位 谷伊央里(群馬、前橋育英)+07秒
3位 日野友葵(愛媛、丹原)+09秒
4位 齋藤望(宮城、古川工)+11秒
5位 細田愛未(埼玉、川越工)+41秒
6位 柳本愛奈(山梨、笛吹)+45秒
7位 三宅玲奈(岡山、岡山工)+48秒
8位 元砂七夕美(奈良、榛生昇陽)+1分00秒
9位 伊藤小紅(静岡、浜松学院)+1分29秒
10位 黒田彩夏(兵庫、明石西)+1分30秒

学校対抗
男子
1位 昭和第一学園・東京 28点
2位 祐誠・福岡 16点
3位 紫波総合・岩手 12点
4位 和歌山北・和歌山 12点
5位 松山工・愛媛 11点
6位 岐南工・岐阜 10点
7位 倉吉西・鳥取 9点
7位 防府商・山口 9点
7位 岡豊・高知 9点

女子
1位 岡山工・岡山 20点
2位 別府商・大分 18点
3位 古川工・宮城 15点
4位 川越工・埼玉 15点
5位 北桑田・京都 13点
6位 伊豆総合・静岡 12点
7位 作新学院・栃木 11点
8位 榛生昇陽・奈良 11点

photo&text:高木秀彰