2012年3月7日、イタリア中部トスカーナ州で第47回ティレーノ〜アドリアティコ(UCIワールドツアー)が開幕した。初日は全チームが総力を挙げて挑むチームタイムトライアル。ディフェンディングチャンピオン擁するBMCレーシングチームが17位に沈む中、グリーンエッジが下位を17秒引き離す圧勝を飾った。

18分41秒のトップタイムを叩き出したグリーンエッジ18分41秒のトップタイムを叩き出したグリーンエッジ photo:Riccardo Scanferla「ティレニア海からアドリア海まで」というレース名の通り、1週間の闘いはティレニア海に面したサンヴィンツェンツォで幕開けた。

初日は16.9kmのチームタイムトライアル。海に近いコースは直線基調&平坦基調で、後半にかけて内陸に向かい、高低差40mほどの緩やかな登りと下りを経てドノラティコにゴールする。レース公式リリースによると、この日は気温14度の快晴。風、路面ともに平等なコンディションのなかレースは行なわれた。

18分41秒のトップタイムでゴールするグリーンエッジ18分41秒のトップタイムでゴールするグリーンエッジ photo:RCS Sport18分58秒という暫定トップタイムをマークしたのは3番手スタートのガーミン・バラクーダ。これを、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)擁する10番手スタートのレディオシャック・ニッサンが0秒に満たない差で塗り替える。

しかしグリーンエッジの走りはずば抜けていた。なんとレディオシャック・ニッサンのタイムを17秒更新する18分41秒でゴール。平均スピード54.3km/hをマークしたグリーンエッジのタイムを塗り替えるチームは最後まで現れなかった。

ステージ優勝を飾ったグリーンエッジが表彰台に登るステージ優勝を飾ったグリーンエッジが表彰台に登る photo:Riccardo Scanferlaディフェンディングチャンピオンのカデル・エヴァンス(オーストラリア)を擁するBMCレーシングチームは失意のステージ17位。調子の上がらないフィリップ・ジルベール(ベルギー)がレース前半で隊列から脱落するなど、チームとして精彩を欠く結果を残している。

オーストラリアンチームとして今年誕生し、初戦ツアー・ダウンアンダーで早速総合優勝を飾ったグリーンエッジ。オーストラリア選手権ではダブルタイトルを獲得しており、これがチームとしてシーズン4勝目。スピードある選手を集めたメンバー構成の強みを存分に発揮した。

リーダージャージに袖を通したマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)リーダージャージに袖を通したマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ) photo:RCS Sport先頭でゴールラインを切ったのは、昨年ミラノ〜サンレモを制し、今年エーススプリンターとしてグリーンエッジに移籍したマシュー・ゴス(オーストラリア)。25歳のエーススプリンターは「このティレーノ〜アドリアティコはチームにとっても自分にとってもシーズン序盤の大きな目標レース。これはパーフェクトなスタートだ」と喜びを語る。

翌日からゴスはトップスプリンターたちと対峙する。注目されるのは、昨年までのチームメイトであるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)との闘いだ。「最後にカヴェンディッシュと闘ったのは昨年の世界選手権(ゴスは2位)。彼はもちろん速いけど、結果をひっくり返したい。他のチームに対して後手に回る必要は無くて、チームとして積極的に動き、リーダージャージをあと2日間守りたい」とゴス。

また、連覇の懸かったミラノ〜サンレモに関してゴスは「自分のコンディションは昨年と同等。昨年は調子のピークをミラノ〜サンレモに合わすことが出来た。今年はもう少し良いコンディションで挑みたい。この勝利は自分のやる気に繋がるよ」と語っている。

選手コメントはレース公式リリースより。

ステージ2位・17秒遅れ レディオシャック・ニッサンステージ2位・17秒遅れ レディオシャック・ニッサン photo:Riccardo Scanferlaステージ3位・17秒遅れ ガーミン・バラクーダステージ3位・17秒遅れ ガーミン・バラクーダ photo:Riccardo Scanferla
ステージ4位・23秒遅れ チームスカイステージ4位・23秒遅れ チームスカイ photo:Riccardo Scanferlaステージ17位・58秒遅れに沈んだBMCレーシングチームステージ17位・58秒遅れに沈んだBMCレーシングチーム photo:Riccardo Scanferla


ティレーノ〜アドリアティコ2012第1ステージ結果
1位 グリーンエッジ               18'41"
2位 レディオシャック・ニッサン          +17"
3位 ガーミン・バラクーダ             +17"
4位 チームスカイ                 +23"
5位 アスタナ                   +30"
6位 チームサクソバンク              +38"
7位 アックア・エ・サポーネ            +39"
8位 カチューシャ                 +40"
9位 アージェードゥーゼル             +43"
10位 ロット・ベリソル               +45"
11位 ランプレ・ISD                 +46"
12位 ファルネーゼヴィーニ             +47"
13位 ヴァカンソレイユ・DCM            +51"
14位 オメガファーマ・クイックステップ
15位 リクイガス・キャノンデール           +55"
16位 ラボバンク                   +57"
17位 BMCレーシングチーム             +58"
18位 コルナゴ・CSFイノックス           +1'09"
19位 モビスター                  +1'11"
20位 FDJ・ビッグマット             +1'18"
21位 エウスカルテル               +1'25"
22位 コロンビア・コルデポルテス         +1'45"

個人総合成績
1位 マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)          18'41"
2位 スヴェイン・タフト(カナダ、グリーンエッジ)
3位 セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、グリーンエッジ)
4位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、グリーンエッジ)
5位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ)
6位 バーデン・クック(オーストラリア、グリーンエッジ)
7位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)   +17"
8位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)
9位 ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、レディオシャック・ニッサン)
10位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)

新人賞
キャメロン・マイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ)

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla