2012年2月2日、ベルギーでクラシックシーズンが開幕した。伝統のオンループ・ヘットニュースブラッド(UCI1.HC)は3名によるスプリントに持ち込まれ、トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)を下したセプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)が金星を飾った。

パヴェ(石畳)区間でラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)が落車パヴェ(石畳)区間でラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)が落車 photo:Cor Vosオンループ・ヘットニュースブラッドは、ヘットニュースブラッド紙が1913年に創設したロンド・ファン・フラーンデレン(フランドル)に対抗して、ヘットフォルク紙が1945年に創設したセミクラシック。

以降「オンループ・ヘットフォルク」として開催されていたが、2009年にフランドルと同じヘットニュースブラッド紙にスポンサーが変更され、現在の名称に変更された。

3度目の優勝を狙ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)は脱落3度目の優勝を狙ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)は脱落 photo:Cor Vos今年で開催67回目。このセミクラシック初戦オンループを皮切りに、ベルギーのクラシックシーズンが始動する。

ヘントを発着する200kmのコースには、石畳が9カ所、そして急坂が10カ所詰め込まれている。フランドルにも登場するレベルグやモーレンベルグが終盤に登場。4月1日に開催されるフランドルに向け、ベルギー国内は盛り上がりを見せていく。

セプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)率いる先頭グループセプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)率いる先頭グループ photo:Cor Vosレースの決定的な動きは、ゴールまで59kmを残したターインベルグで生まれる。最大勾配15.8%・長さ530mの登りでボーネンが動き、チームメイトのドリス・デヴェナインス(ベルギー)、2009年大会の覇者トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)、2010年大会覇者フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)、マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)、マッティ・ブレシェル(デンマーク、ラボバンク)、ファンマルクが合流する。

2006年と2008年大会の覇者フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)は脱落。ボーネン率いる精鋭グループは、それまで逃げていた選手たちを抜き去って先を急いだ。

セプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)がオンループ・ヘットニュースブラッドを制すセプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)がオンループ・ヘットニュースブラッドを制す photo:Cor Vosすると、ゴール31km手前に位置する全長2300mの石畳区間パッデストラートで、ファンマルクがペースを上げてセレクションをかける。これによりフースホフトとブレシェルが脱落し、先頭はチームスカイ2名、オメガファーマ・クイックステップ2名、そしてファンマルクという展開に。ここからヘイマンとデヴェナインスが遅れ、ファンマルク、ボーネン、フレチャのトリオが先行した。

後続を1分引き離した3名は、互いにアタック、そして互いに牽制しながらラスト1kmアーチを通過。ボーネンが先に仕掛け、これにファンマルクが反応する。

表彰台、ボーネンやフレチャを破ったセプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)が頂点に表彰台、ボーネンやフレチャを破ったセプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)が頂点に photo:Cor Vosゴールに向かって突き進むボーネンをかわし、抜き去ったファンマルクが歓喜のガッツポーズでゴールした。これまで数々のクラシックを制しているボーネンによる大会初制覇はならず。

現在23歳のファンマルクは、昨年アメリカのチームガーミン入り。トップスポート・フラーンデレンに所属していた2010年のヘント〜ウェベルヘムで2位。今年からUCIワールドツアーに組み込まれるE3プライス・フラーンデレンで、昨年4位に入っている。

キャリア最大の勝利を飾ったファンマルクは「今日、夢が叶った!」とコメント。並みいるクラシックレーサーを力でねじ伏せた意味は大きい。後続集団の先頭でゴールしたチームメイトのハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア)とともに、クラシックシーズンに向けて注目の存在となる。

4位のハウッスラーは「セプは一日中ずっと強かった。最も強い男が先頭グループに入り、そしてスプリントで勝った。まさに努力の賜物だ。クラシックシーズンにおける素晴らしいスタートであり、この勝利はチームに自信を与えてくれる」とコメントしている。

ベルギーでは、翌2月26日には第65回クールネ〜ブリュッセル〜クールネ(UCI1.1)が開催される。例年集団スプリントに持ち込まれる平坦レースであり、今年はカヴェンディッシュやグライペル、ファラー、レンショーらが出場。パリ〜ニース(UCIワールドツアー)出場を控えた新城幸也(ユーロップカー)も出場する予定だ。

レース展開はレース公式サイトならびにストリーミング映像、選手コメントはガーミン・バラクーダ公式サイトより。

オンループ・ヘットニュースブラッド2012
1位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)       4h52'34"
2位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)   +25"
5位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
6位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
7位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 マチュー・ラダニュ(フランス、FDJ・ビッグマット)
9位 アレクサンドル・ピショ(フランス、ユーロップカー)
10位 スタフ・シェイリンクス(ベルギー、アクセントジョブス)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos