明治神宮外苑を走り抜ける学生クリテも今年で6回目。鹿屋体育大学の黒枝士揮と塚越さくらが男女で優勝。シリーズチャンピオンは大中巧基(早稲田大)に。同大では初の獲得だ。

グループ1 銀杏並木は冬の装いグループ1 銀杏並木は冬の装い photo:Hideaki.TAKAGI
都心の神宮外苑を走るクリテリウムとして定着した明治神宮外苑大学クリテリウム。
大会当日の2月19日(日)は朝から快晴。学連登録者だけでなく、一般参加やJCF登録者のレースもあり、会場は活気付く。さらに大学対抗成績もある大会なので、各大学の応援団も来場しエールを送る。もちろん大学OB・OGらも駆けつけ母校の応援をする。さながらワンデイの都会でのインカレだ。

マスターズTT優勝のポール・ソールズベリー(イナーメ・アイランド信濃山形)マスターズTT優勝のポール・ソールズベリー(イナーメ・アイランド信濃山形) photo:Hideaki.TAKAGIマスターズ 小畑郁(なるしまフレンド)が優勝マスターズ 小畑郁(なるしまフレンド)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGIアジア選帰りの選手たちも

会場には意外な選手たちも来場。前日の2月18日までマレーシアで行われたアジア選手権に参加した学生選手たちだ。この日の朝に成田空港へ到着、その足で神宮の会場入り。大会日程後半のロードに出場した学生選手全員だ。早川朋宏(法政大学)、山本元喜(鹿屋体育大学)、雨宮正樹(日本大学)、上野みなみ(鹿屋体育大学)さらに高校生の徳田優(京都・北桑田高校)だ。上野はトラック・団体追い抜きとロードTTで2位、山本はロードTTで2位で、合計3つのメダルを披露した。また、雨宮はこの日のレースにも出場、タフさを見せた。

マスターズは小畑郁が連覇

コースは外苑内道路を使った1周1.5kmで、クリテリウムはすべて2周ごとのポイントレース方式。

JCF登録者30歳以上のマスターズクラスは個人TTとクリテリウムが行われ、TTはポール・ソールズベリー(イナーメ・アイランド信濃山形)が、クリテリウムは小畑郁(なるしまフレンド)が優勝。小畑はポイント制クリテのすべての周回を先頭で通過して完全優勝。昨年に続く連覇達成だ。

グループ2A、2Bでは日本大学勢が圧倒、特に2Aではアジア選から帰国数時間で参加の雨宮が動いて、日大でワン・ツーを達成した。

自転車歴2年弱の塚越さくらが優勝

女子は鹿屋体育大学と日本体育大学の戦いに。序盤から塚越と小島蓉子・古河麻美(日本体育大学)が争う。鹿屋勢は塚越に、日体大も小島にポイントを集中させる。が、塚越が常に先着してリード。ゴールポイントは小島が取って一矢を報いたが塚越が優勝。
塚越は自転車競技を始めたのは同大に入学してからで、経験はまだ2年に満たないというから驚きだ。

女子 スタート女子 スタート photo:Hideaki.TAKAGI女子 ゴール、塚越さくら(鹿屋体育大学)が優勝女子 ゴール、塚越さくら(鹿屋体育大学)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI


メルボルン大学が参戦のグループ1

グループ1 リーダージャージを着る大中巧基(早稲田大学)グループ1 リーダージャージを着る大中巧基(早稲田大学) photo:Hideaki.TAKAGIグループ1 逃げ続ける4人グループ1 逃げ続ける4人 photo:Hideaki.TAKAGIグループ1 終盤に入る集団グループ1 終盤に入る集団 photo:Hideaki.TAKAGIグループ1 ゴール、堀内俊介(中央大学)が1位通過。黒枝士揮(鹿屋体育大学)が優勝グループ1 ゴール、堀内俊介(中央大学)が1位通過。黒枝士揮(鹿屋体育大学)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI男子グループ1は3つの勝利の行方が注目された。まずはこの神宮での個人優勝と学校対抗の優勝。さらに年間11戦の学生ロードレースカップの最終戦としての総合優勝だ。総合優勝者へは門田杯が贈られる。前戦までのリーダーは大中。しかしこの神宮の成績で逆転が考えられる差だ。

海外からオーストラリア・メルボルン大学の4人も参加。特にエリック・シェパードは12年オーストラリア選手権U23ロードで2位、UCIレースのステージ優勝もあり強豪。そしてシーズン真っ盛りの南半球からの参加とあって、コンディションでも優位に立つ。

グループ1は20周30km、ポイントは9回+ゴールの計10回で行われた。
1回目のポイントから優勝候補の黒枝が1位通過、窪木一茂(日本大学)も2位通過で両校のエースが序盤から競う。
2回目のポイント後に4人が抜け出す。メルボルン大学のシェパードとピーター・ブラウンシュタイン、渡辺洋平(立教大学)、箭内優大(法政大学)だ。4人はポイント周回2回分を逃げ続ける。

4人の逃げを追うのは、乗せていない鹿屋、日大、中央大勢らだ。この追走でそれぞれの大学のアシスト勢の足がそがれていく。

逃げを吸収後は窪木、黒枝らがポイント争いをするが得点は分散する。僅差で迎えた最終局面、9回目のポイントを終えた時点で、窪木18点、黒枝16点。ゴールは20点からと大きく予断を許さない。

ゴールへの直線は窪木がスパートをかけるが堀内俊介(中央大学)が伸びて1着に。黒枝は追い込んだが2着に。結果、逆転で黒枝が優勝。鹿屋体育大は、内間康平、野口正則、吉田隼人と続く連覇記録を4に伸ばした。窪木は昨年に続いて2位に。

注目のシリーズ戦総合優勝は大中が守って、早稲田大学で初の総合優勝者となった。大中は「4年の入部先輩とポイントを見ながら年間を通じてリーダーを保つことが出来た。作戦面で佐々木龍さんの力にとても助けられた。12年度は連覇したいことと、インカレロードの優勝が目標です」と語る。

鹿屋体育大学は、吉田隼人と山本元喜を欠いても黒枝が結果を出した。展開の誤算はメルボルン大学勢を中心とした途中の逃げだが、他大学とともに追走に回った野口と石橋学の存在も大きい。
「勝つ自信はあったが、ゴールポイントで堀内さんに負けたことが悔しい」と語る2年生の黒枝。今年の活躍が楽しみだ。

日本大学はグループ2を制覇、1でも窪木を中心に活躍。そして卒業する窪木の存在を埋めるように後輩が育っている。今年も鹿屋・日大を中心に、中央大、法政大、早稲田大などが各大会で競い合う姿が見られそうだ。

アジア選手権銀メダル獲得の上野みなみ(鹿屋体育大学)と山本元喜(鹿屋体育大学)アジア選手権銀メダル獲得の上野みなみ(鹿屋体育大学)と山本元喜(鹿屋体育大学) photo:Hideaki.TAKAGIシリーズ戦総合優勝の大中巧基(早稲田大学)シリーズ戦総合優勝の大中巧基(早稲田大学) photo:Hideaki.TAKAGI


結果
グループ1
1位 黒枝士揮(鹿屋体育大学)31点
2位 窪木一茂(日本大学)29点
3位 堀内俊介(中央大学)25点
4位 ピーター・ブラウンシュタイン(メルボルン大学)16点
5位 住吉宏太(日本大学)12点
6位 渡辺洋平(立教大学)10点
7位 大中巧基(早稲田大学)9点
8位 西沢倭義(明治大学)6点
9位 安井雅彦(東京大学)5点
10位 佐々木勇輔(早稲田大学)4点

グループ1大学対抗
1位 日本大学
2位 早稲田大学
3位 中央大学

女子
1位 塚越さくら(鹿屋体育大学)33点
2位 小島蓉子(日本体育大学)24点
3位 古河麻美(日本体育大学)17点
4位 福本千佳(同志社大学)14点
5位 木村亜美(鹿屋体育大学)9点
6位 伊藤杏菜(Ready Go JAPAN)5点

2011年度全日本学生ロードレースカップ・シリーズ最終ランキング

1位 大中巧基(早稲田大学)196点
2位 入部正太朗(早稲田大学)164点
3位 山本隼(中央大学)146点
3位 安井雅彦(東京大学)146点
5位 西沢倭義(明治大学)142点
5位 金井誠人(明治大学)142点


photo&text:高木秀彰

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