2012年2月7日、チームサクソバンクのビャルヌ・リース監督とアルベルト・コンタドール(スペイン)はマドリードで記者会見を開いた。リース監督は、今年8月までの出場停止処分を受けたコンタドールとの契約を解除すると発表。コンタドールは「強くなって戻ってくる」と強調した。

アルベルト・コンタドール(スペイン、チームサクソバンク)アルベルト・コンタドール(スペイン、チームサクソバンク) photo:Cor Vosフランスのレキップ紙によると、チームサクソバンクがマドリードで開いた記者会見には、リース監督とコンタドール本人が出席した。

会見の冒頭でリース監督は「我々チームは、スポンサーとともに、これからもアルベルト・コンタドールを100%サポートしていく。これからの将来について彼と話し合う必要がある。サイクリストであると同時に、ファンタスティックな人物である彼との関係を継続することに、何の問題も無い」と語った。

しかし現実的には出場停止処分を受けている選手との契約はUCI(国際自転車競技連合)のルール上、許されない。「チームはCASの裁定に従う。アルベルトは、現状、チームメンバーとしてレースに出場することができない。従って、彼との契約を継続することはできない」。コンタドールとチームサクソバンクの契約は解除される。

会見でコンタドールは改めて自身の潔白を主張。「夢は崩れ去った。CASが出した裁定は決して納得のいくものではない。この数ヶ月間、僕は自分の潔白を証明するため、すべての手段を講じてきた。5時間にわたって椅子に座らされ、攻撃的な質問を受けながらのウソ発見器テストも行なった。(2011年11月21〜24日の)最後のCAS聴聞会で、陪審員にこう聞いたんだ『潔白を証明する方法が他にあるなら教えてほしい。何でもする』と。もう何をしたらいいのか分からない」。現在コンタドールの弁護団はスイス連邦裁判所への提訴の可能性について検討しているという。

出場停止処分を受けた場合は、現役引退も辞さないとかつて発言していたコンタドールだが、「これからもレースは続けていく。今まで通りクリーンなレースを続ける。今は少し士気が下がっているけど、僕は強くなって戻ってくる」と、レース復帰へのやる気を見せた。コンタドールの出場停止処分は今年の8月5日まで。その後どのチームでレースに復帰するか明言は避けたが、リース監督の言葉によると、チームサクソバンクがその第一候補になるだろう。

リース監督の悩みの種は、ツール制覇の最有力候補を失ったことだけではない。CASの裁定により、2011年1月25日以降にコンタドールが獲得したUCIポイントは全て剥奪。これまでチームの60%以上を占めていたコンタドールのポイントが無くなることで、チームの“スポーティングバリュー(競技の成績)”が大きく低下する。つまりUCIワールドツアーライセンスの継続が危ぶまれるのだ。UCIは現在コンタドールのポイント剥奪に伴ってポイントランキングを修正中であり、ライセンス委員会がチームサクソバンクのライセンスについて審査を行なうとしている。

会見内容はフランスのレキップ紙より。

text:Kei Tsuji

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