5月の熊野で圧倒的な力を見せたイタリア登録のNIPPO。対する国内勢は、実業団で熾烈な戦いを演じているシマノレーシングと宇都宮ブリッツェンが注目。昨年の個人&チーム優勝のブリヂストン・アンカー、そして選手補強したマトリックスも注目。そして鹿屋体育大学と法政大学を中心とした学生の戦いも必見。

2010年の団体走総合表彰。今年はどのチームが栄冠を手にするか2010年の団体走総合表彰。今年はどのチームが栄冠を手にするか photo:Hideaki.TAKAGI

20チーム99名が参加する今年のツール・ド・北海道。海外コンチネンタルチームなどが5チーム、国内コンチネンタルチームが4チーム、クラブチームが4チーム、学連チームが6チーム、そして地域選抜が1チームだ。
以下、ライセンスコントロールを経た、正式なスタートリストからチーム・選手の見どころを紹介しよう。

2011年ツール・ド・熊野で圧勝したダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO2011年ツール・ド・熊野で圧勝したダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO photo:Hideaki.TAKAGI2010年大会で総合優勝のチームブリヂストン・アンカー2010年大会で総合優勝のチームブリヂストン・アンカー photo:Hideaki.TAKAGI国内レースでは圧倒的な力を見せるシマノレーシング国内レースでは圧倒的な力を見せるシマノレーシング photo:Hideaki.TAKAGI宇都宮ブリッツェンは復活の増田成幸を中心にする宇都宮ブリッツェンは復活の増田成幸を中心にする photo:Hideaki.TAKAGIマトリックスパワータグはベテラン真鍋和幸と新加入の2人に注目だマトリックスパワータグはベテラン真鍋和幸と新加入の2人に注目だ photo:Hideaki.TAKAGI10日前のインカレロード優勝の早川朋宏。U23の枠にとらわれない走りに注目10日前のインカレロード優勝の早川朋宏。U23の枠にとらわれない走りに注目 photo:Hideaki.TAKAGI2010年大会でステージ優勝するなど活躍の鹿屋体育大学。今年も期待だ2010年大会でステージ優勝するなど活躍の鹿屋体育大学。今年も期待だ photo:Hideaki.TAKAGIその中心はダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPOだ。5月のツール・ド・熊野で圧勝したメンバーを中心に編成、北海道でも強さを見せる。対する国内勢は混戦で、各コンチネンタルチームの総合力は互角と言ってもいい。昨年の覇者、清水都貴は7月の鎖骨骨折明けで臨む。そして昨年は学連選手がステージ優勝をするなど、学連のレベルが上がっている。彼らはU23はもとより、ステージや総合を狙うレベルにもある。

海外チーム 5チーム
ジャイアント・ケンダ・サイクリングチーム(チャイニーズタイペイ)
アジアツアーでは常に上位に来る強豪チーム。同時開催のツアー・オブ・チャイナでは総合首位争いの中心だ。チームの半分がそれに出場しているため、強さは未知数。ワン・インチーは08年に梅丹本舗GDRに所属、日本に馴染みある選手だ。

ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO(イタリア)
オールラウンダーのカンパニャーロ・シモーネ、ヒルクライマーのルビアーノ・チャヴェス・ミゲール・アンジェル、スプリンターのリケーゼ・マッシミリアーノに、佐野淳哉、小森亮平で臨む。誰もが他チームならばエース格の強豪。リケーゼはアルゼンチン出身でジュニア時代に1kmTTで1分4秒台を出した。ジロで2勝。ルビアーノはコロンビア出身でジロ出場経験を持つ。この2人はそれぞれ世界選手権にも出場する。昨年北海道個人総合2位の佐野、そして小森が加わり各賞を独占する勢いがある。

アルベー・ゲブリューデル・ヴァイス-オーベルンドルファー(オーストリア、KTM)
オーストリアのチームで昨年も来日。個人総合6位の成績を残す。プリア・ラース、ハシベダー・トーマスは昨年も走っている。

トレンガヌ・サイクリングチーム(マレーシア)
福島晋一は、この9月11日に終えたツール・ド・ブルネイで総合優勝を果たし、調子を上げたまま北海道を走る。独走力、登坂力、スプリント力をそれぞれ高い次元で持ち合わせるオールラウンダー。福島のアタックは必ず勝敗に関わる重要なものだ。奈良基は10年全日本個人TT2位、スピードだけでなく登坂力も侮れない強さを持つ。レースをかき乱すこと必至だ。

大韓民国自転車競技連盟チーム
昨年に出場したジャン・キュングは個人総合山岳賞を獲得した。今年も厳しい山岳が控え、積極的に動くだろう。

国内チーム 9チーム
宇都宮ブリッツェン 
驚異の復活を遂げた増田成幸を中心とする。スプリンターの辻善光、登坂力とスピードを高い次元で持ち合わせる中村誠、アグレッシブな走りで常に上位に入る初山翔、ベテラン柿沼章の磐石の体制で臨む。狙うは頂点だ。

シマノレーシングチーム
若返りを図ったチームは畑中勇介、西薗良太を中心に戦う。鈴木譲も加わり、展開によっては誰もがエースになりうる強さを持つ。青柳憲輝は、3年前に今回の第3ステージのゴールで3位に入っており、成長した姿も見られる。若手を束ねるのは鈴木真理。実業団レースでは押さえ役だが、北海道のゴールスプリントは当然狙う。

チーム・ブリヂストンアンカー
昨年は個人&チーム総合優勝。その清水都貴は7月に鎖骨骨折しており本調子ではないが、逆境を跳ね返す走りを見たい。チームとしては井上和郎を中心にすると見ていいだろう。そして昨年総合優勝の最大の功労者、狩野智也がいつでも控える心強さがある。さらに普久原奨、清水良行の布陣で臨む。

マトリックスパワータグ
今年加入のヴィンチェンツォ・ガロッファロとマリウス・ヴィズィアックが注目だ。特に山岳に強いガロッファロに期待したい。実力者の真鍋和幸は今年表彰台に多く乗る。08年大会ではステージ2位にも。表彰台中央が欲しいところだ。さらに向川尚樹、都道府県ロード2位の山下貴宏の布陣で臨む。

シエルヴォ奈良サイクリングチーム
今季目覚しい活躍の澤田賢匠と、おきなわ3位の実績を持つ松村光浩を中心に、スプリンターの高塚亮輔、立命館大学の河賀雄大と前園浩平を入れて臨む。この2人は5日前の加東ロードE1でワン・ツーを飾っている。

湘南ベルマーレ
スプリンターでベテランの小室雅成を中心に、アタッカーの斉藤祥太、粘り強い山根理史、原川浩介、頓所哲郎で臨む。バランスの取れた布陣で、もちろん上位以上の成果を狙う。

なるしまフレンドレーシングチーム八王子
実業団レースで安定して上位入賞する岩島啓太を中心とする。これに二戸康寛、小畑郁、櫻井一輝、若生正剛の布陣で臨む。

パールイズミ・スミタ・ラバネロ
積極的な走りで各レースで入賞多数の栂尾大知を中心とする。さらに大久保陣、藤岡克磨、上村領佑、角田昌洋の布陣で臨む。

北海道地域選抜
昨年に山岳ステージで逃げ続けるなど大活躍した、ブライアン・バークハウスが走る。今年も山岳を中心に暴れ回るだろう。さらに栗栖嵩、今田裕一、吉村拓斗、大坪優介の布陣で臨む。

学連チーム 6チーム
鹿屋体育大学
もはや大学生の域を超えた活躍を見せる同大。特に海外遠征に多くを送り込む。しかし10日前のインカレロードでは優勝が確実視されたがまさかの惨敗に終わった。必ずや雪辱を果たすべくこの北海道に乗り込む。なお、U23では連続同大選手が獲得している。しかし目標はその記録保持でなく、上位に入ることだ。昨年は山本元喜が大学生初のステージ優勝を果たしている。

京都大学
実績のある奥村将徳に須々田匠、福原成浩、池内雅裕さらに東京大学の安井雅彦が出場。安井は2Days木祖村第2ステージ3位、インカレ個人追抜き6位と実績を挙げている。

順天堂大学
10日前のインカレロードで活躍したメンバーを中心とする。インカレ5位の中尾佳祐、7位の天野克紀、9位の辻本尚希のほか、布施光、穂積昴佑の布陣で臨む。

法政大学
10日前のインカレロードチャンピオンの早川朋宏を中心とする。鈴木近成、村崎海岳、福田大二郎、箭内優大の布陣で臨む。

早稲田大学
三浦康嵩を中心とし、スピードのある佐々木龍は平坦ゴールで力を見せるだろう。さらに実績のある大中巧基、田渕圭、佐々木勇輔の布陣で臨む。

北海道大学
昨年に本大会を完走し、インカレでもアタックを見せた冨岡亮太に注目。さらに木村竜太郎、相澤孝至、荒井博紀、三国海音の布陣で臨む。


NIPPOのカンパニャーロはじめチャベスと佐野、福島、増田、畑中と西薗、井上、ガロッファロ、吉田隼人、早川朋宏。彼らが個人総合上位の戦いをするだろう。
U23は吉田隼人と山本元喜、早川朋宏、青柳憲輝、安井雅彦らの戦いになるだろう。青柳はチームの走りが優先だが、そのままでも高いポテンシャルを持つので期待できる。

photo&text:高木秀彰
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