1回目の休息日を迎えたブエルタ・ア・エスパーニャ。ここまでのステージで逃げに乗り、スプリンターの勝利を支えてきた土井雪広(スキル・シマノ)は、大西洋に近い港町ポンテベドラのホテルで久々にゆっくりとした一日を過ごした。現地入りした辻啓が今後の展望を訊く。

チームTTのスタートを切るスキル・シマノチームTTのスタートを切るスキル・シマノ photo:Unipublic身体のコンディションは良好?
「予想していたより暑くて、日焼けが半端じゃない(笑)でも今日(休息日)から涼しくなって、雨も降っている。昨日はタイムトライアルの後、480km離れたホテルに6時間かけて移動。今日は午前中に1時間ほどホテル周辺を走って、登りで筋肉に軽い刺激を入れた。とにかく身体が絞れているので、登りでの走りが軽い。パワーは変わらず出ていて、シーズン始めの好調時よりも身体の状態は良いと思う。第6ステージで逃げて、第7ステージで集団コントロールに入って、そして第8ステージはとても調子が良かった。自分のために最初から最後まで走ってみたいと思うほど調子が良い。」

スペインのコースの特徴は?
「最初はレーススピードの速さとか集団の大きさに戸惑ったけど、普段走っているレースと変わらないことに気付いた。全体的に道が広くて走りやすい。でも平坦ステージでも山が多いので、ピュアスプリンターが勝負できたのはここまで僅かに2ステージ。全体でも4ステージぐらいしか無いかもしれない。今年のブエルタは前半からコースがキツくて、それは他チームの選手も同意している。カテゴリー3級の山岳でも予想以上にキツかったり。第5ステージのゴール手前の2級山岳(バルデペニャス峠)も、日本で走っている(大阪の)鍋谷峠より厳しかった。」

下りをこなす土井雪広(日本、スキル・シマノ)下りをこなす土井雪広(日本、スキル・シマノ) photo:Unipublicスキル・シマノのチーム内の雰囲気は?
「ステージ優勝したこともあって雰囲気は良い。キッテルが優勝した日は、チームメイトとシャンパンで祝杯をあげた。やはり自分がグランツールの勝利に貢献したというのは特別。しかもしっかり勝ってくれるから頼もしい。集団コントロールは本当にキツいけど、ラスト5kmあたりまでポジションを守ってあげれば、絶対に勝ってくれる。でもチームにスプリンターがいる限り自分の走りは出来ない。キッテルにとっては明日の第11ステージがキツいと思う。」

ブエルタの半分が終了してまだ11ステージ残っているが?
「これまでドイツツアーなどで、プロツアークラスの10日間のステージレースは経験積み。でも、ここからは未知の世界。スキル・シマノとしてチームタイムトライアルで7位に入って、個人として逃げに乗って、スプリンターの優勝を支えて、順調に10ステージを走ってきたので満足している。チームのために走っているので、最後まで追い込んでいない。だからまだ疲労困憊という訳ではない。次の休息日には言うことが変わっているかも知れないけど(笑)今はホッとしている。もう距離の長い山岳ステージは無いし、よっぽどのことが無い限り完走は大丈夫。」

逃げグループを率いる土井雪広(日本、スキル・シマノ)逃げグループを率いる土井雪広(日本、スキル・シマノ) photo:Unipublic山岳ステージでの役割は?
「山岳ステージではエーススプリンターのアシストに入るのか、クライマーのアシストにつくのか、それは監督の判断。ミーティングでの打ち合わせ通りに動く必要がある。前半のステージはとにかくエーススプリンターを待ち続けた。第8ステージでは監督と連絡が噛み合わず、エーススプリンターを待たなかったので怒られた。逆に第9ステージは山岳アシストを務めた。」

ブエルタ後半戦の展望・目標を
「もう一回逃げたい。日本だけじゃなくて、世界中の視聴者の方が見ているグランツールで逃げるのは、やはり特別。逃げた次の日の歓声は凄かった。この先、逃げにチャンスがあるのはおそらく第11・13・18ステージ。やっぱり逃げたくても、チームメイトの力無しじゃ逃げれない。逃げた日も、チームメイトがアタックしていて、逃げたい僕は上手くタイミングを合わせて逃げに乗った。この先のバスクのステージでは歓声が大きくなると思う。もう一回挑戦したい。」

text:Kei Tsuji in Verin, Spain