今大会2回目の山頂ゴールとなったブエルタ・ア・エスパーニャ2011第9ステージ。小集団での競り合いを制してダニエル・マーティンがステージ優勝した。マイヨロホはバウク・モレマに移行。明日のTT前にブラドレー・ウィギンズが大きくタイムを稼いだ。

ステージ優勝と山岳賞のダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ)ステージ優勝と山岳賞のダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ) photo:CorVosステージ優勝と山岳賞のダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ)

― ゴール前の数キロについて
向かい風だったけれど、ぼくの調子はよかった。ヴィンチェンツォ・ニーバリに捉まったけど、この向かい風では最後までふたりで先頭を走るのは難しいと思った。
ウィギンズが戻ってきたのは驚いたね。スプリント勝負に備えたんだけど、うまくいった。チームのガーミン・サーヴェロにも満足している。ぼくのためによく働いてくれた。ぼくたちはスプリントだけじゃなく、山岳ステージでも勝てることが示せた。

― タイムトライアルについて
明日のタイムトライアルについては、まだ考えていない。毎日ワンデーレースのような気持で走っている。今までこんなに長いタイムトライアル(47km)を経験したことはない。平坦で風も強いかも知れない。ぼくが得意なコースとはいえないよ。今は今日の勝利を考えたいね。

― 将来の可能性について
今は今日のステージについて話すほうがいいな。世界最高のクライマーたちと競って、グランツールのステージで勝利した。将来は楽しみだけれど、今を考えたい。
(ブエルタ公式リリースより)

ここには最高のクライマーたちが集まっている。だからこのステージでの勝利は、ぼくにとって大きな意味がある。

ぼくはこういう小集団での勝負が得意なんだ。第4ステージのシエラネバダでは、それを証明できたはずだ。3位に入ったからね。この先も楽しみだけど、(将来よりも)今のほうを考えたい。毎日ブエルタの体験を積み重ねている。今は、この勝利がうれしい。

この勝利にはとても満足している。明日のタイムトライアルは、初めて経験する長さ(訳註:47km)の平坦コースだ。どこまでやれるか様子を見たい。このブエルタではまだ山岳が残っているから、できれば上位を狙っていきたい。


総合1位・複合賞・ステージ2位のバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)総合1位・複合賞・ステージ2位のバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) photo:CorVos総合1位・複合賞・ステージ2位のバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)

(スタート前)
(前日のステージ3位という)結果に満足したよ。あんな激坂でボーナスタイムを少し(8秒)稼げたのはすごいことだった。今日のステージは、また違ったタイプだけど5位までには入りたい。

(ゴール後)
(マーティンのアタックに)驚いてしまった。今日唯一のミスだ。ステージ優勝できる脚は残っていたから、ダニエル・マーティンに勝てたはずなんだ。単なる注意不足だ。その代償だね。残念だ。
調子は言うまでもなく素晴らしかったから、あのちょっとしたミスさえなければ。僕が左のほうを見ているときに、彼(マーティン)が右のほうでウィギンズをかわして行った。その先が少し下りになっていて、この下りが想定外だった。自分でも情けない。そうじゃなければ、僕は両方とも穫れたんだけどね。ともかく、このブエルタでマイヨロホは獲得できた。僕がレース前に出走サインした理由は、このためだからね。


50秒遅れでゴールラインを切るマイヨロホのホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)50秒遅れでゴールラインを切るマイヨロホのホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Unipublicポイント賞・ステージ25位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

(スタート前)
たぶん逃げ切った選手が勝つだろう。今日はぼくたちがレースをコントロールする日じゃないし、チームメイトは少し回復する必要がある。でも、もしかしたらチームがぼくを牽いて、また勝たせてくれるかも知れない。ボーナスタイムはほしいからね。この登りがもう少しきつくて短ければいいんだけど。どうなるかは風次第だ。風でレースの難易度が決まることがあるんだ。

(ゴール後)
チームはいつも通りにやるべき仕事をした。残念ながら、ぼくの運がない日だった。あえてポジティブに見れば、もっと悪くなっていた可能性もあった。他の選手たちに追い抜かれて、遅れていくのに気がついたので、心を落ち着かせてペースを守ることにした。明日はもっとタイムを失なうだろうけど、このことは織り込み済みだ。たぶん厳しい一日になるだろう。でも、ブエルタはこの先マドリードまで続くんだ。


ステージ4位と好調だったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)

1級山岳ラ・コバティーリャを登るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)1級山岳ラ・コバティーリャを登るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Unipublic今日はもともと、 ユルゲン・ファンデンブロックやホアキン・ロドリゲスのような選手たちに対して、できるだけタイムロスを少なくする日のはずだった。自分でも驚いている。

ドーフィネ以来の本格的な頂上ゴールだったから、こんなにうまくいくとは思っていなかった。今週すでにシエラネバダの頂上ゴールはあったけれど、あそこでは痛み分けのようなものだった。

今日の展開には満足している。他の選手たちが後ろで苦しんでいる段階で、ぼくはタイムトライアルの準備に入れた。できるだけ彼らと大きくタイム差をつけたい。明日は自分でもかなりのジャンプアップを見込んでいる日だ。今日のステージで得たものは思いがけない贈り物だ??すばらしい結果だし、これ以上の成績は無理だったと思う。

今日もチームはすばらしかったし、フルーミー(チームメイトのクリス・フルーム)もよかった。彼も頭角を現わしてきて、自分の価値を示したよ。他のチームメイトたちも、この1週間ずっとミスがなかったのは驚きだ。ぼくは指ひとつ動かす必要もなかった。ぼくがナーバスになったときでさえ、彼らは僕を説得し、その問題を解決するのに最適な場所にぼくを戻してくれたんだよ。


第9ステージまでを振り返る土井雪広(日本、スキル・シマノ)

土井雪広(日本、スキル・シマノ) 写真は第6ステージ土井雪広(日本、スキル・シマノ) 写真は第6ステージ photo:CorVosこの9日間の中で得た事は様々。モチベーションの維持や、選手によって駄目だった日は落ち込み、みんなでその選手を少しでも励ます。まさにチームワークですね。
明日はサラマンカでの個人タイムトライアル。47キロ。風との戦いになりますが、追い込んで次の10日間に調子を整えられたらと思います。


ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。



translation & text : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI