平坦基調のコースで行われたツール第11ステージは集団スプリントにもちこまれ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)がグライペルを寄せ付けず勝利。昨日の借りを返した。総合成績に変動はない。

スタート地点で笑顔で話すトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)とフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)スタート地点で笑顔で話すトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)とフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Makoto Ayanoこの日も天候不順。スタート地点には大粒の雨が降りつける。選手たちは一日に渡ってこの雨とともに走ることになる。ここまでのステージで精彩を欠いた今年のジロ総合4位のジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)はスタートせず。昨年のフランス人ナンバー1フィニッシャーがツールを去った。

ブレイ・レ・ミン〜ラヴォール間の167.5kmで争われる第11ステージ。カテゴリー山岳は序盤に3級と、ゴール手前30kmで4級の2つだけの設定の、難易度の低いステージ。昨日に続きHTC・ハイロードなどのスプリンターチームが、リーダーチームのユーロップカーに替わり集団をコントロール。

雨の中、逃げを打った6名雨の中、逃げを打った6名 photo:Makoto Ayanoこの日逃げたのは6人。ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)、ラス・ボーム(オランダ、ラボバンク)、アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)、ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)、トリスタン・ヴァランタン(フランス、コフィディス)、ジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)。

逃げる6人は順調にローテーションを組み、スプリンターチームの支配から逃れようと走る。しかし4分まで開いたタイム差はその後それ以上広がらず。HTC・ハイロード勢が正確なタイムコントロールで集団を統率する。

HTC・ハイロードのダニー・ペイト(アメリカ)が集団のペースをつくるHTC・ハイロードのダニー・ペイト(アメリカ)が集団のペースをつくる photo:Makoto Ayano85km地点の中間スプリントポイントがドラージュが先頭で通過。6人が通過した3分20秒後にやってきた集団の先頭の頭を獲ったのはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)。マイヨ・ヴェールを着るフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)はうまくスプリントに絡めず、マイヨのキープに黄色信号が灯る。

この中間ポイントを過ぎて、ポイントを加算したカヴェンディッシュがパンク。すぐにホイールを交換して集団に戻ったが、雨の影響かこの日は多くの選手にパンクが発生した。残り60kmからはガーミン・サーヴェロも集団の牽引に加わる。

リーダーチームのユーロップカーが先頭前方に固まるリーダーチームのユーロップカーが先頭前方に固まる photo:Makoto Ayano残り50kmを切って、ここまで3分20秒で推移してきたタイム差が減少に転じる。スプリンターチームの仕事開始を聞いて、逃げる6人もペースを一段上げて対応。そのまま4級山岳ピュイロランスに突入する。

この登りでもガーミン・サーヴェロ、HTC・ハイロードがコントロールする集団が逃げる6人とのタイム差を削り取る。残り34kmで1分32秒差に詰める。山岳を終えてからはチームスカイやランプレ・ISDといったチームも集団牽引に加わる。6人の乱れることのない協調体制は、しばらくこの集団に対して対抗するも、残り17kmで差は1分を切る。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)がグライペルを寄せ付けずスプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)がグライペルを寄せ付けずスプリントを制した photo:Makoto Ayano大粒の雨が打ち付けるタフなコンディション。逃げる6人は残り10kmを30秒の差を持って通過。集団では総合成績を狙うチームがエースの危険回避のために上がりはじめる。残り5kmでタイム差が14秒になったところで、ボームがアタック。単独先頭に躍り出る。

だが雨の中150kmを逃げ続けたボームには分が悪い。HTC・ハイロード勢が牽引しハイスピード化する集団が残り2.2kmでボームを飲み込むと、集団内では位置取りがさらに激しさを増す。残り1kmをデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)を先頭に集団はゴールラインを目指す。

フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)は66位に沈み、マイヨ・ヴェールを失ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)は66位に沈み、マイヨ・ヴェールを失った photo:Makoto Ayanoガーミン有利かと思われたスプリントだが、仕事人マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)がきっちりカヴェンディッシュを残り250mで解き放つと、その世界最高の加速力で一気に飛び出す。カヴェンディッシュの後ろを取れなかったグライペルは、それをみてから別のラインでスプリントを開始したが、時すでに遅し。かろうじてカヴの後ろに入るのが精一杯だった。

昨日は最高速度にのせることができずにグライペルに力負けしたカヴェンディッシュが、今日は最高の形でグライペルを寄せ付けないスプリント勝利。昨日の借りを返すとともに、今ツールでステージ3勝目を記録。さらに、ジルベールがポイント外の66位でゴールしたため、マイヨ・ヴェールまで獲得した。

お互いの健闘を讃え合うカヴェンディッシュとグライペルお互いの健闘を讃え合うカヴェンディッシュとグライペル photo:Cor Vos3位にはタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)が入り、ここまでステージ勝利しているスプリンターが順当に上位を占めた。昨日に引き続き、カヴェンディッシュのために一日中仕事をしたHTC・ハイロードのチーム力は強力だった。この日逃げに乗ったアングルヴァンはツイッターで「HTCの2人(ペイトとバク)は僕が逃げ切るには強すぎた。彼らは6人の全力逃げに対して120kmで2分を取り返してしまった。」と振り返っている。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)
「昨日は加速しきれなかった。だから今日は加速のタイミングに充分注意を払った。レンショーが離れたとき、250mを残していたがうまくスピードを載せることができた。僕たちは今日もうちが最強のスプリンターチームであることを証明する完璧なトレインを組んだ。一日中逃げとのタイム差を3分に維持するように働いてくれたんだ。

最後には他のチームも多少手助けをしてくれたけれど。でも総合10位以内に入っているマルティンやベリトスが僕のために走ってくれたんだ。僕は最高のチームに囲まれているんだ。今年はこのマイヨ・ヴェールを守りたい。中間スプリントを獲りにいって、長いことこのジャージに向けて戦ってきたんだ。差は15ポイントしか無く、多いとは言えないけど戦い抜くよ。」

ツール・ド・フランス2011第11ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)   3h46'07"
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
4位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
5位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
6位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
8位 セバスティアン・テュルゴー(フランス、ユーロップカー)
9位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
10位 ウィリアム・ボネ(フランス、FDJ)

個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)           45h52'39"
2位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)           +1'49"
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)          +2'26"
4位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)      +2'29"
5位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)      +2'37"
6位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)              +2'38"
7位 ピーター・ヴェリトス(スロヴェニア、HTC・ハイロード)
8位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)         +2'43"
9位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)      +2'55"
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)       +3'08"

11位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)      +3'36"
12位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)           +3'37" 
15位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)            +4'01"
16位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)   +4'07"
20位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)          +5'01"
35位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)      +7'16"


ポイント賞 マイヨ・ヴェール
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)      251pts
2位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)           235pts
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)    231pts

山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
1位 ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)     22pts
2位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)            17pts
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)      5pts

新人賞 マイヨ・ブラン
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)         45h56'40"
2位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)          +51"  
3位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ)              +1'20"

チーム総合成績
1位 ユーロップカー                         136h55'55"
2位 レオパード・トレック                         +32"
3位 レディオシャック                           +1'02"

敢闘賞
ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)



text:Yufta Omata
photo:Makoto Ayano, Cor Vos
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