ベルガモの街を出るとすぐに雨が降ってきた。バケツをひっくり返したような雨が降ったかと思えば、中盤にかけて晴天に。でもマクニャーガの頂上ゴールに向かうにつれて再び天候は悪化した。目まぐるしく変わる天気の中、アシストの鏡、ティラロンゴ(アスタナ)が勝利した。

観客でごった返したベルガモのスタート地点観客でごった返したベルガモのスタート地点 photo:Kei Tsuji

第19ステージはロンバルディア州からピエモンテ州に移動する。3週間近くかけてイタリアを巡ってきたジロが、トリノのあるピエモンテ州に帰ってきた。今日のスタート地点はロンバルディア州のベルガモ。昨日のステージで中間スプリントが設定されていた街だ。

ジロの交通規制に伴う大渋滞をすり抜けて、都会の喧噪のど真ん中に作られたスタート地点に向かう。ロンバルディア州はイタリア指折りの“自転車選手を輩出している州”であり、一般のサイクリストも多い。

チーム紹介のためにステージに上がるレディオシャックチーム紹介のためにステージに上がるレディオシャック photo:Kei Tsujiクリアボードにサインする別府史之(日本、レディオシャック)クリアボードにサインする別府史之(日本、レディオシャック) photo:Kei Tsuji

今年のジロは正式なチームプレゼンテーションが無かったに等しい(観客にもみくちゃにされながらトリノを練り歩いただけ)ので、毎ステージの出走サイン台で1日1チームずつ紹介が行なわれる。今日はレディオシャックの番。マキュアン、ハンター、カルドソの3人がすでにレースを去っているので、レディオシャックは6名という少し寂しい状態で登壇した。

緑が眩しい1級山岳モッタローネを進む緑が眩しい1級山岳モッタローネを進む photo:Kei Tsujiフミは前日のスタート前と比べると少し疲れている表情。前日の第18ステージの序盤のアタック合戦でかなりダメージを受けたことを伺わせる。今にも雨が降り出しそうな状況のため、タイヤは普段より太めの26C。「今日は静かに走ります」。フミはそう言ってスタートした。

スタート後すぐに雨が降り始め、しばらく進むと本降りに。屋外に10秒立っているだけで全身ずぶ濡れになりそうな勢いの雨。北イタリアで路面状態が比較的良いとは言え、コースには水たまりができる。

雨の中でも声援は暖かい雨の中でも声援は暖かい photo:Kei Tsujiしかもレース前半はミラノ近郊の街を数珠つなぎに走るものだから、街中のコーナーやロータリーの連続。そんなテクニカルなコースを、この日も平均スピードが50km/hを超えるペースでプロトンは進行した。

集団先頭ではアタックが繰り返されているが、フミは集団の中程に位置している。雨粒や、前走者の水しぶきを避けるため、サングラス越しに目を細めているのが分かる。フミはレース後こう綴っている。「前半から嵐のような雨が降りしきる中、平均時速50km/h以上で集団は走り続けて、さらに道が滑るというリスクもありストレス全開だった。信じられないような一日を再び経験した」。

雨の中、集団後方で走る別府史之(日本、レディオシャック)雨の中、集団後方で走る別府史之(日本、レディオシャック) photo:Kei Tsuji雨の中、F1グランプリが開催されることで有名なモンツァで撮影し、高速道路を飛ばして1級山岳モッタローネへ。すると見事に雨雲が消え去り、マッジョーレ湖に差し掛かる頃には燦々とした太陽が照りつけた。

スイス国境のアルプス山脈に向けて渓谷を進んだ先に、ゴール地点のマクニャーガはある。村としての知名度は低く、一般人に「今日はどこにゴールするんだ?」と聞かれて「マクニャーガ」と答えても、あまり理解してもらえない。

日本から駆けつけたファンが日の丸を広げる日本から駆けつけたファンが日の丸を広げる photo:Kei Tsujiマクニャーガは、アルプス山脈で2番目(1番はモンブラン)に高いモンテ・ローザの頂を仰ぎ見ることができる数少ない村。朝日によってピンクに染まる様子から、モンテ・ローザ(薔薇の山)と名付けられたという標高4634mの山が背後に迫っている。

でも、山間部の天候は回復せず、生憎モンテ・ローザはその姿を見せてくれなかった。山が見えたら「モンテローザに向け走るマリアローザ」というイメージで撮影する予定だったのに。

谷を登ってきた風と、スイス方向から吹き下ろす風が、ちょうどマクニャーガの上空でぶつかり、雲が渦を巻きながら上昇していく。標高1360mだけに、吹く風は冷たい。
撮影用にベランダを貸してくれたおじさんは「この時期にこんな荒れた天気は珍しい。下界はきっと大雨だ。壮観なモンテ・ローザを見せてあげたかったよ」と、雲の中にある頂を指差しながらモゴモゴと語る。

声援を受けて真っ先にマクニャーガに突進してきたのは、決死の形相のパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)だった。2000年のプロデビュー後、チームを変えながらエースの山岳アシストとして走り、今年はロマン・クロイツィゲル(チェコ)のサポートに徹しているティラロンゴが勝利。知名度がある選手だけに、これがプロ初勝利だと聞いて驚いた。

マクニャーガの街に差し掛かるメイングループマクニャーガの街に差し掛かるメイングループ photo:Kei Tsuji

ラスト1100m地点に書かれた別府の路上ペイントラスト1100m地点に書かれた別府の路上ペイント photo:Kei Tsujiすぐ後ろにはアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)が迫っていたが、コンタドールはティラロンゴを置き去りにすることはない。むしろマリアローザがティラロンゴのために前を引くという珍しいシーンも。

今大会3度目のステージ優勝、そして総合リードの拡大よりも、コンタドールは昨年までのチームメイトに勝利をプレゼントすることを選んだ。総合下位を5分以上引き離しているコンタドールだからこそ可能なプレゼントだ。

6分遅れでゴールに向かう別府史之(日本、レディオシャック)6分遅れでゴールに向かう別府史之(日本、レディオシャック) photo:Kei Tsujiそんなティラロンゴの勝利を、アスタナの中野喜文マッサーも喜ぶ。中野マッサーは、ティラロンゴのプロ1年目の2000年目に、永井孝樹さん、ウラディミール・グストフ、そしてティラロンゴの4人で部屋をシェアしていた仲だと言う。アスタナにとっても久々のビッグレースでの勝利。ティラロンゴは明日最終山岳ステージでクロイツィゲルの山岳アシストを務める。

「先頭集団に8kmまで残ったけど、ついていけなかった」と悔しがるフミは、ティラロンゴから僅か6分遅れでゴール。ステージ39位。多くの選手が19分31秒遅れ、20分19秒遅れ、26分26秒遅れの3つのグルペットでゴールしたため、フミは総合61位にジャンプアップしている。昨日の疲労がレースに影響を及ぼすんじゃないかという心配は杞憂に終わった。

ジロも残すところ2ステージ。「1週目のエトナ火山でマリアローザ争いは終わった」と冗談混じりで言うジャーナリストは多いが、明日の第20ステージは、コンタドールの総合リードを脅かしかねないコースレイアウト。未舗装のダート区間が7.8kmに渡って続く1級山岳フィネストレ峠が6年ぶりに登場するのだ。

平均勾配9.2%・登坂距離18.5kmという、タダでさえ厳しい登りなのに、後半部分が未舗装というフィネストレ峠。道が細くてチームカーの動きが制限されるため、1つのパンクやメカトラが、数分のタイムロスに繋がる可能性も。

今のところ晴れの予報が出ているので、フィネストレ峠では砂埃舞う壮絶な山岳バトルが繰り広げられるはず。でも、レースに付随する関係車以外の入場は固く禁じられている。

今年のジロを象徴する闘いになるはずなので、山の反対側からフィネストレ峠まで、11km徒歩で登ろうと思います。

text&photo:Kei Tsuji in Macugnaga, Italy
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