2011/05/24(火) - 17:22
ランス・アームストロングのUSポスタル時代の元チームメイト、タイラー・ハミルトンが出演する放送局CBSのニュースショー「60Minutes」が5月22日の日曜日、全米で放送された。番組内でハミルトンは"アームストロングやチームが禁止薬物を摂取してレースに備えたことなどを話し、話題を呼んだ。
番組の予告編が放映されたことで話題を呼んでいたニュースショー「60Minutes」は、アメリカ合衆国現地時間の夜7時に放送された。そのダイジェスト版および発言内容が番組ウェブサイト60minutes Overtimeで公開されている。
番組キャスターのスコット・ペリー氏とハミルトンのやりとりの、アームストロングに関連する発言は以下のとおりだ。
CBS 番組「60Minutes」 TV image-- 1999年ツール・ド・フランスで、彼はEPOを使っていた?
そのとおり。
-- 彼は2000年ツール・ド・フランスでEPOを使っていた?
彼はツールの前に準備のために使った。
-- 2001年ツール・ド・フランスでは?
彼はツールの前に準備のために使った。彼がツール中に使ったかどうかは言えない。
僕は彼の冷蔵庫の中に見た。僕は彼が注射するのを1度以上見た。
-- ランス・アームストロングがEPOを注射するのを見た?
あぁ(肯定)、誰もがしていたように、僕が何度も何度もそうしていたように。
-- それを一度以上見た?
数回見たと思う。
60Minutesに出演したタイラー・ハミルトン TV image
キャスターのスコット・ペリー氏 CBSのドキュメンタリー番組「60minutes」より
ハミルトンはここまで否定してきた自身の「パフォーマンス向上のためのドーピング」について、番組内でそれをしてきたことを認めている。同時に、かつて選手たちの間ではドーピングをして走る選手が多数派であり、そのなかにハミルトン自身とアームストロングも含まれることを話した。
「彼(アームストロング)は、僕ら(他の選手)が摂っているもの(薬物)と同じものを摂った。ぼくが言った"プロトンの大多数の選手"とランス・アームストロングとの間に違いはない。EPOがあった。テストステロンもあった。輸血があった」。
UCIによるアームストロングの陽性隠蔽(いんぺい)事件? 2001年ツール・ド・スイス
ハミルトンは同時に、アームストロングが2001年ツール・ド・スイスでのドーピング検査において陽性になったが、UCI(世界自転車競技連合)がそれをもみ消したとされる疑惑についても発言した。
証言によれば、ハミルトンはアームストロングにツール・ド・スイス参戦の際のドーピング検査で陽性になったことを告げられた。しかしアームストロングは平静で、「問題にはならない」とハミルトンに話し、そのとおりアームストロングは陽性にならなかったという。
ハミルトンは言う。「それについて面倒を見た人がいた。正確なことは分からない。しかしランスの側の人間と、他の運営側の人間(つまりUCI)が、それをもみ消す方法を見つけたんだ。僕はそう言われた...ランスに」
そしてアームストロングから送られたEPOなどの薬物を含む小包を受け取った経緯などが話された。
番組は、アームストロングの陽性反応が出た際、スイスのドーピング検査機関とチーム監督のヨハン・ブリュイネール監督の間で取引が行われ、UCIに金銭を支払うことで検査結果がもみ消され、アームストロングはUCIに対して、2度に分けて合計125,000ドルの献金をしたと報道している。
UCIは番組60Minutesに対して、2001年ツール・ド・スイスの際の検査資料を、「選手の秘匿すべき情報」として公開しなかったという。
しかしアームストロングの法定代理人側からは、UCIがアームストロングに対して出した検査結果には陽性反応がなかったことを記したレターが、番組に対して公開されている。
この疑惑については、ディテールを別にしてすでに以前からあったものだが、UCIとブリュイネール監督はこの問題についてすでに否定している。
UCIはハミルトンの主張と番組内容を完全否定
UCIはオンエアされた番組「60Minutes」を観て、改めてこの件について強く否定するプレスリリースを5月24日(本日)に出した。
リリースでは、UCIがドーピング検査の結果を隠蔽(いんぺい)することは絶対にありえないないこと、興味本位のメディアによって、ハミルトンの今回の事実無根の発言を扱った番組「60Minutes」が、アメリカ合衆国において放送されたことに対して深いショックと深刻さを感じていること、そして今回の件で自転車競技が不必要なダメージを受けることを危惧する、などと記している。
そして、リリース内で、「唯一確約できること」として、アームストロングが2001年ツール・ド・スイスの際の検査では陽性にはならなかったことを挙げている。
アームストロング側は否定を続ける
ランス・アームストロング側はこの放送を受けて、これまでの疑惑や騒動に対して応えるべく立ち上げたウェブサイトFacts4Lance.comにおいて、法定代理人マーク・ファビアーニ氏が次のような声明を出して否定する姿勢を崩していない。
「ここまでの経緯においてCBSはジャーナリズムの公平性の深刻な欠如を露呈し、責任能力を越えたセンセーショナリズムを煽っている。CBSはアームストロングの今までの500回を越えるクリーンなテスト結果と、彼の倫理性や働きに関して話す百人のチームメイトや他の自転車レーサーの話を完全に無視し、怪しげな情報源を信じることを選択している」。
下記のリンクから60Minutesの番組のダイジェスト版を観ることができる。
60Minutesダイジェスト版ウェブサイト(インタビュー動画へのリンクあり)
60Minutes Overtime Pelley on reporting the Lance Armstrong story
text:edit:Makoto.AYANO
番組の予告編が放映されたことで話題を呼んでいたニュースショー「60Minutes」は、アメリカ合衆国現地時間の夜7時に放送された。そのダイジェスト版および発言内容が番組ウェブサイト60minutes Overtimeで公開されている。
番組キャスターのスコット・ペリー氏とハミルトンのやりとりの、アームストロングに関連する発言は以下のとおりだ。

そのとおり。
-- 彼は2000年ツール・ド・フランスでEPOを使っていた?
彼はツールの前に準備のために使った。
-- 2001年ツール・ド・フランスでは?
彼はツールの前に準備のために使った。彼がツール中に使ったかどうかは言えない。
僕は彼の冷蔵庫の中に見た。僕は彼が注射するのを1度以上見た。
-- ランス・アームストロングがEPOを注射するのを見た?
あぁ(肯定)、誰もがしていたように、僕が何度も何度もそうしていたように。
-- それを一度以上見た?
数回見たと思う。


ハミルトンはここまで否定してきた自身の「パフォーマンス向上のためのドーピング」について、番組内でそれをしてきたことを認めている。同時に、かつて選手たちの間ではドーピングをして走る選手が多数派であり、そのなかにハミルトン自身とアームストロングも含まれることを話した。
「彼(アームストロング)は、僕ら(他の選手)が摂っているもの(薬物)と同じものを摂った。ぼくが言った"プロトンの大多数の選手"とランス・アームストロングとの間に違いはない。EPOがあった。テストステロンもあった。輸血があった」。
UCIによるアームストロングの陽性隠蔽(いんぺい)事件? 2001年ツール・ド・スイス
ハミルトンは同時に、アームストロングが2001年ツール・ド・スイスでのドーピング検査において陽性になったが、UCI(世界自転車競技連合)がそれをもみ消したとされる疑惑についても発言した。
証言によれば、ハミルトンはアームストロングにツール・ド・スイス参戦の際のドーピング検査で陽性になったことを告げられた。しかしアームストロングは平静で、「問題にはならない」とハミルトンに話し、そのとおりアームストロングは陽性にならなかったという。
ハミルトンは言う。「それについて面倒を見た人がいた。正確なことは分からない。しかしランスの側の人間と、他の運営側の人間(つまりUCI)が、それをもみ消す方法を見つけたんだ。僕はそう言われた...ランスに」
そしてアームストロングから送られたEPOなどの薬物を含む小包を受け取った経緯などが話された。
番組は、アームストロングの陽性反応が出た際、スイスのドーピング検査機関とチーム監督のヨハン・ブリュイネール監督の間で取引が行われ、UCIに金銭を支払うことで検査結果がもみ消され、アームストロングはUCIに対して、2度に分けて合計125,000ドルの献金をしたと報道している。
UCIは番組60Minutesに対して、2001年ツール・ド・スイスの際の検査資料を、「選手の秘匿すべき情報」として公開しなかったという。
しかしアームストロングの法定代理人側からは、UCIがアームストロングに対して出した検査結果には陽性反応がなかったことを記したレターが、番組に対して公開されている。
この疑惑については、ディテールを別にしてすでに以前からあったものだが、UCIとブリュイネール監督はこの問題についてすでに否定している。
UCIはハミルトンの主張と番組内容を完全否定
UCIはオンエアされた番組「60Minutes」を観て、改めてこの件について強く否定するプレスリリースを5月24日(本日)に出した。
リリースでは、UCIがドーピング検査の結果を隠蔽(いんぺい)することは絶対にありえないないこと、興味本位のメディアによって、ハミルトンの今回の事実無根の発言を扱った番組「60Minutes」が、アメリカ合衆国において放送されたことに対して深いショックと深刻さを感じていること、そして今回の件で自転車競技が不必要なダメージを受けることを危惧する、などと記している。
そして、リリース内で、「唯一確約できること」として、アームストロングが2001年ツール・ド・スイスの際の検査では陽性にはならなかったことを挙げている。
アームストロング側は否定を続ける
ランス・アームストロング側はこの放送を受けて、これまでの疑惑や騒動に対して応えるべく立ち上げたウェブサイトFacts4Lance.comにおいて、法定代理人マーク・ファビアーニ氏が次のような声明を出して否定する姿勢を崩していない。
「ここまでの経緯においてCBSはジャーナリズムの公平性の深刻な欠如を露呈し、責任能力を越えたセンセーショナリズムを煽っている。CBSはアームストロングの今までの500回を越えるクリーンなテスト結果と、彼の倫理性や働きに関して話す百人のチームメイトや他の自転車レーサーの話を完全に無視し、怪しげな情報源を信じることを選択している」。
下記のリンクから60Minutesの番組のダイジェスト版を観ることができる。
60Minutesダイジェスト版ウェブサイト(インタビュー動画へのリンクあり)
60Minutes Overtime Pelley on reporting the Lance Armstrong story
text:edit:Makoto.AYANO
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