2011年2月22日、地中海に浮かぶイタリア・サルデーニャ島で第29回ジロ・ディ・サルデーニャ(UCI2.1)が開幕。登りスプリントで飛び出したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)が優勝を飾った。別府史之(レディオシャック)は15秒遅れの46位に入っている。

サボテンが生い茂るサルデーニャ島サボテンが生い茂るサルデーニャ島 photo:Cor Vos1958年に第1回大会が開催され、12年間のブランクを経て2009年に復活したジロ・ディ・サルデーニャ。その名の通り、イタリア半島の西、地中海に浮かぶサルデーニャ島を舞台に開催される5日間のステージレースだ。

出場チームは、リクイガス・キャノンデール、アスタナ、ランプレ・ISD、レディオシャック、カチューシャ、BMCレーシングチームのプロ6チームと、国内外のプロコンチネンタル/コンチネンタル/ナショナル8チーム。レディオシャックからは別府史之が出場した。

逃げを試みたウィル・ルートレー(カナダ、スパイダーテック・パワードバイC10)とアルキメデス・アルグエリエス(ロシア、カチューシャ)逃げを試みたウィル・ルートレー(カナダ、スパイダーテック・パワードバイC10)とアルキメデス・アルグエリエス(ロシア、カチューシャ) photo:www.ilgirodisardegna.it第1ステージはオルビアからポルト・チェルヴォまでの138km。地中海に突き出た半島に大小さまざまな周回コースが敷かれている。一見平坦基調コースだが、実際は細かいアップダウンとワインディングの連続だ。

中盤には標高200mクラスの3級山岳が2つ登場。ラスト5kmに設定された勾配のある標高168mの登りが勝負の鍵を握った。

半島の周回道路はアップダウンの繰り返し 集団前方に別府史之(レディオシャック)の姿も半島の周回道路はアップダウンの繰り返し 集団前方に別府史之(レディオシャック)の姿も photo:www.ilgirodisardegna.it開始早々、7km地点でアタックを仕掛けたのはアルキメデス・アルグエリエス(ロシア、カチューシャ)とウィル・ルートレー(カナダ、スパイダーテック・パワードバイC10)。この2人は協力してペースを上げ、36km地点で8分40秒のリードを稼ぎ出すことに成功する。

カウンターアタックでジャンルーカ・ランダッツォ(イタリア、ミケ)が飛び出したが、1時間に及ぶ単独追走ののち、BMCレーシングチームやファルネーゼヴィーニ・ネーリ、アックア・エ・サポーネがコントロールするメイン集団に吸収。アルグエリエスとルートレーは3級山岳とスプリントポイントで先頭通過を分け合いながら逃げ続けた。

地中海に浮かぶサルデーニャ島を駆ける地中海に浮かぶサルデーニャ島を駆ける photo:Cor Vos先頭2名のリードはゴールまで50kmを残して3分40秒。それがラスト20km地点で1分20秒まで縮まる。ペースが上がったメイン集団はラスト10km地点でアルグエリエスとルートレーを飲み込んだ。

ラスト5km地点の登りでダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ)がペースアップを図ると、メイン集団では中切れが発生する。この時点でアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)やロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)、ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)は戦線を離脱。

登りスプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)登りスプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:www.ilgirodisardegna.itディルーカのペースアップにもヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)は落ち着いて対処する。結局、リクイガス・キャノンデールが集団先頭にメンバーを揃えた状態で登りをクリア。雨で濡れたテクニカルな下りでも、リクイガス・キャノンデールが優位を保った。

30名ほどに絞られたメイン集団は、ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)に強力に牽かれながらラスト1kmを切る。ラスト150mの最終コーナーを抜けるとサガンが先頭に。登り基調のスプリントで伸びのある加速を見せたサガンが、アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)らを引き離してゴールに飛び込んだ。

2位でゴールするアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)2位でゴールするアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム) photo:www.ilgirodisardegna.it昨年プロ1年目ながら初プロレースのツアー・ダウンアンダーでトップ選手と肩を並べる走りを見せ、パリ〜ニースでステージ2勝&ポイント賞、ツアー・オブ・カリフォルニアでステージ2勝&ポイント賞、ツール・ド・ロマンディでステージ優勝という抜群の成績を残したサガン。21歳の新星が早速勢いの良さを見せつけた。

「これほど厳しいコースだと知らなかったので、ジャコポ(グアルニエーリ)で勝利を狙う作戦だった。でも最後の登りで彼が遅れてしまったんだ。ニーバリ、カペッキ、オス、そして僕が先頭集団に残っていたので、有利にレースを進めることができた。彼らに感謝しないと。」サガンは昨年よりも格段に上達したイタリア語でインタビューに応える。

リーダージャージに袖を通したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)リーダージャージに袖を通したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:www.ilgirodisardegna.it「自分がどんな選手なのかまだ分からない。それほど勝利数も多くないし、まだ若くて経験も浅い。グランツールに出場したことがないので、自分のリミットが分からないんだ。フィリップ・ジルベールと比較する人がいるけど、彼はチャンピオンで僕とは大違い。今年はもっと多くのレースに出場したい。ミラノ〜サンレモやパリ〜ルーベにも出場するよ。」

ボーナスタイム10秒を獲得したサガンは、今シーズン初勝利とリーダージャージを同時にゲットしている。

別府史之は15秒遅れの集団内でゴール。「今日は平坦ステージのはずなのに、さすがはイタリアンコースプロフィール。アップダウンの連続だった。ゴール6km手前で右に曲がって、突然長い激坂が出現。先頭集団で登り切ったけど、下りが下手な選手の後ろにいて中切れで遅れてしまった。」レース後、フミは自身のTwitterでレースをそう振り返った。

翌第2ステージはポルト・ロトンドからヌオーロまでの197.5km。カテゴリー3級、2級、1級の山岳がレース後半に設定されており、最後は1級山岳オルトベーネを駆け上がってゴールを迎える。今大会最難関の山岳ステージだ。

レース展開はレース公式テキストライブ、選手コメントはガゼッタ紙より。

ジロ・ディ・サルデーニャ2011第1ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)    3h35'25"
2位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)
3位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
4位 オスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
5位 ダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・ISD)
6位 アンヘル・ビシオソ(スペイン、アンドローニ・ジョカトリ)
7位 エリア・ファヴィッリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
8位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ・ISD)
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
10位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
46位 別府史之(日本、レディオシャック)                  +15"

個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)    3h35'15"
2位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)       +04"
3位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)         +06"
4位 オスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)       +10"
5位 ダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・ISD)
6位 アンヘル・ビシオソ(スペイン、アンドローニ・ジョカトリ)
7位 エリア・ファヴィッリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
8位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ・ISD)
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
10位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
48位 別府史之(日本、レディオシャック)                  +25"

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

スプリント賞
アルキメデス・アルグエリエス(ロシア、カチューシャ)

山岳賞
ウィル・ルートレー(カナダ、スパイダーテック・パワードバイC10)

チーム総合成績
リクイガス・キャノンデール

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.ilgirodisardegna.it