マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)やツアー・オブ・カタール参加の選手は月曜朝、レース無線を持たずにドゥハーンからの第1ステージをスタートした。これはアルゼンチンやイタリア、そして前日にスペインでも抗議を受けたUCI(世界自転車競技連盟)にとって、ひとつの成功だと言えるだろう。

無線無しでレースが行われているツアー・オブ・カタール2011無線無しでレースが行われているツアー・オブ・カタール2011 photo:Cor Vosシーズン初期の他のステージレースと、カタールのこのレースとの違いは、レースオーガーナイザーがASO(アモリー・スポール・オルガニザシオン)だからだ。今年で10周年を迎えるツアー・オブ・カタール開催の傍らで、ASOは世界最大のレース、ツール・ド・フランスを主催している。

選手たちとチームの指導者たちは、ツール・ド・サンルイやジロ・ディ・レッジョカラブリア、チャレンジマヨルカの第1ステージでしたのと同じような抗議をすることを渋っている。

無線禁止に反対した選手たちの抗議によりスタートが遅れたチャレンジマヨルカ。フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は無線をつける無線禁止に反対した選手たちの抗議によりスタートが遅れたチャレンジマヨルカ。フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は無線をつける photo:Cor Vos「これは規則なんだ、そしてそれはいずれ遵守されるだろう」とASOの競技ディレクターであるジャン=フランソワ・ペシューは話す。「レース無線を使うものは誰であれレースから出てもらう。もし大多数のチームが無線を使ったとしても、審判はレースからの撤退を求める」

前日のスペイン、チャレンジ・マヨルカでは、選手たちとチームは20分遅れてスタートを切った。彼らは無線を装着してスタートしたのだ。UCIの審判を無視したまま。

2008 GP西フランスプルエーでも試験的に無線禁止が取り入れられた2008 GP西フランスプルエーでも試験的に無線禁止が取り入れられた photo:Cor Vos国際プロ自転車競技チーム協会(AIGCP)はマヨルカの主催者とUCIに、この事前に計画された抗議を通告する手紙を送っていた。「無線禁止は我々が同意できないルールだ」と手紙にはある。「我々は適切な理由無しに強要されるルールに従う事はできない」

AIGCPの総裁、ジョナサン・ヴォーターズは禁止はより大きな問題の一部分を成すと言う。UCIの決定に際して、チーム全体の同意が得られていなかったのだ。

UCIはレース中の選手とチームカー間での無線によるコミュニケーションの完全禁止を押し進めている。先月と先週にはAIGCPと会談し、無線禁止の実施意図を声明発表することについて話し合っている。

「スペクタクルスポーツとしてのクオリティを維持するためには」UCIは言う「この措置の結果を定期的にチェックする必要がある」

無線禁止のこの措置はワールドツアーの26レースを除く全てのレースで今年実施される。来年には、完全に全てのレースで禁止される。

UCIはすでにジュニアとU23のレースでは無線を禁止している。オーストラリアでの昨年の世界選手権は初めてエリートカテゴリーのレースで無線使用を禁止した。同じような試みは2008年のツール・ド・フランスやGP西フランス・プルエーでも見られる。

プロ自転車連盟(CPA)が先月行った投票では207対40で、無線賛成の大多数票を得た。これはイタリア、フランス、スペイン、スイス、オランダ、ベルギー、そしてポルトガルの344人の自転車選手から投票を募ったものだ。

ライダーの安全を守るための取り組みとして、CPAは自転車選手に違った選択肢も用意していた。

・無線の使用は、道路の危険伝達やレース運営上の警告のためのオーガナイザーの使用に限る。
・無線の使用は、道路の危険伝達やレース運営上の警告のためのオーガナイザーの使用、さらに逃げができた時とそのタイム差の伝達のみに限る。
・無線の使用は、監督とレース中の一人の選手にのみ使えるものとする。



text:Gregor Brown
translation:Yufta Omata