2007年のジロ・デ・イタリア覇者ダニーロ・ディルーカ(イタリア)が、講演の中で、かつてドーピングに手を染めていたことを告白した。

ダニーロ・ディルーカ(イタリア)ダニーロ・ディルーカ(イタリア) photo:Kei Tsuji「自分が間違っていた。なぜ間違いを犯したかって?いい質問だ。組織の中に身を置くと、よくも悪くも、組織の人間になる必要がある。そして間違いを犯してしまう」講演に集まった500人の学生たちの前で、ディルーカはそう告白した。

ディルーカは昨年のジロ・デ・イタリアでステージ2勝を飾り、デニス・メンショフ(ロシア)に次いで総合2位に。しかし大会期間中のドーピング検査で2度CERA(第3世代EPO)の陽性反応が検出された。

今年のジロ・デ・イタリアで沿道に姿を現したダニーロ・ディルーカ(イタリア)今年のジロ・デ・イタリアで沿道に姿を現したダニーロ・ディルーカ(イタリア) photo:CorVosCONI(イタリア五輪委員会)はディルーカに3年間の出場停止処分を要求。最終的にTNA(イタリアアンチドーピング裁決機関)は2年間の出場停止処分を与えた。

当初出場停止処分は2011年7月21日までの予定だったが、ドーピング捜査への協力が評価され、今年10月15日にTNAが9ヶ月と7日間の処分期間短縮を決定。ディルーカの即時レース復帰が可能となった。

ディルーカは捜査官のベネデット・ロベルティ氏と協力し、数々のドーピングスキャンダルの裏側を明らかにしたとされる。「自分の過ちからドーピングのメカニズムまで、ロベルティ氏には全てさらけ出した。そのおかげで自由の身になったように思う」

「胸を張って前に進むつもりだ。インチキなしで再び勝つことが出来ると信じている。10年前は事情が違ったかも知れない。根拠はないけど、プロ選手の多くがドーピングに手を染めていた」

レース復帰を目指すディルーカは、まず来シーズンの所属チームを見つける必要がある。しかしディルーカのような物議を醸す選手を積極的に雇うチームは少ない。フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)やダヴィデ・レベッリン(イタリア)も同じ状況に置かれている。

「君たちの前で契約書を見せたいところだけど、残念ながらまだ話はまとまっていない。できる限り早く契約を結んで、ここで発表したい」ディルーカ曰く、2〜3チームが獲得に興味を示している。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji