「まるで爆弾が爆発したような惨状だった」。救助にあたった隊員の一人はそう証言する。日曜日、イタリア南部のラメツィアで、10名のサイクリストが交通事故に遭う惨事が起きた。マリファナ常用者の21歳が運転するメルセデス・ベンツとの正面衝突で亡くなったのは7名。この惨事にイタリアサイクリング界は喪に服する。

亡くなったのは35歳から58歳までの7名、ロザリオ・ペッリ、フランチェスコ・ストランジェス、ヴィニチオ・ポッティン、ジョヴァンニ、カンニッツァーロ、パスクアーレ・デルーカ、フォルトゥナート・ベルナルディ、ドメニコ・パラッツォ。春のグランフォンド出場を目指すアマチュアサイクリストたちは、サンデーライドを満喫している途中だった。

「ロザリオはどこだ!」生存者の一人ジェナーロ・ペッリ氏は、搬送先の病院で弟のロザリオの姿を探した。モロッコ移民のシャフィク・エルケタニー容疑者の無謀な運転により、ロザリオがすでに他界しているということを、医師はまだペッリ氏に伝えていない。

「妻からその知らせを聞いた時、雨が降っていた」。サルヴァトーレ・マンクーゾ氏は振り返る。マンクーゾ氏は仲間たちと一緒に80kmのライドに出かけたが、ティレニア海方面から雨雲が接近していたため、他の2名と引き返した。ライドを続行したその他の10名は、イタリアサイクリング史上最悪の惨事に見舞われた。

警察はエルケタニー容疑者を多重過失致死罪の疑いで逮捕。エルケタニー容疑者は危険運転の罪で7ヶ月前に運転免許証を取り消されていた。同乗していた8歳の甥は無事だった。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji