シーズンへ本格突入で全国各地で盛り上がりを見せるシクロクロス。埼玉県吉見町で月1回開催のペースで全5戦で開催されるGPミストラルシリーズを紹介する。AJOCCの共通ルールのもとアットホームな雰囲気で開催される人気急上昇のシクロクロスシリーズ戦だ。

GPミストラル カテゴリー3のスタートGPミストラル カテゴリー3のスタート (c)Makoto.AYANO

シケインを乗ったままクリアか、飛び降りてクリアか判断が分かれる!シケインを乗ったままクリアか、飛び降りてクリアか判断が分かれる! (c)Makoto.AYANOAJOCCの全国統一ルールで開催されるシリーズ戦

シクロクロスのシリーズ戦「GPミストラル」は、2008年から埼玉県の吉見総合運動公園で年間5~6戦が開催されている。参加者は年々急増中で、関西クロスあるいは信州クロスに次ぐ規模に成長しつつある。会場となるのは吉見町運動公園周辺コースで、開催はほぼ月1回。9月下旬から2月の間に行われている。大会は11月28日で第3戦を迎えた。

この大会は、クラブチーム「エキップミストラル」の監督である大山 智さんが、シクロクロス競技を日本に普及させるために北海道で大会を主催したのが始まりで、そのクラブ名が冠されている。大会はAJOCC(アジョック=日本シクロクロス競技主催者協会)の制定した全国統一ルールに基づいて運営されている。

ラスト1っ週のジャンを鳴らすGPミストラル主催者・大山智さんラスト1っ週のジャンを鳴らすGPミストラル主催者・大山智さん (c)Makoto.AYANOカテゴリー制にのっとったクラス分けがされていることに加え、初心者やファンライド指向の人でも楽しめるようにエンジョイライドの部が設けられるなど、成長期ならではの工夫がされている。クラブチームが中心となった手作り大会だが、今季よりAUTHOR(アーサー)のシクロクロスバイクを展開するゼット株式会社などのスポンサードも加わり、さらに充実してきている。

カテゴリー制クラスへの参加者はそれぞれのクラスで勝ち上がりを目標に熱戦を展開。チーム登録制度も取り入れることでランキングがつく仕組みもあり、気の合う仲間でエントリーしてシクロクロスを楽しむ人達が毎月のようにレースにエントリーして楽しんでいる。

溝に落ちるドロップオフが随所に現れる溝に落ちるドロップオフが随所に現れる (c)Makoto.AYANO近場で、手軽な参加費と手続きで参加できるのは各地で開催されるシクロクロス共通のもの。最高峰のカテゴリー1を頂点に、カテゴリー2、3、レディース、そしてマスターズに子供のU10、U10、幼児のカデットと細かくクラス分けされた種目でレースを楽しむことができる。

勝ち上がり式のカテゴリー1~3までは参加者数がピラミッド型になり、目指そうと思えば各戦ごとに順位を上げていく必要がある。レースを競う楽しみを味わうのがシクロクロスという、本来の姿でこの大会が成長してきている点で、このクロスの盛り上がりが本物であることがわかる。

今年度からは会場の吉見総合運動公園のフラットなコースの特徴を最大限に活かした新企画「マディソンレース」も新たに開催。ハイスピードで周回ごとに選手交代しながら走るチームリレー形式のユニークなレースだ。こちらはまだ出場チームは限られているようだが、チームランキングで楽しませるGPミストラルの今後のお楽しみイベントに成長しそうだ。

フラット&テクニカルな吉見運動公園のコース

会場の吉見運動公園は野球場や芝生公園などが点在する市民スポーツ憩いの場。その立地と地形を生かしたコースは魅力的だ。基本的には高速で走れるシクロクロスバイク向きのコースだが、ドロップオフの溝やぬかるみセクションもあり、かなりのテクニックを要求される。障害物の「シケイン」も数カ所に設置され、乗車・押し・担ぎ・飛び降り&乗りといったシクロクロス独特のテクニックを要求される。
参加選手たちの愛車もシクロクロスバイクが主流で、上級クラスになるほどMTBは少数派。カテゴリー1で1時間。以下30分程度のレース時間で十分に面白・苦しいシクロクロスを堪能できる。

先頭にMTBも混じるカテゴリー3先頭にMTBも混じるカテゴリー3 (c)Makoto.AYANO選手たちが手を焼いたぬかるみセクション選手たちが手を焼いたぬかるみセクション

芝の高速コースに選手たちが連なる芝の高速コースに選手たちが連なる (c)Makoto.AYANO乗ったまま行こうとして足を着いてしまう...乗ったまま行こうとして足を着いてしまう... (c)Makoto.AYANO


カテゴリー1は池本真也の連覇

カテゴリー1のスタート 少人数だが猛ダッシュだカテゴリー1のスタート 少人数だが猛ダッシュだ (c)Makoto.AYANO

独走する池本真也(和光機器)独走する池本真也(和光機器) (c)Makoto.AYANO最高峰のカテゴリー1は14人のエントリー。他地方の大会のカテ1よりエントリー人数は少ないが、クロス上級者が揃っている。かつてクロス世界選手権日本代表として活躍した鈴木祐一や瀬田仁が率いるチームランキングでトップを独走するチーム042-703-9122(通称セタセレクト)や、MTBライダーの三上和志や合田正之のサイクルクラブ3UP、そして全日本クロスでも上位に食い込む実力のある池本真也(和光機器)などがしのぎを削る。
この日はさぬきクロスと信州クロス上山田大会が重なったが、それがなければ小坂正則(スワコレーシング)らを始めとした全国トップレベルの選手が顔を出すことになる。

この日のカテゴリー1のレースは、序盤にチェーンを絡ませて大きく後退した池本真也(和光機器)が周回を重ねるごとに追い上げ、合田正之(サイクルクラブ3UP・MURACA)と中間森太郎(チーム埼玉県人)を下して、第2戦に続いて連覇を飾った。

2位の合田正之(サイクルクラブ3UP)2位の合田正之(サイクルクラブ3UP) (c)Makoto.AYANO3位の中間森太郎(チーム埼玉県人)3位の中間森太郎(チーム埼玉県人) (c)Makoto.AYANO


トップでゴールに飛び込む池本真也(和光機器)トップでゴールに飛び込む池本真也(和光機器) (c)Makoto.AYANOマスターズ優勝の山下永(チーム埼玉県人)。臼杵レーシングの富田道夫と伴肇を下したマスターズ優勝の山下永(チーム埼玉県人)。臼杵レーシングの富田道夫と伴肇を下した (c)Makoto.AYANO


マスターズはかつて信州クロス常連の「赤い人」として鳴らした山下永(チーム埼玉県人)がマウンテンバイクで独走。臼杵レーシングの富田道夫と伴肇を余裕で下した。山下は他大会への遠征をしなくなったが、勝ち上がりのないマスターズクラスで常勝の強さを誇っている。

飛び出していくカテゴリー2の選手たち飛び出していくカテゴリー2の選手たち (c)Makoto.AYANOカテゴリー3の選手たちカテゴリー3の選手たち


家族連れで楽しむ参加者が多い

エンジョイクラスや子供のクラスが充実していることもあって、家族連れで楽しむ雰囲気があるのがGPミストラルの大きな特徴かもしれない。サイクリストの潜在参加者層が厚い関東近辺の大会として、今後ますます参加者を増やすことになりそうだ。
主催者の大山さんによれば「エキップミストラルのチームメンバー+ボランテイアでの実行委員会による大会開催で、
参加者増に対してスタッフが不足してきているので、お手伝いいただける方を募集中です」とのこと。希望する方は連絡してみて欲しい。

なんと70歳でエンジョイライドを楽しんだ三上昌彦さんとその家族なんと70歳でエンジョイライドを楽しんだ三上昌彦さんとその家族 (c)Makoto.AYANO子供たちのカデットクラス子供たちのカデットクラス (c)Makoto.AYANO



GPミストラル発表の暫定リザルトはこちら(PDF)。※ただし後日AJOCCのサイトに掲載されるリザルトが正式版となる。

phototext :MakotoAYANO

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