イタリアチームのキャプテンとして挑んだロード世界選手権で4位に終わったフィリッポ・ポッツァート(カチューシャ)が、先週末のパリ〜トゥールでレースに復帰した。敗れたイタリアチームに批判が集まる中、ポッツァートは先のレースに目を向ける。

トレーニングライドをこなすジョヴァンニ・ヴィスコンティ、フィリッポ・ポッツァート、ヴィンチェンツォ・ニーバリトレーニングライドをこなすジョヴァンニ・ヴィスコンティ、フィリッポ・ポッツァート、ヴィンチェンツォ・ニーバリ photo:Riccardo Scanferlaオーストラリア・ジーロングで開催されたロード世界選手権で、ポッツァートはイタリアナショナルチームのキャプテンを担った。イタリアはブエルタ・ア・エスパーニャ覇者のヴィンチェンツォ・ニーバリ(リクイガス)らがアタックを仕掛け、積極的にレースを作ったが、終盤の集団スプリントで敗れて4位に終わった。

「チームメイトは上手くレースを組み立て、スプリント勝負のお膳立てをしてくれた。敗れたのは自分の責任だ」。ポッツァートはそう回想する。

イタリアチームに指示を出すパオロ・ベッティーニ監督イタリアチームに指示を出すパオロ・ベッティーニ監督 photo:Riccardo Scanferla「ジルベールが最終周回の上りでアタックした時、脚が痙攣してしまった。その影響でジルベールに付いていくことが出来ず、大きな集団でのスプリント勝負になった。更に、スプリントでも間違いを冒したんだ。フースホフトではなく、フレイレの番手を取っていた。勝てたかどうかは別の問題だけど、フースホフトの後ろでスプリントすれば、結果は変わっていたかもしれない」

「繰り返し言うけど、全ては自分の責任。言い逃れするつもりはない」

注目のフィリッポ・ポッツァート(イタリア)は集団前方で上りをクリア注目のフィリッポ・ポッツァート(イタリア)は集団前方で上りをクリア photo:Kei Tsuji過去に3回世界選手権を制しているパオロ・ベッティーニは、今年初めて監督としてイタリアチームを率いた。作戦では、ニーバリとジョヴァンニ・ヴィスコンティ(ISD・ネーリ)がアタックを仕掛け、ポッツァートが勝つ。しかしレースはその思い通りには進まなかった。

「レース後、ベッティーニはスプリント勝負の様子を振り返るように問いかけてきた。そこで返事を断ると、こう言われたよ。『よくやったと思う。だが、絶好のチャンスを逃したということを分かっているのか?』とね」

上りでアタックを仕掛けるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)上りでアタックを仕掛けるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア) photo:Graham Watsonベッティーニとポッツァートは、レース前から2002年の世界王者マリオ・チポッリーニの批判を受けていた。「何故ポッツァートがチームリーダーなんだ?実際、ポッツァートはここ4年間のビッグレースで勝っていないじゃないか。これは個人的な誹謗中傷ではない。ただ現実的に、結果を残していないポッツァートがリーダーを担うことが納得いかない」。チポッリーニは強い口調でイタリアチームを批判し続けた。

ポッツァートは2006年のミラノ〜サンレモで優勝。しかしそれ以降は勢いを落としている。2007年にはオンループ・ヘットフォルクで優勝し、ツール・ド・フランスでステージ優勝。2009年にはイタリア選手権とE3プライスフラーンデレン制覇。今年ジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾った。しかしミラノ〜サンレモに匹敵するような“ビッグな勝利”は収めていない。この4年間で劇的に増えたのは、勝利数ではなく、背中のタトゥーの数だ。

勝利したトル・フースホフト(ノルウェー)に手を差し伸べるフィリッポ・ポッツァート(イタリア)勝利したトル・フースホフト(ノルウェー)に手を差し伸べるフィリッポ・ポッツァート(イタリア) photo:Kei Tsujiポッツァートはチポッリーニの批判にこう答える。

「確かに成績だけを見ていると、そんな考えに辿り着くのかも知れない。でも逆にこう問いたいね。世界選で勝ったフースホフトは、近年のビッグレースで勝ちまくっていたのか?と。少なくともモニュメント(5大クラシックレース)での勝利はゼロだ。説明がつかない」

ヨーロッパに戻ったポッツァートは、パリ〜トゥールでトップ10にも入ることが出来なかった。今シーズンの残りレースは2戦。木曜日(10月14日)のジロ・デル・ピエモンテと土曜日(10月16日)のジロ・ディ・ロンバルディアだ。

「勝利数の少なさは事実だ。でも手を抜いて走っているわけじゃない。ロードレースは成績が全てじゃない」。

まだ満足出来る勝利を飾っていないポッツァートは、残る2戦に懸ける。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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