プロツアーチームのアージェードゥーゼルに供給していることでも知られるクォータ。そのクォータのハイエンド軽量バイク「KOM EVO」が今回のインプレッションバイクだ。

クォータ KOM EVOクォータ KOM EVO (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

クォータは歴史のあるブランドが多いイタリアにおいて、2001年のミラノショーで最初のモデルを発表した比較的新しいブランドだ。イタリアのシンテマ社が興したブランドで、カーボンバイクを専門にした展開をしている。

その画期的でダイナミックなデザインと、機能性を両立させるカーボンモノコックフレームを造ることを得意としているブランドだ。また高いレベルでカーボンを扱うその技術は、欧州、米国問わず多くのメーカー・ブランドから一目を置かれている。

ヘッドは下部が1-1/4インチから1-1/2インチと大口径化されたヘッドは下部が1-1/4インチから1-1/2インチと大口径化された 扁平形状の成型リアステー。前作のモノステーから横剛性アップが実現されている扁平形状の成型リアステー。前作のモノステーから横剛性アップが実現されている リアステーを裏側から見る。シートステイも複雑な形状だリアステーを裏側から見る。シートステイも複雑な形状だ


そんなクォータが2010モデルまでフレーム重量870gの軽量モデルとして販売していたのがKing of mountainの頭文字を取って名付けた『KOM』だ。

KOMは山岳王の名を持っているモデルなので、ヒルクライムに特化した意味での軽量モデルかと思いきや、平地でもその軽さを活かした走りのできる剛性を併せ持ったマルチプレーヤーとして人気を博したモデル。

驚異的な軽さを実現したナノテクノロジーカーボンを採用したKOM。軽さだけでは留まらないその性能は、クォータの高い技術が支えている。

控えめながらポップなグラフィックが好感度だ控えめながらポップなグラフィックが好感度だ ボリュームアップしているダウンチューブ 角の取れた四角い断面形状だボリュームアップしているダウンチューブ 角の取れた四角い断面形状だ


角断面を持つ印象的なトップ&ダウンチューブと補強の施された太いBB周りはパワーロスを抑える設計がなされ、剛性と快適さを考えて左右非対称形状のチェーンステイを装備。そして安定感を生み出すスーパーオーバーサイズのヘッドの設計などがその象徴的な部分だ。

そんなクォータの持つ技術を一身にまとったKOMからさらに進化した格好となる今回のKOM EVO。EVOとはもちろんエボリューションの略称だ。前作KOMとの外見から分かる大きな違いは、ヘッド径アップとシートステーおよびダウンチューブ形状だ。

トップチューブも角張った形状に成型されているトップチューブも角張った形状に成型されている ボトルケージ台座は補強が入り破断への配慮があるのは実戦的だボトルケージ台座は補強が入り破断への配慮があるのは実戦的だ


ヘッドは下部が1-1/4インチから1-1/2インチとなった。大口径化はもちろんハンドリング安定性の向上や、剛性アップにつながる。

そしてモノステーだったシートチューブが、マッシブな扁平形状に変わっている。モノステーには変わりないが、トレックのマドンなどにみられる成型ステーとなり、フレームとの一体感を高め、ペダリングによるネジレにより強い構造になっている。

力強いフォルムのストレートフォーク力強いフォルムのストレートフォーク フォークの肩は角張ったスクエア形状だフォークの肩は角張ったスクエア形状だ シートステーに入る「ニュー・ラミネーションシステム」のロゴシートステーに入る「ニュー・ラミネーションシステム」のロゴ


また形状こそ違わないが、ダウンチューブ形状もリファインを受けているという。また、「ニュー・ラミネーションシステム」とフレームに記されているとおり、カーボンの新しい積層方法を採用したことが窺われる。

キング・オブ・マウンテンつまり「山岳王」というネーミングのとおり、前作同様軽く仕上がっているKOM EVO。カタログスペックは5°スローピングフレームの530mmでフレーム単体重量1100gとなっているが、乾いた音とボリュームあるフレームを持った感じではフレーム単体900g程度のバイクに感じてしまう。

BB周りは複雑な形状で剛性アップが図られているBB周りは複雑な形状で剛性アップが図られている チェーンステイはとくに凝った形状で、ネジレを抑えているチェーンステイはとくに凝った形状で、ネジレを抑えている


今回テストしたKOM EVOに装備されているコンポはシマノ・デュラエース。ホイールはライトウェイト・オーバーマイヤーとなっている。それではインプレッションに移ろう。





―インプレッション


「ヒルクラムだけではもったいないバイク」 鈴木祐一(Rise Ride)

「ヒルクラムだけではもったいないバイク」鈴木祐一「ヒルクラムだけではもったいないバイク」鈴木祐一 KOM EVOはクォータのヒルクライムもターゲットにしたバイクだ。見た目のボリューム感がかなりあるので、先入観だけで言うとガッチリしていて、ライダーにパワーがないと性能を発揮できないような印象を受けるルックスだ。

しかし乗ってみるといい意味でその先入観を払拭してくれる。たしかにたわみづらいが、嫌なバイブレーションを起こすことがなく、安定している。挙動が安定しているので安心感のある印象を受ける。

乗り味は見た目の印象とは逆にマイルドで乗りやすい。しかしコンフォートバイクのように路面すべてをスムースにしてしまうわけではない。必要な衝撃はしっかり伝えた上で、弾かれてしまうような衝撃はカットしてくれるイメージだ。この適度な振動吸収性能のおかげで路面追従性が高い。そして路面追従性の高さがマイルドで乗りやすい印象を与えてくれる。

また強い入力に対してBBがたわんでいる印象はないのだが、チェーンをピーンと張ったときに感じる「脚にくる衝撃」がかなり少ない。たわまないということは硬いはずなのだが、硬さを感じさせない造りだ。素材自体で衝撃吸収してくれているような感覚を覚える。その上で入力した力を失うことなく推進力に変わっていると実感できるバイクになっている。

名前からはヒルクライムマシンのようなイメージだが、平地も下りも安定感があってバランスが取りやすい。バイクの重心が前後上下の真ん中に位置している印象だ。軽いバイクの振りやすさというのもあるが、それを差し引いても自分の動きに付いてきてくれる素直な性格を持っている。軽さを求めながらもこのウェイトバランスを実現させたことは高い評価をせざる得ない。

そして際立っているのが巡航性能の高さだろう。たしかに平地での高速巡航でも十分その魅力を感じることはできる。しかし坂道を一定ペースで上るとその魅力がさらに増す。脚が回しやすく、速度維持がしやすい。そして変速時の衝撃も抑えてくれるのでストレスが溜まりにくい。これはヒルクライムで大きな武器になる。

乗ってみて感じたことは以上だ。たしかにヒルクライムを意識した造りになっているが、ロードレーサーとしてバランスのとれたバイクになっている。ゆえに用途は選ばないだろう。どんなシーンでもクォータの織りなす細部にまで気をつかったカーボンフレームの魅力を味わうことができる1台となっている。



「オールマイティな性格を持ち合わせたヒルクライムバイク」 三上和志(サイクルハウスミカミ)

まず「King Of Mountain」という名前と、持ったときのその軽さで「登る気」になるバイクだ。特に今回試乗したライトウェイトのホイールを装備した完全武装状態なら、なおさらテンションも上がるというもの。またリブを立てたり、ボトルゲージのマウント部分の補強を見ると薄く作っていながら強度を保つようになっていることが窺える。

「オールマイティな性格を持ち合わせたヒルクライムバイク」三上和志「オールマイティな性格を持ち合わせたヒルクライムバイク」三上和志

そして実際乗ってみると「硬さを持ってよく進むバイク」という印象を受ける。ダンシングで積極的に力強く入力すると気持ちよく進む。その反面シッティングのときは反発力が弱い分、伸びやかさに欠ける印象だ。また荒れた路面でダンシングすると弾かれて暴れるので、そこは踏み倒して進めるほうがいい。そういう硬さのあるバイクだ。

もちろんその軽い走り心地からヒルクライムを積極的に走ることができる性能を持っている。またこのバイクのポテンシャルを発揮させることができれば、上りだけではなく下りも平地もこなしてくれるだけの力を持っているバイクだろう。

ただそのためにはそれ相応の強い入力ができるライダーである必要がある。プロライダーに供給されるフレームだけあって、プロの要求を満たす剛性感を持っている。それがバイク自体の素性はとてもいいものを持っていると感じた上で、実業団BR-1で走るレベルの私には硬いという印象になったのだろう。

その証拠として平地でゴールスプリントのような強い入力を継続したときの加速感と走行感、軽やかさがとても楽しいと感じた。私の出せる強い入力はプロライダーならばフィールドに関係なく出力できるだろう。このスプリント時の楽しさに繋がる力をいつでもどこでも発揮できるとしたら、それは最上のバイクであることは疑う余地もない。

プロに供給する以上、クォータもKOM EVOには高いレンジでの走りを求めて作っているはずなので、このフレームになんら間違った点は見あたらない。

それに強度の入力を長時間継続できなくとも、このバイクのオイシイところは味わうことができるので、向上心旺盛なライダーにはいいだろう。自分が強くなるとともにこのバイクはしっかり応えてくれるはずだ。


クォータ KOM EVOクォータ KOM EVO (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

クォータ KOM EVO
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
サイズ:XS、S、M、L
予定小売価格(税込み):380,000円(フレームセット)





インプレライダーのプロフィール

鈴木祐一鈴木祐一 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


三上 和志三上 和志 三上和志(サイクルハウスMIKAMI)

埼玉県飯能市にある「サイクルハウスMIKAMI」店主。MTBクロスカントリー全日本シリーズ大会で活躍した経験を生かし、MTBに関してはハード・ソフトともに造詣が深い。トレーニングの一環としてロードバイクにも乗っており、使用目的に合った車種の選択や適正サイズに関するアドバイスなど、特に実走派のライダーに定評が高い。
サイクルハウスMIKAMI



ウェア協力:ルコック・スポルティフ

photo:Makoto.Ayano
text:Kiichi.Gotoda
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