29日にコンタドール自身が発表したことで明るみになったドーピング陽性について、コンタドール側が30日にスペインのピントのホテルで記者会見を行った。

コンタドールによればAサンプルの陽性はほぼ1ヶ月前にUCIから通知を受け、話し合いを続けてきたという。そしてその原因については、ツール・ド・フランスにおける第2休息日のポーで関係者がスペインから持参した食肉を食べたことが考えられる唯一の可能性であることを公表した。


畜産で使われる「赤身肉薬」クレンブテロール

問題となった禁止薬物のクレンブテロールは、呼吸効率の向上と筋肉増強作用があるため禁止薬物に指定されているが、畜産業界においてはしばしば家畜を早く成長させる薬物として、また、赤身肉を作る「赤身肉薬」として食肉生産業者によって飼料に混ぜられるなどして用いられてきた。すでに畜産業界でも使用が禁止されているが、中国やスペインでは使用が近年まで一般化しており、過去には中毒事件も起きている。コンタドールは休息日にスペインから関係者よって持ち込まれた食肉がその原因として唯一考えられるとしている。


コンタドールがスペインから持ち込まれた肉を食べ、陽性になった経緯

UCIは8月24日にコンタドールに陽性反応が出たことを知らせた。そして26日にはコンタドールとUCIの医療スタッフとがミーティングをもち、事情聴取を行った。

コンタドール側の主張では、友人でブエルタ・ア・カスティーリャ・レオンのレース主催者のひとりであるホセルイス・ロペス氏が、チームを訪問する際にスペインから質のいい肉を持参するとチームに相談した。ロペス氏は20日にツールに肉と共に到着し、チームではその肉を調理して選手たちに食事として出した。

その肉は休息日に選手のほぼ全員が食べたが、コンタドールが陽性反応を出した第17ステージのレース後のドーピング検査を受けたのはコンタドールとヴィノクロフのふたりのみ。ヴィノクロフには陽性反応が出なかったが、コンタドールよりも食事時間が早かったという。


コンタドールの記者会見での釈明の発言の概要

コンタドールの釈明会見での発言から、事実関係の説明以外の部分を抜粋。

コンタドール「これは食物汚染のケースで、僕は犠牲者だ。人々が信じる・信じないにかかわらず、僕は頭を高く上げる。隠すものは何も無い。
世界でたった4つの研究所だけがその検査を行う十分な設備を持っている。それ以外では発見することができなかっただろう。
21日の前にもドーピング検査は受けていたし、21日の後にも同じように受けていた。そこではそんな物質は検出されなかった。これはシステム自体が検査されるべきサインだ。

これは真の"エラー"だ。そのシステムは非常に疑わしく、変えられるべきだと思う。僕には処分を黙って受け入れる考えはまったくない。

ともかく今まで僕はいつでもドーピングコントロールに対抗してきた。今まで競技外ドーピング検査などで信頼できそうな人物には出会ったことがない。今僕はツールでの検査結果に対して何も心配をしていない。ともかく全てクリアにしたい。僕の家族はそんなに心配する必要はない」。


スペインのテレビ局RTVEのサイトでは、コンタドールの記者会見模様とキャスターとのインタビュー(スペイン語)が閲覧できる。


text:Makoto.AYANO